近未来判事「タクヤ」

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事件簿007 『名人長二』その21

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翌日、貴陽は江夏の案内で、金在定子の息子、正広の新居に向かった。
その家は葉山の海が見渡せる丘の上にあった。
貴陽を迎えた正広は握手をしながらぼやいてみせた。

「都心から遠いし、車でしか動けないし、しかもこんな大きな家ボクの趣味じゃないんだけどね。でも海外からのお客様を接待することが多いからしょうがなく。」

「いやいや。とてもいい家ですよ。」

「そうですかねぇ?そういえば手崎さんは、宮崎ですよね?」

「ええ。葉山もいいですが宮崎の海もいいですよ。」

「宮崎の海はなんとなく親近感があります。そういえば、手崎さんも初めて会った気がしないなぁ。」

「我々は同じ年代ですからね。おじさんはみんな似たようなものです。」

「おじさんは皆兄弟、ですか。」貴陽と正広は大声で笑った。

二人とも顎の近くの同じ場所にエクボができている。
江夏は複雑な思いで二人の様子を見ていた。

その年の冬。
工房の外は雪が降り始めていた。
宮崎でも、ここ数年は12月に雪を見ることが珍しくなかった。

工房の中で、貴陽は金在正広からの注文家具の組み立てに熱中していた。
首から肩まで伸びる傷跡に汗が伝い、光っている。

「順調のようね。」

突然の声に、貴陽は驚いて振り向いた。
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