近未来判事「タクヤ」

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事件簿009 『鹿政談』その3

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「迷ってたんですが・・・やはり言っておくべきかと。」

孔明はためらいがちに続けた。

「実は・・・先ほど法廷で被告人がつぶやいた言葉が聞こえました。」

「ぇえ?さっきは聞こえなかったって言ったじゃ~~ん。」

右在珠子が不満そうに頬を膨らませた。

「ただの捨て台詞、気にしなくていいと思ったんですが。彼、被告人はこう言ったんです。『覚えてろよ』 と。」

6人は不安げな表情で顔を見合わせた。

「いやいや。やはり言わなくていい事でした。ただの捨て台詞でしょう。失礼しました。」

孔明は笑いながら頭を掻いた。

「彼はこれから15年刑務所の中。しかも裁判員の個人情報は公開されない。裁判員が恨みを買ってどうこうされたという話も聞きませんからね。さ!解散しましょう!」

そう言い放つと、栃出茂袈太はさっさと部屋から出て行った。

孔明は、あの時の被告人の目に暗い炎を感じて、心穏やかではいられなかった。
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