近未来判事「タクヤ」

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事件簿009 『鹿政談』その26

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裁判所の職員がサエにメモを持ってきた。
それを見たサエが大声で叫んだ。

「緊急連絡です!たった今、別の容疑者が逮捕されて本件の犯行を自供しました!!」

法廷は大騒ぎ。
新聞記者は外に飛び出し、幽霊裁判員たちは一斉にラップを踊りだした。
ボクら裁判官は意味も無く歩き回ったが、喧騒の中で、ただ一人孔明だけは冷静だった。

「裁判官!早くこの場を収拾してくれ!」

孔明さんの大声にハッとしたボクは自分の仕事を思い出した。

「本裁判に重要な影響がある事態が発生しました。本日はこれで閉廷し、次回公判については後日決定します。」

証人席を見ると、そこにはもう孔明の姿は無かった。

「あのじぃさん本当に消えるの早すぎ。まじで幽霊じゃないのか?」

いつものバーに行くと、やはり孔明さんはそこにいた。

「孔明さんも狙われてたんですねぇ。」

カウンターに並んで、ボクとサエは孔明さんからその後の顛末を聞いていた。
検察から聞くよりも、今回はその方が早くて正確だ。

真犯人は矢剥虎太。
犯行の動機は20年前の事件の逆恨み。
刑期を終えて出所した矢剥は、事件の裁判官と裁判員の9人全員に復讐するつもりだったようだ。

裁判官3人は既に異動して宮崎にいなかった。
最初のターゲットは孔明さんだったそうだ。
新聞やテレビで顔に見覚えがあったらしい。

「そういえばボクも孔明さんの顔を新聞で見たことがある。」

サエもうなづいている。

「ワシは出たがりだからな。」

「でも、狙われた孔明さんがなぜ生きてるの?」

サエの疑問はもっともだ。
このじぃさん、幽霊どころかピンピンしている。

「ワシを探し出し、尾行していたらしいが、デートの相手の一人にたまたま珠子さんがいたってわけだ。」
「デートの相手って、しかも一人じゃないって、このじじぃ・・・。」

「法廷で、生意気でいい加減な態度だったから、実は一番憎んでいたらしい。それでターゲットを変更したようじゃ。」
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