近未来判事「タクヤ」

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事件簿009 『鹿政談』その28

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「あ!そういえば矢剥に突き落とされた棟梁はどうなったの?」

「ワシが帰国してすぐに警察に事情を説明したんじゃ。それで矢剥には警察の尾行がついていた。高井戸さんにも注意するように連絡がされておったんだ。突き落とされる前に、とっさに命綱をかけて無事じゃったよ。」

「よかった~。」

「でも、どうして矢剥は容疑者として警察のリストにあがってなかったのかな?」

「本戸間さんがストーカーだという先入観。それに20年も前の裁判の逆恨みなど、誰も想像しないだろう。」

「そうよねぇ。いちいち事件のたびに狙われたら裁判官なんか絶滅しちゃうわよ。」

「矢剥に狙われた裁判官の一人が、サエさんの父上だったことは知っているかな?」

「ぇええっ!そうなの?!」

「頭の切れるやり手の裁判官だと思っておったが、やはり偉くなったな~。」

「孔明さん、あたしのパパを知ってたんだ~。びっくりぃ!」

「今度、自慢の五右衛門風呂に招待してくれるらしい。サエさんも一緒にどうだ?」

「オッケー!」

「あ!それはボクが作るのを手伝った風呂だ!あれ大変だったんですよぉ~。でも、いつかこの風呂にサエと二人で・・・なんて想像すると元気が出てさ。じゃさっそく・・・。」

横を向くと、カウンターにはボク以外誰もいなかった。

「じじぃもサエも、あの五右衛門風呂で熱湯沸かしてグズグズの湯豆腐にしてやるぅ!!」
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