近未来判事「タクヤ」

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事件簿010 『藁人形』その1

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「孔明さん、入院したことってあります?」

いつものバーで、怪しげなカクテルを飲んでいる孔明さんに、ボクは何気なく尋ねた。

「ん?突然どうしたのじゃ?」

「いや、昼間に保険会社の営業さんから説明されて、ボクはまだ経験が無いけど、入院とか手術とか大変なのかなぁと思って。」

ストレス社会の最前線を生きてきた孔明さんなら、何度も病院のお世話になっているに違いない。

「ワシの身体にメスを入れた医者はまだおらんのだよ。最近は病院食も旨くなったらしいが、まだ食ったことが無いのじゃ。つまり入院も手術も未経験じゃ。」

なんて頑丈なじじぃ・・・。

「まぁ確かに殺しても死にそうにないし、ていうか死んでも生き返りそうだし・・・。」

「そう褒めるな。」

「いや。褒めてないから。」

「そういえばタクヤくん。今日は酒が進まないな。」

最初に頼んだ焼酎ロックが既に水割りになっていた。

「さては、またサエさんに怒られたな?それで病院に逃げ込みたいとか。」

「はい・・・って、それは関係ないです!」

「おぬしは、まこち正直者じゃなぁ。ということは他に酒が進まない理由があるということだな?」

「うっ・・・。」

このじじぃは、とぼけた顔をしているけど、やたら勘がいい。

「実はそうなんです。」

「さては智恵ちゃんが浮気でもしたか?」

「いや。うちの猫ちゃんは箱入りですから。」

「はて?タクヤくんがサエか智恵以外で悩むことがあるのか?」

「孔明さん・・・。ひどい!許さん!」

バキっ!!!
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