8 / 49
第八話 胎児と対話する試み
しおりを挟む
半日かけて、書類の全ての解答欄を埋めると、私は机に突っ伏した。
疲れた……
そのまま、ウトウトしかけた頃、ドアのノックが聞こえ、飛び起きる。
「御令嬢、疲れただろう。少し休憩するといい」
扉を開けたアロイス様は給仕用のワゴンを運び入れた。そして私の目の前にティーセットとスノーボールを置くと、カップに紅茶を注ぐ。よく蒸らした茶葉が香り立った。
「あの、ありがとうございます」
食事もそうだが、国が誇る大魔導士の彼に、こんな風に世話をされて、恐縮してしまう。
「かまわない。ただ……本来、来客があった際は低級の精霊を使役して応待するのだが……
あなたを屋敷に招き入れた途端、彼等が皆、出て行ってしまった」
「それって……どういうことですか? 私は精霊に嫌われているのでしょうか?」
「そうではない。ただあなたを、というより、お腹の子に近付くことができないようだ。戸惑った様子で、屋敷の外で遠巻きにしている。恐れて逃げ出すような状況ではないから、まあ、気にすることはない」
アロイス様が机上の紙束を回収し、少し離れた自分の机で、内容をあらためる。
「闇か……」
しばらく黙読していたアロイス様が、呟いた。
やはり、魔力属性のことで何か言われそうだ。
私のプロフィールで、目立つところは、それしかない。あとは、せいぜい語学に通じているところか。
「身体に闇を飼うのは、どんな気分だ?」
「え?」
「いや……少し聞きたかっただけだ。私は他の五つの属性は全て持っているが、闇だけは持っていない。うちの私設所員にも、現役の魔導士団の団員にもいないはずだ」
単なる興味本位での質問のようだ。
「闇の魔力があっても、自分では何も感じません。普段は自分に属性があることすら、忘れてしまうくらいです」
「そうなのか……驚いたな。普通は属性があれば、心のどこかにその力の源泉を感じるものだ。
光があれば、小さな希望が灯り
火があれば、胸を熱くし
水があれば、せせらぎを感じ
風があれば、心が凪ぎ
土があれば、揺るがぬ安定を与えられる……
闇はそうか、何もないのか」
しばらく何事かを考えていたアロイス様が、話を切り出した。
「御令嬢、もし良ければの話だが、私に、お腹の子と直に対話をさせてもらえないだろうか」
「対話!? この子と!? そんなことができるのですか?」
「対話といっても、言葉で話し合うわけではない。私の思っていることを波動で伝えるのだ。もしもその子が応じてくれるようなら、会話が成り立つだろう」
正直、迷った。そんなことをして、この子に何か影響が出ないだろうか。
だけど……この人なら、悪いようにはしないはず。
「分かりました。でも、この子が嫌がったら、すぐに止めてください」
***
私達は研究所側にある交霊室に移動することになった。
屋敷を半分に区切る扉をくぐると、その向こうには私邸とは違う、研究所らしい無機質さが漂う空間があった。
私がアロイス様と一緒に廊下を歩いていると、向かいから歩いてくる所員らしき魔導士の誰も彼もが、ギョッとしたような眼差しを向けてくる。こんな場所に、一般の貴族女性が出入りするのを、怪しまれているのかもしれない。
階段を上って、奥まった部屋に、私は導かれた。
そこには一人掛けソファが二脚置かれ、壁際には色とりどりの蝋燭が沢山あった。その数、百本は下らないだろう。
アロイス様は私に椅子を勧め、黄緑色と薄紫の蝋燭に火を灯すと、手早くカーテンを閉じた。
そして、すぐに私の正面のソファに座って
「ちょっと、失礼」
と、私の両手を取り、軽く握って、目を閉じた。
ひんやりした手のひらと、爪が綺麗な、節くれだっていない長い指に手が包まれて、ドキッとする。
彼が、何がしかの呪文を低い声で静かに唱えると、蝋燭の炎が一際大きくなり、揺れ始めた。
そのままアロイス様は、お腹の子に向かって、何かを念じる。
……私には何も感じられないが、二人の間に会話は、なされているのだろうか。
二十分ほど経ち、アロイス様は私の手を離して立ち上がった。カーテンを開け、二本の蝋燭を吹き消す。
「……どうでしたか?」
少し疲れた様子の彼に、私はおそるおそる尋ねてみた。
「真新しい魂だ」
ふう、と大きく息をついた後、アロイス様は語り始める。
「この子は転生などを一度もしていない、今回、初めてこの世に誕生する魂だ。
まっさらで、前世からの知識や感覚を一切持たない……
間違いなく、邪悪な存在などではない。
ただ、何か、普通の子どもとは違う、強い感情を持っている。
まだ、そら豆ほどの大きさにも満たないのに、感情だけはハッキリしている」
邪な存在ではないと判って安堵したものの、普通ではないとも聞かされ、すぐに不安に襲われる。
それを察したのか、アロイス様が付け加えた。
「だが、今のこの子に、攻撃的なものは感じられない。おそらく自己防衛以外で何かをすることはないだろう。精霊達がこれから母親の世話をすることを伝えても、抵抗はなかった」
「そうでしたか……ありがとうございます」
そうだ。私は母親なんだ。たとえ経緯がどうであれ……
しっかりしなければいけない。
「今日は実験に付き合わせて申し訳なかった。精霊たちに昼食を用意させる。午後からは、ゆっくり休むように」
アロイス様は私を私邸に送り届けると、仕事の為、研究棟に戻っていった。
疲れた……
そのまま、ウトウトしかけた頃、ドアのノックが聞こえ、飛び起きる。
「御令嬢、疲れただろう。少し休憩するといい」
扉を開けたアロイス様は給仕用のワゴンを運び入れた。そして私の目の前にティーセットとスノーボールを置くと、カップに紅茶を注ぐ。よく蒸らした茶葉が香り立った。
「あの、ありがとうございます」
食事もそうだが、国が誇る大魔導士の彼に、こんな風に世話をされて、恐縮してしまう。
「かまわない。ただ……本来、来客があった際は低級の精霊を使役して応待するのだが……
あなたを屋敷に招き入れた途端、彼等が皆、出て行ってしまった」
「それって……どういうことですか? 私は精霊に嫌われているのでしょうか?」
「そうではない。ただあなたを、というより、お腹の子に近付くことができないようだ。戸惑った様子で、屋敷の外で遠巻きにしている。恐れて逃げ出すような状況ではないから、まあ、気にすることはない」
アロイス様が机上の紙束を回収し、少し離れた自分の机で、内容をあらためる。
「闇か……」
しばらく黙読していたアロイス様が、呟いた。
やはり、魔力属性のことで何か言われそうだ。
私のプロフィールで、目立つところは、それしかない。あとは、せいぜい語学に通じているところか。
「身体に闇を飼うのは、どんな気分だ?」
「え?」
「いや……少し聞きたかっただけだ。私は他の五つの属性は全て持っているが、闇だけは持っていない。うちの私設所員にも、現役の魔導士団の団員にもいないはずだ」
単なる興味本位での質問のようだ。
「闇の魔力があっても、自分では何も感じません。普段は自分に属性があることすら、忘れてしまうくらいです」
「そうなのか……驚いたな。普通は属性があれば、心のどこかにその力の源泉を感じるものだ。
光があれば、小さな希望が灯り
火があれば、胸を熱くし
水があれば、せせらぎを感じ
風があれば、心が凪ぎ
土があれば、揺るがぬ安定を与えられる……
闇はそうか、何もないのか」
しばらく何事かを考えていたアロイス様が、話を切り出した。
「御令嬢、もし良ければの話だが、私に、お腹の子と直に対話をさせてもらえないだろうか」
「対話!? この子と!? そんなことができるのですか?」
「対話といっても、言葉で話し合うわけではない。私の思っていることを波動で伝えるのだ。もしもその子が応じてくれるようなら、会話が成り立つだろう」
正直、迷った。そんなことをして、この子に何か影響が出ないだろうか。
だけど……この人なら、悪いようにはしないはず。
「分かりました。でも、この子が嫌がったら、すぐに止めてください」
***
私達は研究所側にある交霊室に移動することになった。
屋敷を半分に区切る扉をくぐると、その向こうには私邸とは違う、研究所らしい無機質さが漂う空間があった。
私がアロイス様と一緒に廊下を歩いていると、向かいから歩いてくる所員らしき魔導士の誰も彼もが、ギョッとしたような眼差しを向けてくる。こんな場所に、一般の貴族女性が出入りするのを、怪しまれているのかもしれない。
階段を上って、奥まった部屋に、私は導かれた。
そこには一人掛けソファが二脚置かれ、壁際には色とりどりの蝋燭が沢山あった。その数、百本は下らないだろう。
アロイス様は私に椅子を勧め、黄緑色と薄紫の蝋燭に火を灯すと、手早くカーテンを閉じた。
そして、すぐに私の正面のソファに座って
「ちょっと、失礼」
と、私の両手を取り、軽く握って、目を閉じた。
ひんやりした手のひらと、爪が綺麗な、節くれだっていない長い指に手が包まれて、ドキッとする。
彼が、何がしかの呪文を低い声で静かに唱えると、蝋燭の炎が一際大きくなり、揺れ始めた。
そのままアロイス様は、お腹の子に向かって、何かを念じる。
……私には何も感じられないが、二人の間に会話は、なされているのだろうか。
二十分ほど経ち、アロイス様は私の手を離して立ち上がった。カーテンを開け、二本の蝋燭を吹き消す。
「……どうでしたか?」
少し疲れた様子の彼に、私はおそるおそる尋ねてみた。
「真新しい魂だ」
ふう、と大きく息をついた後、アロイス様は語り始める。
「この子は転生などを一度もしていない、今回、初めてこの世に誕生する魂だ。
まっさらで、前世からの知識や感覚を一切持たない……
間違いなく、邪悪な存在などではない。
ただ、何か、普通の子どもとは違う、強い感情を持っている。
まだ、そら豆ほどの大きさにも満たないのに、感情だけはハッキリしている」
邪な存在ではないと判って安堵したものの、普通ではないとも聞かされ、すぐに不安に襲われる。
それを察したのか、アロイス様が付け加えた。
「だが、今のこの子に、攻撃的なものは感じられない。おそらく自己防衛以外で何かをすることはないだろう。精霊達がこれから母親の世話をすることを伝えても、抵抗はなかった」
「そうでしたか……ありがとうございます」
そうだ。私は母親なんだ。たとえ経緯がどうであれ……
しっかりしなければいけない。
「今日は実験に付き合わせて申し訳なかった。精霊たちに昼食を用意させる。午後からは、ゆっくり休むように」
アロイス様は私を私邸に送り届けると、仕事の為、研究棟に戻っていった。
1
あなたにおすすめの小説
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
虫ケラ扱いの男爵令嬢でしたが、牧草風呂に入って人生が変わりました〜公爵令息とはじめる人生の調香〜
もちもちしっぽ
恋愛
男爵令嬢フレッチェは、父を亡くして以来、継母と義妹に粗末に扱われてきた。
ろくな食事も与えられず、裏庭の木の実を摘み、花の蜜を吸って飢えをしのぐ日々。
そんな彼女を、継母たちは虫ケラと嘲る。
それでもフレッチェの慰めは、母が遺してくれた香水瓶の蓋を開け、微かに残る香りを嗅ぐことだった。
「あなただけの幸せを感じる香りを見つけなさい」
その言葉を胸に生きていた彼女に、転機は突然訪れる。
公爵家が四人の子息の花嫁探しのために催した夜会で、フレッチェは一人の青年に出会い、一夜をともにするが――。
※香水の作り方は中世ヨーロッパをモデルにした魔法ありのふんわり設定です。
※登場する植物の名称には、一部創作が含まれます。
婚約者に捨てられた私ですが、なぜか宰相様の膝の上が定位置になっています
さくら
恋愛
王太子との婚約を一方的に破棄され、社交界で居場所を失った令嬢エリナ。絶望の淵に沈む彼女の前に現れたのは、冷徹と名高い宰相だった。
「君の居場所は、ここだ」
そう言って彼は、ためらいもなくエリナを自らの膝の上に抱き上げる。
それ以来、エリナの定位置はなぜか宰相様の膝の上に固定されてしまう。
周囲からの嘲笑や陰口、そして第一王子派の陰謀が二人を取り巻くが、宰相は一切怯むことなく、堂々とエリナを膝に抱いたまま権力の中枢に立ち続ける。
「君がいる限り、私は負けぬ」
その揺るぎない言葉に支えられ、エリナは少しずつ自信を取り戻し、やがて「宰相の妻」としての誇りを胸に刻んでいく。
舞踏会での公然の宣言、王妃の承認、王宮評議会での糾弾――数々の試練を経ても、二人の絆は揺らがない。むしろ宰相は、すべての人々の前で「彼女こそ我が誇り」と高らかに示し、エリナ自身もまた「膝の上にいることこそ愛の証」と誇らしく胸を張るようになっていく。
そしてついに、宰相は人々の前で正式に求婚を告げる。
「エリナ。これから先、どんな嵐が来ようとも――君の定位置は私の膝の上だ」
悪役だから仕方がないなんて言わせない!
音無砂月
恋愛
マリア・フォン・オレスト
オレスト国の第一王女として生まれた。
王女として政略結婚の為嫁いだのは隣国、シスタミナ帝国
政略結婚でも多少の期待をして嫁いだが夫には既に思い合う人が居た。
見下され、邪険にされ続けるマリアの運命は・・・・・。
【完結】私は聖女の代用品だったらしい
雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。
元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。
絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。
「俺のものになれ」
突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。
だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも?
捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。
・完結まで予約投稿済みです。
・1日3回更新(7時・12時・18時)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる