82 / 90
81.ひとつの終わり
10日が過ぎ、イレリアの治療が終わると、彼女は平静を取り戻していた。
「アリッサが君への罰を望んでいない。だが、だからといって全くの放免というわけにはいかない。君には1年間神殿での奉仕をしてもらう」
エスクード侯爵の沙汰を聞いている間、イレリアは身じろぎ一つしなかった。
「閣下の恩情に深く感謝申し上げます」
イレリアは美しい所作で礼をすると、穏やかな緑色の瞳でエスクード侯爵とカインを見た。
思ったよりも軽い刑となり、カインは安心した。
イレリアが神殿に移送される日、カインはやっとイレリアに会うことができた。
最後にイレリアに会ってから30日が経っていた。
「カイン――様」
「カインでいい。そう言ったはずだ」
イレリアは膝を曲げカインに礼をしたが、カインに手で制されて立ち尽くす形になった。
全ての魔法が解除され、イレリアもカインも相手への恋心はどこか他人の夢のような気分で向き合っていた。
「ありがとうございます。私――知らなかったとは言え、あなたに――」
「私とて同じ事だ。君を無理矢理貴族の世界に連れて来て、君を変えてしまった」
イレリアはどう向き合えばいいのかわからず、所在なさげだった。
カインはイレリアにソファに腰掛けるよう促すと、自分も一人掛けのソファに腰掛けた。
「全てが魔法のせいだったとは思いたくない。私は君といて、君が与えてくれた愛に救われたんだ」
カインは静かな声で言うと、イレリアを見つめた。
「私――私は、愛が何なのかわかりません。ただ、師匠に初めて抱かれた時、とても満たされたのを覚えています。カイン――に抱かれている間も、同じ感覚で……それを愛だと思っていました」
イレリアは遠慮がちにカインの名を呼びながら、上目遣いにカインを見た。
美しい顔だが、前のような魅力を感じない。これが、魔法が解けたと言う事なのか。
カインは微笑みながら小さく溜息をついた。
「神殿での奉仕を終えた後も侯爵家は君を援助することを約束しよう――もっとも、以前のようにとは行かないが」
恐らく、平民としての平凡な暮らしを与える事くらいはできるだろう。本人が望めば領地での生活でもいい。
「畏れ多い事でございます。侯爵家の恩情に感謝いたします」
イレリアが頭を下げると、カインは立ち上がり部屋を出た。
扉が閉まるのを背中で感じながら、一つの恋が終わるのを実感していた。
ミケロは出身がどうであれ、正式な手続きを踏んでオルフィアス伯爵となった身分であるため、処刑を免れた。
パウロの魔法技術を失うのが惜しいと魔導士たちの要望が強く、パウロが魔導士に協力することが条件だった。
二人は足の腱を切られた上で、王宮の奥にある小さな離宮に生涯幽閉されることとなった。
カインにはもう一人会わなければならない人物がいた。
「随分元気そうだな」
赤毛に浅黒い肌の男は、溌溂とした笑顔で部屋にやってきた。
「君には礼儀というものがないのか?ナジーム」
カインは忌々し気に言ったが、その表情は柔らかかった。
二人はサロンで向かい合っていた。
「あの時、助けてくれたことに礼を言いたい」
「今更だな」
甘い花の香りのする茶を美味そうに飲むと、ナジームは笑った。
「今更になって申し訳ない。こんなことを聞くのは不躾だと思うんだが……なぜ助けたんだ?」
カインの青い瞳が、ナジームを真っ直ぐに見つめた。
ナジームはハシバミ色の瞳を、柔らかく緩ませた。
「ポンプの遠征、あったろ?」
「ああ」
突然の話題に、カインは少しだけ困惑したが、黙って聞くことにした。
「出発の前の日、ジルダに会ったんだ」
ナジームは顔色を変えるカインを見てニヤリと笑った。
「あんたと結婚したいって思ったのは本当さ」
揺れる獣車の中で、ナジームは軽薄そうに笑ってみせた。
「初めは顔が好みだった。魔力もいい。好きな魔力だ。けど、あんたを見かける度にいろんな話を聞いた」
ナジームの顔から軽薄そうな笑みが消えると、ジルダは少しだけ小首をかしげた。
「あんたが、カインの魔力のために犠牲になってるって話だ。あの綺麗な顔をした坊ちゃんが魔力暴走をさせないために、王国とエスクード侯爵家があんたを人身御供にしてるって聞いて、俺はあんたを自由にしてやりたいって思ったんだ」
「自由、ですか」
ジルダは今でも十分自由だが、と思ったが口に出さなかった。
「なぁ、あんたはさ。その能力なんかなくて、カインも魔力暴走なんてなかったら、なにをしたい?」
ナジームの質問はよく分からなかった。
もし、この能力がなくて、カインの魔力も安定していれば、自分達は出会わなかっただろう。
いや、出会っていた。
だが、それはきっとどこかの社交界ですれ違う程度の出会い。
侯爵家の跡取りと、たかだか宮廷貴族の見捨てられた娘など、接点があるはずもないのだ。
「だとすれば、カイン様はきっとご両親の愛をいっぱいに受けて、幸せそうに笑っていらっしゃるでしょうね」
ジルダの頬が少し緩んだのを見て、ナジームは目の奥が熱くなった。
「そうだな。それで、あんたも笑ってるか?」
ジルダが心から楽しんで笑えたのは、子供の頃の、あの一年にも満たないあの間だけだ。
ジルダは黙っていた。
「きっと笑ってるさ。俺と出会ってるからな」
「まあ……」
呆れて見せたが、口元は笑っていた。
そして、少しだけ考え込んでから口を開いた。
「そうですね。わたくしは、子供の頃は魔法陣を見るのが好きでした」
この能力が発覚したきっかけも、魔法陣だった。
家中のスクロールをくすねては魔力を通して遊んでいた。
「もっといろんな魔法陣が見たいと思っていました。もしかしたら、魔導士になっていたかもしれませんね」
自分を見ない瞳が、柔らかく緩んでいる。
「そうだな。そして俺は、そんなジルダを見つけて、きっと好きになるよ」
ナジームの言葉に、ジルダは思わず吹き出したが、すぐに淑女の微笑みへと変わった。
「でも、カイン様は魔力暴走の危険を孕み、わたくしはそれを唯一救うことができるのです。この事実は、なにがあっても変わりませんわ」
凛として言うジルダの瞳は、ナジームの瞳を真っ直ぐに見つめていた。
「アリッサが君への罰を望んでいない。だが、だからといって全くの放免というわけにはいかない。君には1年間神殿での奉仕をしてもらう」
エスクード侯爵の沙汰を聞いている間、イレリアは身じろぎ一つしなかった。
「閣下の恩情に深く感謝申し上げます」
イレリアは美しい所作で礼をすると、穏やかな緑色の瞳でエスクード侯爵とカインを見た。
思ったよりも軽い刑となり、カインは安心した。
イレリアが神殿に移送される日、カインはやっとイレリアに会うことができた。
最後にイレリアに会ってから30日が経っていた。
「カイン――様」
「カインでいい。そう言ったはずだ」
イレリアは膝を曲げカインに礼をしたが、カインに手で制されて立ち尽くす形になった。
全ての魔法が解除され、イレリアもカインも相手への恋心はどこか他人の夢のような気分で向き合っていた。
「ありがとうございます。私――知らなかったとは言え、あなたに――」
「私とて同じ事だ。君を無理矢理貴族の世界に連れて来て、君を変えてしまった」
イレリアはどう向き合えばいいのかわからず、所在なさげだった。
カインはイレリアにソファに腰掛けるよう促すと、自分も一人掛けのソファに腰掛けた。
「全てが魔法のせいだったとは思いたくない。私は君といて、君が与えてくれた愛に救われたんだ」
カインは静かな声で言うと、イレリアを見つめた。
「私――私は、愛が何なのかわかりません。ただ、師匠に初めて抱かれた時、とても満たされたのを覚えています。カイン――に抱かれている間も、同じ感覚で……それを愛だと思っていました」
イレリアは遠慮がちにカインの名を呼びながら、上目遣いにカインを見た。
美しい顔だが、前のような魅力を感じない。これが、魔法が解けたと言う事なのか。
カインは微笑みながら小さく溜息をついた。
「神殿での奉仕を終えた後も侯爵家は君を援助することを約束しよう――もっとも、以前のようにとは行かないが」
恐らく、平民としての平凡な暮らしを与える事くらいはできるだろう。本人が望めば領地での生活でもいい。
「畏れ多い事でございます。侯爵家の恩情に感謝いたします」
イレリアが頭を下げると、カインは立ち上がり部屋を出た。
扉が閉まるのを背中で感じながら、一つの恋が終わるのを実感していた。
ミケロは出身がどうであれ、正式な手続きを踏んでオルフィアス伯爵となった身分であるため、処刑を免れた。
パウロの魔法技術を失うのが惜しいと魔導士たちの要望が強く、パウロが魔導士に協力することが条件だった。
二人は足の腱を切られた上で、王宮の奥にある小さな離宮に生涯幽閉されることとなった。
カインにはもう一人会わなければならない人物がいた。
「随分元気そうだな」
赤毛に浅黒い肌の男は、溌溂とした笑顔で部屋にやってきた。
「君には礼儀というものがないのか?ナジーム」
カインは忌々し気に言ったが、その表情は柔らかかった。
二人はサロンで向かい合っていた。
「あの時、助けてくれたことに礼を言いたい」
「今更だな」
甘い花の香りのする茶を美味そうに飲むと、ナジームは笑った。
「今更になって申し訳ない。こんなことを聞くのは不躾だと思うんだが……なぜ助けたんだ?」
カインの青い瞳が、ナジームを真っ直ぐに見つめた。
ナジームはハシバミ色の瞳を、柔らかく緩ませた。
「ポンプの遠征、あったろ?」
「ああ」
突然の話題に、カインは少しだけ困惑したが、黙って聞くことにした。
「出発の前の日、ジルダに会ったんだ」
ナジームは顔色を変えるカインを見てニヤリと笑った。
「あんたと結婚したいって思ったのは本当さ」
揺れる獣車の中で、ナジームは軽薄そうに笑ってみせた。
「初めは顔が好みだった。魔力もいい。好きな魔力だ。けど、あんたを見かける度にいろんな話を聞いた」
ナジームの顔から軽薄そうな笑みが消えると、ジルダは少しだけ小首をかしげた。
「あんたが、カインの魔力のために犠牲になってるって話だ。あの綺麗な顔をした坊ちゃんが魔力暴走をさせないために、王国とエスクード侯爵家があんたを人身御供にしてるって聞いて、俺はあんたを自由にしてやりたいって思ったんだ」
「自由、ですか」
ジルダは今でも十分自由だが、と思ったが口に出さなかった。
「なぁ、あんたはさ。その能力なんかなくて、カインも魔力暴走なんてなかったら、なにをしたい?」
ナジームの質問はよく分からなかった。
もし、この能力がなくて、カインの魔力も安定していれば、自分達は出会わなかっただろう。
いや、出会っていた。
だが、それはきっとどこかの社交界ですれ違う程度の出会い。
侯爵家の跡取りと、たかだか宮廷貴族の見捨てられた娘など、接点があるはずもないのだ。
「だとすれば、カイン様はきっとご両親の愛をいっぱいに受けて、幸せそうに笑っていらっしゃるでしょうね」
ジルダの頬が少し緩んだのを見て、ナジームは目の奥が熱くなった。
「そうだな。それで、あんたも笑ってるか?」
ジルダが心から楽しんで笑えたのは、子供の頃の、あの一年にも満たないあの間だけだ。
ジルダは黙っていた。
「きっと笑ってるさ。俺と出会ってるからな」
「まあ……」
呆れて見せたが、口元は笑っていた。
そして、少しだけ考え込んでから口を開いた。
「そうですね。わたくしは、子供の頃は魔法陣を見るのが好きでした」
この能力が発覚したきっかけも、魔法陣だった。
家中のスクロールをくすねては魔力を通して遊んでいた。
「もっといろんな魔法陣が見たいと思っていました。もしかしたら、魔導士になっていたかもしれませんね」
自分を見ない瞳が、柔らかく緩んでいる。
「そうだな。そして俺は、そんなジルダを見つけて、きっと好きになるよ」
ナジームの言葉に、ジルダは思わず吹き出したが、すぐに淑女の微笑みへと変わった。
「でも、カイン様は魔力暴走の危険を孕み、わたくしはそれを唯一救うことができるのです。この事実は、なにがあっても変わりませんわ」
凛として言うジルダの瞳は、ナジームの瞳を真っ直ぐに見つめていた。
あなたにおすすめの小説
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
いつも隣にいる
はなおくら
恋愛
心の感情を出すのが苦手なリチアには、婚約者がいた。婚約者には幼馴染がおり常にリチアの婚約者の後を追う幼馴染の姿を見ても羨ましいとは思えなかった。しかし次第に婚約者の気持ちを聞くうちに変わる自分がいたのだった。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。
クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。
そんなある日クラスに転校生が入って来た。
幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新不定期です。
よろしくお願いします。
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
【4月中旬 完結予定】
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
王女を好きだと思ったら
夏笆(なつは)
恋愛
「王子より王子らしい」と言われる公爵家嫡男、エヴァリスト・デュルフェを婚約者にもつバルゲリー伯爵家長女のピエレット。
デビュタントの折に突撃するようにダンスを申し込まれ、望まれて婚約をしたピエレットだが、ある日ふと気づく。
「エヴァリスト様って、ルシール王女殿下のお話ししかなさらないのでは?」
エヴァリストとルシールはいとこ同士であり、幼い頃より親交があることはピエレットも知っている。
だがしかし度を越している、と、大事にしているぬいぐるみのぴぃちゃんに語りかけるピエレット。
「でもね、ぴぃちゃん。私、エヴァリスト様に恋をしてしまったの。だから、頑張るわね」
ピエレットは、そう言って、胸の前で小さく拳を握り、決意を込めた。
ルシール王女殿下の好きな場所、好きな物、好みの装い。
と多くの場所へピエレットを連れて行き、食べさせ、贈ってくれるエヴァリスト。
「あのね、ぴぃちゃん!エヴァリスト様がね・・・・・!」
そして、ピエレットは今日も、エヴァリストが贈ってくれた特注のぬいぐるみ、孔雀のぴぃちゃんを相手にエヴァリストへの想いを語る。
小説家になろうにも、掲載しています。
【完結】私を裏切った前世の婚約者と再会しました。
Rohdea
恋愛
ファルージャ王国の男爵令嬢のレティシーナは、物心ついた時から自分の前世……200年前の記憶を持っていた。
そんなレティシーナは非公認だった婚約者の伯爵令息・アルマンドとの初めての顔合わせで、衝撃を受ける。
かつての自分は同じ大陸のこことは別の国……
レヴィアタン王国の王女シャロンとして生きていた。
そして今、初めて顔を合わせたアルマンドは、
シャロンの婚約者でもあった隣国ランドゥーニ王国の王太子エミリオを彷彿とさせたから。
しかし、思い出すのはシャロンとエミリオは結ばれる事が無かったという事実。
何故なら──シャロンはエミリオに捨てられた。
そんなかつての自分を裏切った婚約者の生まれ変わりと今世で再会したレティシーナ。
当然、アルマンドとなんてうまくやっていけるはずが無い!
そう思うも、アルマンドとの婚約は正式に結ばれてしまう。
アルマンドに対して冷たく当たるも、当のアルマンドは前世の記憶があるのか無いのか分からないが、レティシーナの事をとにかく溺愛してきて……?
前世の記憶に囚われた2人が今世で手にする幸せとはーー?