イエローナーシサス

第1話 鬼の龍一

朝、水原愛華(みずはらあいか)はクラスメイト四人の女子グループに学校の体育館裏に呼び出された。
腕を組み愛華の目の前にいるのはクラスのリーダー的存在の山下茜(やましたあかね)。この4人グループのリーダー。
そして愛華の左横には加川果歩(かがわかほ)。
愛華の右には徳永美香(とくながみか)。愛華の後ろには安藤有咲(あんどうありさ)。
愛華を逃しまいと4人は愛華の周りをぐるりと囲み目の前の獲物を威嚇する。
愛華はにこりとした表情を崩さずカバンの持ち手を握りしめていた。
茜はこの状況でにこりとした表情の愛華に腹立たしくなった。それもそのはず自分の気に入らない女をこれからどう料理してくれようとしているのにもかかわらず怯えるどころか笑顔なのだから。
茜『何ニコニコしてんだよ』と睨みをきかせながら愛華のカバンを無理やり奪い愛華にたたきつけ落ちたカバンを何度も踏みつけた。
果歩『あーあ。茜怒っちゃったよ。』

有咲『そりゃそうでしょ。この状況で笑うとかマジでキモイ。』

美香『ほんとに死ねばいいのに』
心の無い言葉が飛び交う中で愛華は泣きも怒りもせずただニコッと笑うだけだった。
それが火に油を注ぎ茜は『その顔やめろ。気持ち悪いんだよ』と言いながら愛華の顔面を思いっきり叩いた。
愛華はバタリと地面に倒れあいかの唇は少し切れて血が出ていて顔は少し赤くなっていたが愛華は声もあげず表情はなにもかわらなかった。

美香『こんだけやってもなにも言わないなんてこいつなんなの。』

有咲『バケモンなんじゃね？人間様には理解できないし』

果歩『ていうかー。茜がやめてって言ってるのにこりずにニコニコするとか最悪だねー。人の嫌がることをしては行けませーん』
と言いながら果歩は倒れてる愛華を蹴飛ばした。
理恵と果歩と茜は果歩に続いて愛華を容赦なく蹴飛ばし始めた。
頭やお腹や顔やお尻や足をばしばしと蹴られ続ける愛華も流石に『うっ…』と悲痛な声を出し体を丸めていた。
4人はやっと愛華が悲痛な声を出したぞと楽しそうに笑いながら『気持ち悪いんだよお前』『死ね。死ね。死ね』『もっと痛がれよ』などと罵声をあびせていた。
チャイムさえ鳴ればこの痛みは終わるんだと愛華は自分に言い聞かせながら痛みに耐えていると誰かが近づく足音がしていたがいじめっ子は愛華を蹴ることに夢中で愛華を蹴り続ける。
足音はしだいに大きくなり愛華と茜達の前に姿を現した。
そこには返り血を浴びていて右の拳には先程誰か殴っていたことのうかがえる真新しい血がついてる男が1人。
茜達は男を見て先程まで愛華を蹴り続けていた足を止めて顔が凍りつき声も出せずその場で固まる。
男は愛華や茜達をみて先程まで行われていたことを理解し茜達を睨みつけ『うせろ』と一言。
茜達はたった一声で男の言うとうり去っていった。
去っていったことを確認すると男は愛華の元を何も言わずにさっていく。

取り残された愛華は地面に倒れた体を起こし男がさっていた方向を見つめた。

愛華(あれが噂の………)


男の名前は天道龍一(てんどうりゅういち)。ちなみに愛華と茜達のクラスメイト。
彼の噂というのは、喧嘩が強くて負け無し、老若男女関係なく人を殴る人でなしで、彼と喧嘩した者は皆半殺しの目にあわせ血だらけにし、病院送りにした人も多いいとか。
しかも、女遊びも激しく色んな女性を妊娠させたあげく避妊は1度もしなかったという。極悪非道なことをしていても彼は笑うことも泣くこともしない彼は『冷酷な鬼』と異名を持っていた。
それにしても『冷酷な鬼』と呼ばれた人がどうして私なんかを助けてくれるのだろう。
噂のような極悪非道な人ならば同じクラスとはいえ話したことのない愛華を助けたりするものなのかと疑問に思いながら先程まで蹴られた体の痛みを我慢しながら立ち上がり制服の汚れをパンパンと手で落とし地面に落ちたカバンを拾いまた手でパンパンと汚れを落としているとあることに気づく。

愛華(あっ…天道くんにお礼言うの忘れてた…)

先程の状況で頭が混乱していて冷静になった時に龍一はもう居なくなってしまっていてお礼のひとつも言えなかったことに愛華は気づく。
いくら怖い噂があるとはいえ自分を助けてくれたことには変わらない。
お礼をいうのはお昼休みにしようと愛華は思う。
なぜなら、クラスメイトとはいえ龍一は基本サボっていてクラスにはいない。休憩時間は茜達にいじめられていてとてもじゃないけど探せる状態ではない。
昼休みは茜達がご飯を食べている間、愛華をクラスから追い出し始める。
その時は愛華は少し自由になれるタイミングで龍一を探しお礼を言える。
だが、茜達がご飯を食べ終わったら茜達は愛華を探してに来て見つけられたら授業の予鈴がなるまで殴られるからその前に探さないとなぁと思いながら愛華は茜に叩かれて唇が切れた血を愛華はスカートのポケットに入ったハンカチで唇の血を拭き体の痛みに耐えながらクラスに向かった。