イエローナーシサス

ミチル

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第2話 愛華の日常

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愛華は下駄箱まで辿り着くと朝のホームルームの『キンコーンカンコーン』と予鈴が鳴る。
愛華は下駄箱を開けて上履きを履き体の痛みを我慢して走って自分のクラスに向かう。
ハァハァと肩で息をしながらもようやく教室の扉の前にたどり着いきホームルームに間に合ってよかったと思いながら愛華は教室の扉をガラリと開ける。
先程までガヤガヤと賑やかな声が響いていたクラスはシーンとしていた。
茜『先生じゃなくてお前かよ。』と言いながら自分の机にある自分のノートをビリッと破りぐしゃぐしゃと丸めて紙くずを愛華に投げた。
投げた紙くずは愛華の頭にポンとあたる。
愛華の顔は曇るどころか笑った表情。
それを見たクラスメイトは気持ち悪とボソボソと悪口を言うものや、クラスのリーダーである茜を恐れてうつむき見て見ぬふりをするもの、茜に続き愛華に紙くずを投げるものにわかれていた。
愛華は紙くずが何個も体や足や頭や顔に当たった。
中には石を入れる者もいて、愛華の体に当たり鈍い音がする。
愛華はそんな中、呆然と教室の出入口に立ち尽くしていた。
すると後ろからドンッと愛華は背中を強く押されて教室の床にばたりと倒れた。
後ろから愛華を押したのは担任の相田理子先生(あいだりこせんせい)。
理子先生『大丈夫?』
愛華『大丈夫です…。』
理子先生『だよね!水原さんなにされても楽しそうだし大丈夫よね。』
と言いながら理子先生は倒れた愛華を起こすどころか倒れた愛華を踏んで教卓に向かった。
クラスの一部の人間はケラケラと笑っていて『先生ほんとその通りー!』『水原さん何されても楽しそうだから問題ないもんねー』『てか出入口でたつなよなー!通る人の邪魔じゃね?てか、あいつが邪魔か。あははは。』などと愛華を守る声はなく、担任の理子先生までもが生徒と一緒に愛華をいじめていた。
生徒達が愛華を心無い言葉で色々言う声を止めず理子先生は自分の手を叩き『ほら、そんな床に座ってないで早く水原さん立って席に座って』と何事も無かったかのように振る舞う。
愛華は朝から蹴られ叩かれ地面に倒れ、石の入った紙くずが体に当たったり、先生には背中から押されて床に倒れたりと体中が痛くすっと立ち上がることが出来ずゆっくりとしかたちあがり自分の席に着くとおしりから激しい痛みが走りガタンと立ち上がり愛華は『痛っ…』と声を出す。
愛華の椅子の上には何個もの画鋲があった。
愛華の『痛っ…』という一言を聞き教室はどっと笑い声に包まれていた。
理子先生も笑いながら愛華に近寄り『水原さん!これから朝のホールルームを始めるんだから静かにしてよね。』と、画鋲のことにも気づいてるにもかかわらず画鋲のことはふれず理子先生は教卓の方に戻りなにごともなかったかのよ朝のホームルームをはじめる。
愛華は、椅子の上の画鋲をとり自分の机の上に置き席に座り先生の話を聞く。
聞いている間紙くずや消しゴムを愛華目掛けて飛ばしてくる。
理子先生はそれを注意することも無く朝のホームルームの話をしていた。
時間が経つと『キンコーンカンコーン』と終わりのチャイムが鳴り朝のホームルームが終わる。
理子先生『朝のホームルームはこれでおしまい。』と言い教室から出ていった。
理子先生が教室を出ていくと茜と果歩と美香と有咲が自分の席を立ち愛華の席に近寄りいつものように休憩時間中、愛華を殴ったり罵倒したりする。
授業中では理子先生の授業だけ虐められていて他の先生の授業は愛華のいじめを隠すためにその時だけは何もされることは無い。
ちなみに、放課後は茜が塾に行く時間になるまで虐められる。
だから休憩時間や理子先生の授業と放課後はいじめられ休む暇が無い。
唯一学校の中で休む暇があるのは昼休み茜達がご飯食べている時間だけ。
愛華は昼休みと家に帰るまでいじめを耐え忍ぶというのが愛華のいつもの日常である。
だがしかし、今日はいつもと少し違う。
それは今まで誰も助けてくれなかった愛華を助ける人間がいて、その助けてくれた『冷酷な鬼』と異名を持つ龍一にお昼休みお礼を言いに行くということだ。
だから、いつもはお昼休みが来るまで何も考えず虐められていた愛華だが今日は違うことを考えていた。
それは龍一のことだ。

愛華(お昼休みお礼をいおうとは思ってはいるけど一体、天道くんはどこにいるのだろう)

そう、彼は基本クラスにはおらず学校のどこかでサボっているらしい。
クラスに来る時はテストの時だけ。
授業に参加なんてしてないのに何故かかなり成績優秀で噂では授業参加せずクラスにテスト以外来なくて不良の彼が退学にならないのは成績優秀で優遇されているからとか、先生達が彼を退学できないように龍一が先生を脅しているとか…。
そんな色んな噂を聞く彼だが、どこにいるかまではわからない。

愛華(けど噂では彼は誰ともつるむことがなく一匹狼だって聞いたことあるし、もしそれが本当なら誰もいなくて静かにできるところ…。
だとすると、屋上とかなのかなぁ。)

愛華は昼休みになったらとりあえず屋上から探してみようと思ったのだった。
























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