【R18】サキュバスちゃんの純情

千咲

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22.恋よ来い(一)

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 ひんやり涼しい部屋に、ピチャピチャと水音が響く。唾液をたっぷりと含ませた口内に、程よく硬い陰茎を飲み込んで、舌でゆっくり舐る。

「……っふ」

 翔吾くんの甘い声が聞こえて嬉しくなる。伸びた皮に包まれた二つの柔らかな丸を、手のひらで優しく転がして、ひんやりふにふにとした感触を楽しむ。
 翔吾くんの部屋のベッドで、彼は試験用のテキストを読んでいる。私は彼の両足の間に寝転び、彼の下半身を寛げて、その淫靡な肉棒に口と指で愛撫を施している。

 この状態になって、二十分。イカせるための口淫ではなく、ただ刺激と快楽を与えるだけの戯れ事だ。
 果たして、こんなことで本当にテキストの内容が頭に入っているのか、試験は大丈夫なのか、私にはわからない。翔吾くんからお願いされたから、しているだけ。

「あかり、気持ちいい……」
「んむ」
「イキたくなっちゃうから、激しくしないでね」

 ふぁい、と返事をして、ちょっとアゴ疲れたなぁと考えたりもする。全神経を快楽のために使わないので、そういうふうに余計なことも考えてしまう。
 翔吾くんも、テキストに集中すれば萎えて柔らかくなるし、私が少し頑張ればまた硬くなって声が漏れる。それの繰り返し。
 本当に、戯れ事だ。

 翔吾くんの試験が終わるのは来週の水曜日。今のところ、手堅く単位は取れているという算段らしい。それが終われば、一ヶ月ほどの夏休みになる。
 夏休みになれば、海に行くのだと言っていた。海の近くの別荘に泊まって毎日サーフィンでもするのだろう。
 その間、残念ながら翔吾くんから精液を摂取することはできない。週末だけ精液を求めて別荘に行くのも大変だ。
 ……ひと夏だけの精液を確保することを、本格的に考えなければならない。
 さすがに中学生か高校生かわからない子に手を出すのはマズいので、ケントくんはダメだ。若いけど。絶対、満腹になるけど。ダメなものは、ダメ。……でも、つまみ食い程度なら……いやいや、だから、ダメだってば。

「あかり」
「ふぁい?」
「夏休みはあるの?」

 見上げると、テキスト越しに翔吾くんと目が合う。テキストの背表紙には経営がどうとか書いてある。将来の社長には必須の学問なんだろう。
 陰茎から口を離して、先走りと唾液に濡れた亀頭をチロチロと舐めてから、答える。ん、美味しい。

「山の日から十五日まで、五日間」
「何か予定はある?」
「何もないけど……?」
「じゃあ、長野に行こう」

 長野は確か山のほうの別荘だ。翔吾くんからプレゼントされた服と水着を着る機会が、ようやくめぐってきたということだ。長野に海はないけど、川やプールはあるだろう。

「家族で過ごさないの?」
「俺、もう二十歳だよ? 親と過ごして喜ぶ歳じゃないよ」

 そういうものなのか。「いいよ」と頷いて、亀頭を口に含む。翔吾くんのは、かさが小さめ。口に挿れやすい。

「来週は湘南にいるけど、来る?」
「んー、保留」
「じゃあ、来たくなったらおいで」

 来週は花火大会。うまくいけば、ナンパくんを引っ掛けることができるだろう。
 ……花火大会で荒木さんとの仲が進展することを考えないあたり、日向さんとの勝負には負けているんだろうなぁと思う。情けない。
 今週も日向さんのアピールは続いていた。たぶん、来週も続くだろう。再来週も。
 淡白荒木さんは、肉食女子日向さんの手でもなかなか落ちない。難攻不落の城だ。そんな城を攻め落とすなんて私には無理そうだ、と諦めてしまっている。
 明日のレアチーズケーキデートは、とりあえず様子見でいこうと思う。様子見、で。決して、がっついたりはしないでおこう。

「あかり、疲れてない? 休む?」
「いいの?」
「いいよ。ありがと。気持ち良くしてくれて」

 どういたしまして、と笑った瞬間に、背中に軽い衝撃。薄い冷感掛け布団の上で、翔吾くんを見上げている。私と彼の間に邪魔なテキストはない。
 ……押し倒された?

「翔吾くん?」
「んー、三十分か……」
「翔吾、くん?」
「我慢してね、あかり」
「へ?」

 何を、と聞く前に唇が塞がれる。温い舌が捩じ込まれ、唾液と先走りに濡れた口内をかき混ぜていく。
 スイッチが入った翔吾くんは、左手で私の両手をまとめて押さえつけ、右手でタンクトップを押し上げる。ブラジャーのホックを器用に外し、スカートの裾から右手を割り入れ、ショーツをツツと撫でて笑った。

「……濡れてる」
「だって、仕方な」
「俺のを舐めただけで、こんなにしてくれるの?」
「っあ!」

 ショーツのクロッチ部分から指が侵入し、濡れそぼった花弁に触れる。それだけの刺激なのに、体がピリピリする。思わず腰を引くと、逃さないとばかりに、翔吾くんの腰が、足が、私をベッドに押さえつける。

「欲しかったんだね、あかり。ごめんね、気づいてあげられなくて」
「やっ、あ」
「三十分、イクの我慢して。今度は俺が、あかりを気持ち良くさせてあげる」

 ずるりと引き抜いたショーツをベッドのそばに投げ捨て、翔吾くんは意地悪く、妖艶に笑った。


◆◇◆◇◆


「――っ!」
「あ、イッちゃダメだよ、あかり」

 私が達しそうになると、先ほどまで膣襞を撫でていた指が容赦なく引き抜かれる。唇が、舌が、花芽から離れる。
 酷い。翔吾くんが酷い。イキたいのにイカせてくれない。下腹部が潤んでひくついて切ないのに、翔吾くんはふくらはぎを撫で、太腿にキスマークを残していく。

「掛け布団、びしょびしょ。まぁ、洗えばすぐ乾くし、いいか」

 私ははぁはぁと荒い息のまま、指を舐めて笑っている翔吾くんを見つめて、懇願する。

「お願い、イカせて、翔吾」
「あと五分ね」
「やだ、意地悪しないで」
「耐えて、あかり」

 再びつぷりと三本の指が割れ目を割って挿入ってくる。枕をぎゅうと抱きしめて、顔を押し付けて、嬌声が漏れるのを防ぐ。

「声、聞かせてよ、あかり」
「やっ! 健吾、くん、聞こえ、っあ」
「聞かせてやればいいのに」

 既に赤く腫れているであろう肉芽に舌を添えて、翔吾くんは唇ごと吸い付く。

「あああっ!」

 舌を小刻みに動かしながら、指でイイところを引っかきながら、翔吾くんは執拗に私を攻め立てる。
 イキたいのに、その寸前で止められるのは、とてもつらい。三十分近くこんな状態が続いていて、私の思考回路はもうぐずぐずに蕩かされてしまっている。

「あかり、かわいい」

 ――っあ、また来ちゃう。
 びくんと腰が跳ねる。翔吾くんはすぐに舌を離す。やだ、もう。泣きたい。イキたい。

「また? 速いよ、あかり」
「んっ、も、イカせてぇ」
「指で? 俺ので?」

 もう五分たったの? イカせてくれるの?
 翔吾くんの意地悪な質問に、蕩けた頭で即答する。

「翔吾のが、欲しい」

 指が引き抜かれてすぐ、翔吾くんの屹立した雄が花弁を割って挿入ってくる。熱くて硬くて、大きい。待っていた刺激と圧迫感に、心底ホッとする。安心する。

「んっ、ああっ、やだ」
「あかり、中トロトロだよ」

 さっきまで執拗に指が攻め立てていた箇所を、今度は亀頭が攻め立ててくる。枕を放って、翔吾くんに抱きつく。冷房なんか意味がないくらい熱い私の体に気づいて、翔吾くんは苦笑する。

「よく我慢したね。おいで、あかり」
「翔吾、くんっ、あ、しょーごくっ」
「おいで」

 ぎゅっと翔吾くんの首に抱きついて、強い快感の波に耐える。大きく震える腰。膣壁が一気に収縮する。翔吾くんの熱を咥え込んで、もっと欲しいと言わんばかりに、中が蠢く。

「っは、あ、はあ……っあ」
「気持ち良かったね、あかり」
「はぁ……っふ、う……しょーごぉ」
「じゃ、もう一回おいで?」

 ぐ、と腰を押し付けられると、一番奥に当たる。先端が奥を擦る。翔吾くんが右手の親指を舐め――熟れた花芽に添える。

「やぁぁっ!」
「ん、いい声」

 親指が肉芽を擦るたび、びくびくと腰が震え、嬌声が零れる。健吾くんに声が聞こえちゃう、と思いながらも、我慢ができない。
 体を揺すられて、奥を執拗に穿たれて、涙が溢れる。引いたはずの波がまたやってくる気配を感じる。

「しょーご、きちゃ、っ」
「ん、俺も」

 抽挿が速くなる。ポタリと翔吾くんの汗が落ちてくる。いつの間にか、二人とも汗だくになっている。
 翔吾くんを見つめると、意図を理解してくれたのか、ぐっと腰を折ってキスをしてくれる。唇を、舌を貪り、お互いの体液に濡れながら、その瞬間を待つ。

「っあ」

 翔吾くんが短く漏らした声に、私の体も反応する。膣内が収縮し、中に吐き出された精液を搾り取る。

「んっ、ん、ん」

 収縮がおさまるまで、キスをしたまま。波が引いていくまで、微動だにしない。

「は……一緒にイクの、気持ち良すぎる……」

 絞り出すようにそう言って、翔吾くんは私の上に倒れ込んでくる。熱くて重いのに、心地よい。

「あかり?」
「んー、もー、ダメ」
「シャワー浴びようよ」
「やだ、まだここにいたい。動きたくないー」

 翔吾くんは「困ったなぁ」と苦笑して、額にキスを落としてくれる。

「シャワー、二人で入ろ?」
「……お風呂、入ってもいい?」
「いいよ。ぬるめで沸かすね?」
「うん」

 キスをしながら、翔吾くんが腰を引いて柔らかくなった陰茎を引き抜く。抜いたあとも何度もキスをして、二人で笑い合う。

「あかり」
「ん?」
「好きだよ」

 それだけ言って、翔吾くんは部屋の外へ向かった。筋肉質なおしりが、かわいい。
 ……それにしても、セックスのあと男の人が全裸で歩き回るのは、なぜだろう。開放的な気分になるのだろうか。翔吾くんも湯川先生も、本当に不思議。

 ぐっしょりと濡れたショーツをベッドのわきから拾い上げて、私は頷く。カバンに入れてて良かった、新しい下着!
 私は一つ賢くなったのだ。

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