俺の番が最凶過ぎるっ

星宮歌

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第一章 神嫌いの最凶神

第二十五話 ルカの異変

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「なら、俺が送っていく!」


 そう宣うシグルドに対して、ルカは間髪入れることなく言い放つ。


「断る」


 シグルドの言葉を容赦なく拒絶したルカは、そのまま席を立とうと立ち上がる。しかし……。


「っ、ルカ!?」

「っ……触るなっ」


 立ち上がったルカは、そのまま盛大にふらつく。それをシグルドが支えるも、すぐに、ルカはその手を振り払ってしまう。


「ルカっ? 体調が悪いのかっ? それとも、どこか怪我をっ? は、早く、医療の神のところへ「必要ない」だがっ!」


 弱さとは程遠い位置に居ると思われていたルカの様子に、ただ一人、素直に心配ができたのはシグルドのみ。デルロやジュライアは、状況の認識ができないのか、固まったままだ。


「何かの病気かもしれないっ。痛いところはないか? 体が、ツライとかっ」

「うるさい。僕は、帰る」


 心配して手を伸ばすシグルドに、ルカはやはり冷たい。ただ、帰ると言ったにもかかわらず、ルカはその場を動くことはなかった。


「大丈夫だ! 性格には難ありだが、腕の良い医療の神が居る! さぁっ、すぐに行こうっ!」

「ちょっ!?」


 そんな言葉と同時に、シグルドはルカを抱きかかえる。俗に言う、お姫様抱っこというやつだ。その光景が信じられないのか、背後ではデルロもジュライアも目を点にしているが、シグルドの行動は早かった。図書館であるにもかかわらず、シグルドは神速で駆け出し、そのまま医療の神が居るであろう病院へと駆け込む。


「頼む! ルカを診てやってくれ!!」


 そこは、ベリアナの住居でもある病院。そして、本来、神が病を患ったり、毒に侵されたり、怪我を負ったりすることは少ないし、普通は、すぐに回復する。だから、病院といえど、戦いが起こらない限り、そこに患者が居ることは稀である。


「おぅっ! テメェッ、うるせぇぞ! 病院内は静かにしろやっ!」

「患者に響いたらどうするつもりだっ! あぁっ!?」


 ちなみに、この病院の受付に居るのは、若い女神とかではなく、救命の神だったりする。そう、ついこの間、シグルドの両脇を固めて連行した屈強な神達だ。そんな彼らは、シグルドの様子に、ドスの効いた小声で注意を促す。


「す、すまない。ルカ、大丈夫か?」

「チッ、問題ないから、さっさと離せ! 僕はかえ――」


 『帰る』と言いかけたルカは、いつの間にか移動していた救命の神達に担架へと乗せられ、拘束される。


「なっ、ちょっ!?」

「さぁっ、診察してもらいましょうかっ」


 ルカであれば、きっと、その拘束を振り解くことは可能だろう。しかし、そうしようとしたところで、シグルドが『キューン』と鳴いている声を聞き、固まってしまう。
 そうこうする内に、ルカはベリアナの元へと運ばれて行った。
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