俺の番が最凶過ぎるっ

星宮歌

文字の大きさ
58 / 129
第一章 神嫌いの最凶神

第五十七話 確認作業*

しおりを挟む
「ねぇ、いつまでしがみついてるつもり?」


 シグルドを運んだルカは、現在、自室に戻って、シグルドをベッドに横たえようとしたところで止まる。どうにか震えが治まったものの、ルカの袖を掴んで離さないシグルド。
 呆れたような声で問うルカを、シグルドは不安そうに見上げる。


「そ、その……もう少し、このままで……」

「…………」


 遠慮がちに、しかし、切実な声で告げたシグルドを前に、ルカは何も応えない。


「ルカ……?」


 『ダメ、だろうか?』と言いたげなシグルド。それを見て、ルカは大きくため息を吐く。


「っ、す、すまない。我儘、だったな。今のは忘れて「とりあえず、横になって」あ、あぁ」


 ペタリと耳を横に倒して、何とも悲しそうな表情をするシグルド。そんなシグルドは、何の疑いも持たずに、ルカの言葉通り、ベッドに横たわり……。


「……? ルカ?」


 その直後、ベッドに乗り上げたルカがシグルドの上に、馬乗りになる。


「怪我は、してない?」

「っ、あ、あぁ。多分」

「多分?」

「……その、必死に逃げていて、それどころではなかったんだ……」


 ルカの問いかけに、激しく動揺しながらも、懸命に思考を巡らせて応えるシグルド。そんなシグルドを見て、何を思ったのか、ルカは再び、狐の面を外す。


「そう。なら、確認が必要だね」

「かく、にん……?」


 眉間にシワを寄せながら言い切ったルカ。ただ、シグルドはとうとう思考が追いつかなくなり、ただただ、ルカの言葉を繰り返す。


「そう。幸い、その服は僕があげたやつだし、どうしようと僕の勝手だよね?」

「え? あ……?」


 何がなんだか分からないといった表情のシグルドを放置して、ルカは、一応部屋を出る前にシグルド用にと置いておいた服……つまりは、現在、シグルドが身に纏っている服に手をかける。


「ルカ……?」

「…………」


 シグルドの呼びかけに、ルカは応えることなく、シグルドの服を破き始める。


「っ、え? ル、ルカ!?」


 ものの数秒で、上半身を丸裸にしてしまったルカは、シグルドの引き締まった肉体をじっくりと観察する。そして、観察を終えたかと思えば、シグルドをゴロンと転がして、うつ伏せにしてから、もう一度じっくり観察する。


「次、下半身」

「え゛っ!?」


 何が起こっているのか理解できていないシグルドは、それでも、今のと同じことを下半身でもされるのだと気づき、慌ててルカから逃れようともがくも……。


「大人しくして」

「はぃ……」


 なぜか高まるルカの怒気に当てられて、ルカから逃れようとするのを止める。そして、やはりものの数秒で下半身を露出させられると、同じく、じっくりとした観察が行われる。


「ぁ……うぁ……」


 羞恥で真っ赤になるシグルドを意にも介さず、背中側、そして、シグルドのシグルドが良く見えるお腹側まで観察し終えたルカは、両手で顔を覆ったシグルドを見て、そっと、シグルドの横腹へと手を滑らせた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...