71 / 132
第一章 帰還と波乱
第七十一話 世界の違和感(フィオナ視点)
しおりを挟む
「おかしいですね」
私達は、とにかく『サクッと邪神討伐』ということを目標に、現在、十一体目の邪神を討伐したところでした。城から出て、今日で十五日目なので、きっと、あそこに居た神々は私達を捜し回っていることでしょう。しかし、それでもお母様の行方を知る邪神は現れません。もしかしたら、最後の一体こそがその邪神なのかもしれませんが、どうにも腑に落ちないような、モヤモヤとした感覚があります。
「フィオナ……ここまで戦ってきたけど、何で、全部の邪神が封じられていなかったんだろう?」
そう、問いかけるラルフに、私は、頭を働かせてはみますが、答えが出ません。そもそも、世界には、邪神を何体か封印しなければならないという決まりがあります。そうしなければ、世界は上手く回らないとされているのですが、その封印された邪神の姿を、私達はまだ一度も感知していないのです。
「封印されている状態なら、討伐せずに進みたいところなのですが、今のところ、全ての邪神が活動していますね」
ある邪神は、様々な植物によって国を飲み込み、ある邪神は地下で凶悪な魔物の軍勢を生み出し、ある邪神は様々な生き物を喰らい続けていました。それは、どれか一つをとっても、世界の一大事。だというのに、私達は、それを一切知らないままでいました。
「何か、大きなことが起こっていることに間違いはないと思いますが……」
お母様達が帰って来ないのも、世界がこれだけ異常に包まれていて情報が来ないのも、恐らくは、何か大きな存在が裏で動いているせい。
「見つけたわよぉぉぉおっ!!」
と、その時、どこか聞き覚えのある声が、前方から迫っていることに気づきました。
「あれは……」
「エイリーンさんと、ローランさん、あと、ロードさんだっけ?」
山の神であるガタイの良いドレス姿の神と、かつて勇者だったお母様の従者、そして、竜神様と呼ばれて親しまれているロードさん。その三人が……いや、ローランさんはエイリーンさんに俵担ぎされた状態なので、実質走っているのは二人でしたが、とにかく、彼らの姿がそこにありました。
「どうする? フィオナ」
「……今はひとまず、情報共有した方が良いかもしれませんね」
城を出てからしばらく経っていることですし、もしかしたら、お母様達に関する情報が一つくらいあるかもしれません。そう考えて、私達は、大人しく彼らに捕まることにしました。
私達は、とにかく『サクッと邪神討伐』ということを目標に、現在、十一体目の邪神を討伐したところでした。城から出て、今日で十五日目なので、きっと、あそこに居た神々は私達を捜し回っていることでしょう。しかし、それでもお母様の行方を知る邪神は現れません。もしかしたら、最後の一体こそがその邪神なのかもしれませんが、どうにも腑に落ちないような、モヤモヤとした感覚があります。
「フィオナ……ここまで戦ってきたけど、何で、全部の邪神が封じられていなかったんだろう?」
そう、問いかけるラルフに、私は、頭を働かせてはみますが、答えが出ません。そもそも、世界には、邪神を何体か封印しなければならないという決まりがあります。そうしなければ、世界は上手く回らないとされているのですが、その封印された邪神の姿を、私達はまだ一度も感知していないのです。
「封印されている状態なら、討伐せずに進みたいところなのですが、今のところ、全ての邪神が活動していますね」
ある邪神は、様々な植物によって国を飲み込み、ある邪神は地下で凶悪な魔物の軍勢を生み出し、ある邪神は様々な生き物を喰らい続けていました。それは、どれか一つをとっても、世界の一大事。だというのに、私達は、それを一切知らないままでいました。
「何か、大きなことが起こっていることに間違いはないと思いますが……」
お母様達が帰って来ないのも、世界がこれだけ異常に包まれていて情報が来ないのも、恐らくは、何か大きな存在が裏で動いているせい。
「見つけたわよぉぉぉおっ!!」
と、その時、どこか聞き覚えのある声が、前方から迫っていることに気づきました。
「あれは……」
「エイリーンさんと、ローランさん、あと、ロードさんだっけ?」
山の神であるガタイの良いドレス姿の神と、かつて勇者だったお母様の従者、そして、竜神様と呼ばれて親しまれているロードさん。その三人が……いや、ローランさんはエイリーンさんに俵担ぎされた状態なので、実質走っているのは二人でしたが、とにかく、彼らの姿がそこにありました。
「どうする? フィオナ」
「……今はひとまず、情報共有した方が良いかもしれませんね」
城を出てからしばらく経っていることですし、もしかしたら、お母様達に関する情報が一つくらいあるかもしれません。そう考えて、私達は、大人しく彼らに捕まることにしました。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる