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第二章 異質な神界
第七十三話 学校
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少しばかり傷んだ床板の上、城などとは比べ物にならないほど狭い廊下。スライド式の扉はガラガラと音を立てるし、部屋の中に並んでいる椅子や机は、どれもこれも使い古されたもの。そして、それらの部屋には、同年代の子供達が集まって、仲良く話をしていたり、何かを書いていたり、遊んでいたりする。
「フィーオーナーちゃん!」
「ひゃあぁっ」
席に座って、教材を準備していた私は、突如として背後から強襲され、思わず声をあげてしまいます。
「ふふふっ、かーわいっ、ねぇ、移動教室、一緒に行きましょうよっ!」
「レレア。あなたねぇ」
背後に感じるムニュリとした感触の持ち主へと振り返れば、そこには水色の髪にピンクの瞳を持つ巨乳ロリ……いえ、身長が低くて童顔なくせに、胸だけ発達した少女が居た。
「フィオナ、僕と一緒に……って、レレアさんも一緒?」
「ラルフ! いえ、ここには私しか居ませんよ? レレアなんて存在しませんよ?」
ラルフはいつもカッコイイ。そう思いながら、私はラルフだけと一緒に移動教室へと向かおうとします。
ここは、学校。それも、異世界の神界の学校です。ここは、神の中ではまだ子供に当たる者達が通う神界学校……の下級学校。なぜ下級かというと、この学校、あまり予算が割かれていない、能力の低い者が通う学校だからという理由があります。ただし……。
(神に学校だなんて、本当に、この世界は変わっていますね……)
神は、あまりにも強過ぎる個性ゆえに、学校などという一箇所で大勢を教える空間では統率は取れません。本来は、親である神や、周囲の神々に教えを乞うなり、独学で勉強するなりでその神性を高めるものです。学校という空間は、神にとってそれを抑制するような場でしかないというのが、多くの神界における見解でした。
(常識を学ぶという点は良いのかもしれませんが、常識に囚われれば、我々神は、その力の本領を発揮できなくなるというのに……)
もちろん、神の中でも常識を重んじる神は居ます。しかし、ここぞという時には、それを破れるだけの頭を持たなければ、神としての能力が伸びることなどありません。
「えっ? 待って! レレアはここに居ますよー。ほら、フィーちゃんのレレアですよーっ」
「ラルフ、今日も素敵です。このまま、世界を滅ぼしてでも駆け落ちしたいです」
「おーい、フィーオーナーちゃーん?」
「ダメだよ。世界を滅ぼすのは面倒でしょう?」
「ちょっとーっ、誰か、この調子ハズレの二人をどうにかしてくださーいっ」
「そうですか……ですが、私は諦めませんよ」
「うぇーんっ、フィーちゃんが私を無視するーっ」
とうとう泣き真似を始めたレレアですが、誰もが彼女の様子に苦笑いか無視かの二択を取ります。
「とりあえず、ラルフ、一緒にいきましょう? エスコートをお願いしますね?」
「うん、分かったよ」
この学校に入学した当初も似たようなことがありましたが、そこでも私達は、他の神と関わろうとしませんでした。その結果、彼らは、私達に突っかかるだけ無駄だと悟ったようです。
「あっ、ちょっと待ってーっ!!」
ラルフと一緒に楽しく歩いていると、背後で何か羽虫が騒いでいる気がしましたが、所詮は羽虫です。気にすることなく、私達は歩きました。
「フィーオーナーちゃん!」
「ひゃあぁっ」
席に座って、教材を準備していた私は、突如として背後から強襲され、思わず声をあげてしまいます。
「ふふふっ、かーわいっ、ねぇ、移動教室、一緒に行きましょうよっ!」
「レレア。あなたねぇ」
背後に感じるムニュリとした感触の持ち主へと振り返れば、そこには水色の髪にピンクの瞳を持つ巨乳ロリ……いえ、身長が低くて童顔なくせに、胸だけ発達した少女が居た。
「フィオナ、僕と一緒に……って、レレアさんも一緒?」
「ラルフ! いえ、ここには私しか居ませんよ? レレアなんて存在しませんよ?」
ラルフはいつもカッコイイ。そう思いながら、私はラルフだけと一緒に移動教室へと向かおうとします。
ここは、学校。それも、異世界の神界の学校です。ここは、神の中ではまだ子供に当たる者達が通う神界学校……の下級学校。なぜ下級かというと、この学校、あまり予算が割かれていない、能力の低い者が通う学校だからという理由があります。ただし……。
(神に学校だなんて、本当に、この世界は変わっていますね……)
神は、あまりにも強過ぎる個性ゆえに、学校などという一箇所で大勢を教える空間では統率は取れません。本来は、親である神や、周囲の神々に教えを乞うなり、独学で勉強するなりでその神性を高めるものです。学校という空間は、神にとってそれを抑制するような場でしかないというのが、多くの神界における見解でした。
(常識を学ぶという点は良いのかもしれませんが、常識に囚われれば、我々神は、その力の本領を発揮できなくなるというのに……)
もちろん、神の中でも常識を重んじる神は居ます。しかし、ここぞという時には、それを破れるだけの頭を持たなければ、神としての能力が伸びることなどありません。
「えっ? 待って! レレアはここに居ますよー。ほら、フィーちゃんのレレアですよーっ」
「ラルフ、今日も素敵です。このまま、世界を滅ぼしてでも駆け落ちしたいです」
「おーい、フィーオーナーちゃーん?」
「ダメだよ。世界を滅ぼすのは面倒でしょう?」
「ちょっとーっ、誰か、この調子ハズレの二人をどうにかしてくださーいっ」
「そうですか……ですが、私は諦めませんよ」
「うぇーんっ、フィーちゃんが私を無視するーっ」
とうとう泣き真似を始めたレレアですが、誰もが彼女の様子に苦笑いか無視かの二択を取ります。
「とりあえず、ラルフ、一緒にいきましょう? エスコートをお願いしますね?」
「うん、分かったよ」
この学校に入学した当初も似たようなことがありましたが、そこでも私達は、他の神と関わろうとしませんでした。その結果、彼らは、私達に突っかかるだけ無駄だと悟ったようです。
「あっ、ちょっと待ってーっ!!」
ラルフと一緒に楽しく歩いていると、背後で何か羽虫が騒いでいる気がしましたが、所詮は羽虫です。気にすることなく、私達は歩きました。
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