悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第二章 異質な神界

第七十五話 この世界に来て

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 私とラルフの間に乱入しようとしたデ、デ……デクノボウ? とにかく、そんな名前の誰かは、いつの間にか消えていて、その日の授業を終えた私達は、そっと、集合場所へと向かいます。
 学校の中で、使われていない教室のうち、幽霊騒ぎで不良すらも寄り付かなくなった場所。その教室に、ラルフと一緒に待機していると、まずはロードさんが入ってきました。


「やはり、お二人が一番早いですね」

「はい、そこはやはり、私達の拠点がこの学校だから、仕方ないことかと」


 ロードさんは穏やかに微笑むと、用意しておいた椅子に腰掛けます。


「今日もまだ、ローランさんは来ないのでしたよね?」

「はい、ローランは、まだ神として覚醒して間がないので、次元移動をするにはもう少しだけ時間が必要になります。ただ、エイリーンはそろそろ……来ましたね」


 そんな一言で扉の方へ視線を移せば、ガラガラと扉が開き、エイリーンさんがやってきました。ただし、この世界で、あのメイクやドレスは目立つので現在、エイリーンさんはソコソコイケメンな顔を晒しています。服も、彼に合うラフなものとなっています。


「待たせたわね」

「いえ、私達も今来たばかりですので」


 ここに集まったのは、当然、あの世界から渡ってきた面々。そして、集まった目的はただ一つ。


「では、得た情報の整理から始めましょう」


 この世界での私達の役割を果たすため、です。


「私達の目的は、この世界を起点とした崩壊の連鎖を止めること。そのために、この世界の過去に干渉し、原因を探ることです。そして現在、この世界にはいくつかの歪みが見られることが明らかになっています」

「僕達が今居る学校も、歪みの一つだね」

「はい、そうです」


 通常、一つの世界が滅んだところで、他の世界にはほとんど影響は出ません。しかし、創世神様から連絡を受けたあの時、あの世界は、確かに滅びへと向かっていました。


「歪みが直接の原因なのかはまだ不明ですが、まずは、これを第一に考えて行動したいと思っています。では、まずは、ロードさん、報告をお願いしても良いですか?」

「はい。では、私が調べた内容を話しましょう」


 創世神様に分かったことは、今、私達が居るこの世界が、何らかの原因となったであろうこと。そして、お母様達へ邪神に飛ばされたついでにその解決を頼んでも、どうにもならなかったこと。過去への干渉は、お母様達が頑張って、どうにか数名の神を送り込めるくらいのことしかできないことでした。


「この世界の工業地区、商業地区、農業地区、をそれぞれ廻ったところ、その全てに活気がないということが判明しました。鉄を叩く音もなければ、売り込みの声もない。畑は荒れ果て、どこにも作物が実っていない。それが、この世界の現状です」


 思わず息を呑むような報告内容。ですが、それも予想はできたことでした。この世界が滅ぶのは、決定事項なのですから。
 その後も、それぞれに気づいたことを報告し合い、私達は、歪みの正体を必死に探ります。しかし、それが、まさかあんなことに繋がるとは、この時、まだ誰も考えてはいませんでした。
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