私、異世界で監禁されました!?

星宮歌

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第三章 歩み寄り

第六十二話 ヘルジオン魔国とお茶会再開?(ジークフリート視点)

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 北西に位置する国、ヘルジオン魔国に調査に向かったナリクからの報告書を見ながら、俺はいつの間にか眉間にしわを寄せる。


「随分と荒れてるな。こちらに被害が来なければ良いが……」


 ヘルジオン魔国は現在、魔王の片翼が我が儘放題の少女だったことから、内乱に発展しかねないほどに国内が荒れているようだった。実際、ここ最近では有力な貴族らの亡命要請が相次いでいた。


「防衛の強化はしているが……いつ、何があるか分からないな」


 国境の防衛強化はもちろん、亡命を求めてきた貴族達の調査、及び受け入れも同時進行で進めている。また、国内に諜報員の影が見られるため、その監視も実行中だ。


「メアリー、ハミルを呼んできてくれ」

「かしこまりました」


 俺にとっては、北西。ハミルトンにとっては北東に位置するこの国の現状は、お互いに共有した方が良いと判断して、今もなお滞在中のハミルトンを呼びに行かせた俺は、ふと、窓の外に視線を向ける。


「そういえば、お茶会の再開が延びていたな」


 リドルに任せていたユーカのお茶会。一度だけ、猫姿で参加させてもらい、苦悩したことのあるお茶会。アマーリエの乱入によって、警備の見直しを行ったは良いものの、それからはまだ、色々なことがあってユーカを誘えていなかった。


「今はリドは居ないが……俺達が誘えば良いか?」


 警備をいくら見直しても、自分達が居ない間にユーカを外に出すのは心配だ。それならば、いっそのこと、自分達も参加すれば良いではないかと結論を出す。


「これもハミルに相談だな」

「ジーク、来たよー」


 と、そこにちょうどメアリーをともなったハミルトンが姿を現す。


「あぁ、すまないな。呼びつけて」

「いや、良いよ。ちょうど、今日の分の仕事が終わったところだったしね」


 そう言って手をヒラヒラとさせるハミルトンは、すぐにその表情を引き締める。


「それで? 何の用なんだい?」

「あぁ、まずは、これを見てくれ」


 そう言って、ナリクからの調査報告書を見せると、ハミルトンは苦虫を噛み潰したような表情になる。


「相変わらず仕事が早いね。羨ましい限りだよ」

「お前のところも優秀な諜報員は居るだろうに」

「うーん、まぁ、ね? それで、これを見せてきたってことは、共同で事に当たろうって話かな?」

「そうだ。普段なら、各自で対処することだが……今は、ユーカが居る。極力、危険は遠ざけたい」

「それは、確かに。場合によっては、僕の城の方にユーカを招待すべきかな?」

「あぁ、その時は頼む」


 ヘルジオン魔国はヴァイラン魔国との交流が深い。万が一、内乱が起こった場合、ヴァイラン魔国にも被害がないとは言い切れない。


「ヘルジオンが一段落するまでは、ユーカを外に出すつもりはないが、流れてきた魔族達が何も揉め事を起こさないとは思えない」

「うん、ユーカを出さないことには僕も賛成だよ。もし、内乱の影響で、ヴァイラン魔国内に争いが起こるようであれば、僕の方からも力を貸すよ」

「悪いな」

「ふふっ、これは貸しだからね」


 そんな取引をして、具体的に何が起こり得るのかの想定と対策を一通り話した後、俺はもう一つの話を振る。


「ところで、話は変わるが、ユーカのお茶会を再開しようと思う」

「あっ、それは僕も思ってたよ。毎日、本を読むか魔力訓練をするかくらいしかやることがなさそうだったからね。せめて、お茶会くらいはさせてあげたいなって」


 すぐに賛同してくれたハミルトンに、俺は続けて提案する。


「それで、今はリドが片翼休暇中だから、俺達が誘ってみるというのはどうだ?」

「!? 僕達が、ユーカとお茶会?」


 その提案内容は、ハミルトンにそれなりの衝撃を与えたらしく、少しだけぼんやりとしたハミルトンは、徐々にその表情を嬉しそうなものへと変えていく。


「良いっ。良いよっ。それっ。そうだよねっ、今、僕達は怖がられてないんだから、お茶会だってできるんだよねっ」


 ひどく嬉しそうに、そして、幸せそうにするハミルトンに、俺もユーカとのお茶会を想像して頬を緩める。


「あっ、そうだっ。そうしたらさ、あの時のリドが見せつけてきたことを、今度は僕達がするのもありかな?」


 そう言われて、俺の頭の中には、リドルに餌付けされるかのようにケーキを食べさせてもらっていたユーカの姿が浮かび上がる。


「……俺達が、ユーカに食べさせる……?」

「……絶対、ユーカは可愛いよ?」


 名案だとばかりに推してくるハミルトンに、俺もそのまま名案だと思えてくる。顔を赤くしてくるであろうユーカが、あの可愛らしい小さな口を開けてケーキを食べてくれる様子を想像するだけで、しばらく悶絶したい気分になる。


「よしっ、それでいこうっ。メアリー、お茶会の手配を頼む。訓練の後、お茶会にする」

「かしこまりました」


 触れられるのがダメである可能性だとか、今はまだ意識されて避けられている状態にあるだとかいう考えが完全に抜けたまま、俺達は欲望の赴くままに計画を立てる。そして、全ての手配が終わった後、俺達は機嫌良くユーカとの魔力訓練に挑むのだった。
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