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第一章 ドラグニル竜国へ
第八話 病気?(アルム視点)
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シェイラ嬢にお見合いをさせることになって、ボクは誰ならシェイラ嬢を任せられるかをじっくりと検討する。
「こっちは、女癖が悪いのさえなければな……あぁ、だが、こちらは良いかもしれない。近衛騎士団団長、ヨークか……」
そうして、一通りシェイラ嬢に勧められそうな男を探し出した後は、夜会の開催だ。最初は小さなパーティーでも、と考えたのだが、よくよく思い出してみれば、ここ最近、夜会を開いた記憶がない。シェイラ嬢の御披露目も兼ねて、一度、そういった集まりを開催するのも悪くはないだろう。
(いや、むしろ、ちゃんと御披露目をしておかなければ、シェイラ嬢が危険、か?)
寵妃という立場は、王の寵愛があってこそ成り立つ立場だ。正妃とは別に、王の心を慰めるその存在は、寵愛されているという事実がなければ、ただの身分の低い娘であることが多い。もちろん、シェイラ嬢自身、元の国での身分は高いものではあるが、国を捨てた時点でそれは通用しない。シェイラ嬢は、ボクが何もしなければ、平民の身分になったことだろう。
(寵愛……寵愛といえば、膝に抱く、とかか?)
歴代の竜王が、寵妃に対してどんな態度を取っていたのかという知識は、むろん、存在する。彼らは皆、一様に、夜会などの集まりの場では、寵妃を膝に抱き、甘やかしていたという。
(ボクもそれに習わなきゃ、シェイラ嬢がボクに愛されてないのではないか、なんて憶測を生みかねないな)
他の香水をたっぷり振りかけた女を膝に抱くのは勘弁だが、シェイラ嬢ならば何も問題はない。彼女は、『絶対者』を通じた同志だ。シェイラ嬢を守るために必要なことなら、どんなことだってやってみせよう。
(まぁ、下賜するには、寵愛が薄れている状態でなければならないだろうが、今はまだ、危険を遠ざけることの方が優先だ。シェイラ嬢が気に入る男が居れば、そいつと進展するに従い、寵愛が薄くなっているように見せかければ良い)
そうして、ボクは実際にシェイラ嬢を膝に乗せて、夜会に臨む。
(シェイラ嬢には、そろそろボクを名前で呼び捨てにしてもらうようにしなくては。寵妃がいつまでも敬称つきでボクを呼ぶのは、あらぬ誤解を生む)
そんなことを考えながら、しばらくボクがシェイラ嬢を任せられそうな男達を紹介していたのだが……考え事をしていたせいで、ボクはシェイラ嬢の体調に気づくのが遅れた。
(っ、しまった、な。この国には慣れてきたとはいえ、いきなり無理をさせ過ぎたか)
寵妃のために、竜王が退出することに文句を言うものは居ない。しかし、さすがに挨拶も終えていないのに退出するというのは難しい。
ボクは、シェイラ嬢に少しだけ我慢してほしいことを告げて、早く挨拶を終えようと必死になる。
「シェイラ? もう挨拶は終わったから、すぐに部屋に連れていってやるからな」
「は、ぃ……」
顔が赤く、熱がありそうな状態。返事も元気がない。もしかしたら、挨拶なんて呑気なことを言っている場合ではなかったかと、慌ててシェイラを自室に連れていき、医師を呼ぶ。
「陛下、お呼びと聞きまして参りました」
「入れ」
「はっ!」
現れたのは、医師というより騎士と言った方がしっくりくる体格の竜人。ただし、そんな体格でも、一応女性ではあった。名前はローズ・テッタ。この国でも珍しい女医だ。
「夜会の最中に、顔を赤くして、元気がなくなった。何か、悪い病気ではないだろうか?」
とにかく彼女の容態を話せば、段々とローズの眉間にシワが刻まれていく。
(そんなに、良くないのだろうか?)
人間は弱い。だからこそ、もしかしたら重篤な病気ではないかと、気が気ではなかった。
「彼女自身に、問診を行います。陛下は、ご退出を願います」
「……分かった」
ローズの態度は、聞く者が違えば、無礼だと言われかねないものの類いだが、ボクは気にならなかった。ローズは常に職務に忠実なのだから。
部屋から出たボクは、シェイラ嬢のことをとにかく心配しながらも、じっと、診察が終わるのを待つのだった。
「こっちは、女癖が悪いのさえなければな……あぁ、だが、こちらは良いかもしれない。近衛騎士団団長、ヨークか……」
そうして、一通りシェイラ嬢に勧められそうな男を探し出した後は、夜会の開催だ。最初は小さなパーティーでも、と考えたのだが、よくよく思い出してみれば、ここ最近、夜会を開いた記憶がない。シェイラ嬢の御披露目も兼ねて、一度、そういった集まりを開催するのも悪くはないだろう。
(いや、むしろ、ちゃんと御披露目をしておかなければ、シェイラ嬢が危険、か?)
寵妃という立場は、王の寵愛があってこそ成り立つ立場だ。正妃とは別に、王の心を慰めるその存在は、寵愛されているという事実がなければ、ただの身分の低い娘であることが多い。もちろん、シェイラ嬢自身、元の国での身分は高いものではあるが、国を捨てた時点でそれは通用しない。シェイラ嬢は、ボクが何もしなければ、平民の身分になったことだろう。
(寵愛……寵愛といえば、膝に抱く、とかか?)
歴代の竜王が、寵妃に対してどんな態度を取っていたのかという知識は、むろん、存在する。彼らは皆、一様に、夜会などの集まりの場では、寵妃を膝に抱き、甘やかしていたという。
(ボクもそれに習わなきゃ、シェイラ嬢がボクに愛されてないのではないか、なんて憶測を生みかねないな)
他の香水をたっぷり振りかけた女を膝に抱くのは勘弁だが、シェイラ嬢ならば何も問題はない。彼女は、『絶対者』を通じた同志だ。シェイラ嬢を守るために必要なことなら、どんなことだってやってみせよう。
(まぁ、下賜するには、寵愛が薄れている状態でなければならないだろうが、今はまだ、危険を遠ざけることの方が優先だ。シェイラ嬢が気に入る男が居れば、そいつと進展するに従い、寵愛が薄くなっているように見せかければ良い)
そうして、ボクは実際にシェイラ嬢を膝に乗せて、夜会に臨む。
(シェイラ嬢には、そろそろボクを名前で呼び捨てにしてもらうようにしなくては。寵妃がいつまでも敬称つきでボクを呼ぶのは、あらぬ誤解を生む)
そんなことを考えながら、しばらくボクがシェイラ嬢を任せられそうな男達を紹介していたのだが……考え事をしていたせいで、ボクはシェイラ嬢の体調に気づくのが遅れた。
(っ、しまった、な。この国には慣れてきたとはいえ、いきなり無理をさせ過ぎたか)
寵妃のために、竜王が退出することに文句を言うものは居ない。しかし、さすがに挨拶も終えていないのに退出するというのは難しい。
ボクは、シェイラ嬢に少しだけ我慢してほしいことを告げて、早く挨拶を終えようと必死になる。
「シェイラ? もう挨拶は終わったから、すぐに部屋に連れていってやるからな」
「は、ぃ……」
顔が赤く、熱がありそうな状態。返事も元気がない。もしかしたら、挨拶なんて呑気なことを言っている場合ではなかったかと、慌ててシェイラを自室に連れていき、医師を呼ぶ。
「陛下、お呼びと聞きまして参りました」
「入れ」
「はっ!」
現れたのは、医師というより騎士と言った方がしっくりくる体格の竜人。ただし、そんな体格でも、一応女性ではあった。名前はローズ・テッタ。この国でも珍しい女医だ。
「夜会の最中に、顔を赤くして、元気がなくなった。何か、悪い病気ではないだろうか?」
とにかく彼女の容態を話せば、段々とローズの眉間にシワが刻まれていく。
(そんなに、良くないのだろうか?)
人間は弱い。だからこそ、もしかしたら重篤な病気ではないかと、気が気ではなかった。
「彼女自身に、問診を行います。陛下は、ご退出を願います」
「……分かった」
ローズの態度は、聞く者が違えば、無礼だと言われかねないものの類いだが、ボクは気にならなかった。ローズは常に職務に忠実なのだから。
部屋から出たボクは、シェイラ嬢のことをとにかく心配しながらも、じっと、診察が終わるのを待つのだった。
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