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第一章 ドラグニル竜国へ
第九話 籠の鳥
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「あれは、地獄でした……」
そう一人ごちる私は今、与えられた寵妃用の部屋でグッタリとしていた。昨日は、なぜか医者が呼ばれてしまったものの、なんの問題もないと、この上なく正しい診断を受けて、納得できない様子のアルム様に無理矢理退出してもらい、ゆっくり休んだのだが……朝、目が覚めても、疲れが取れた気がしない。
「失礼します。シェイラ様。……あぁ、もう目が覚めていたんですね。おはようございます」
「おはよう。ベラ」
にっこりと笑うベラに何となく癒されながら、私は朝の支度を手伝ってもらう。
「本日は、アルム様とご朝食となっております。何かお話があるそうですよ」
「そ、そう」
昨日の今日でアルム様に会うのは躊躇われたものの、話があるというのであれば仕方ない。
(何の話、でしょうか?)
考えられるのは、昨日の夜会に関すること。せっかくアルム様がお見合いの場をセッティングしてくれたというのに、私はそれに応えることができなかった。いや、全面的に悪いのはアルム様だと分かってはいるが……。
(憂鬱、ですね……)
今まで、アルム様と話すことに憂鬱を感じることなどなかったものの、今回はさすがに気が重い。
そんな私の心情はお構い無しに、黄色のふんわりとしたドレスを身に纏い、髪を編み込んでもらった私は、その気持ちを押し隠すように笑顔を浮かべて朝食の席へと進む。
「おはようございます。アルム様」
「あぁ、おはよう」
いつも通りの挨拶をして、席に着くと、すぐに料理が運ばれてくる。
「……」
「あの、アルム様?」
しかし、アルム様はなぜか、私をじっと見たまま、食事に手をつけようとしない。アルム様が先に手をつけなければ私も食べられないため、とりあえず声をかけてみると、アルム様は一つ大きくうなずく。
「シェイラ。ボクのことは、アルムと呼び捨てにしろ」
「? しかし、私は……」
「昨日のこともそうだが、ある程度シェイラがボクの寵妃だということを周りに態度で示しておかなければ、愚かなことを考える者が出てくる」
そんな説明に、私はようやく、昨日のアルム様の態度が私を守るためだったのだと知る。
(……せめて、そういうことは先に聞いておきたかったです……)
最初に聞いていれば、多少覚悟もできたはずで、あんな無様を晒すこともなかったはずだ。
「分かりました。では、アルムと呼ばせていただきます」
「敬語もなくて良い。その方が、より信憑性も増す。……そもそも、『絶対者』の妹に敬語を使われるのは、むず痒い」
少し気まずそうに言ったアルムに、私はそんなことを思っていたのかと驚きながらも受け入れる。
「分かり……分かったわ。アルム」
うなずいて見せれば、アルムは満足そうに笑い、食事を始める。
(これは、私の立場をしっかりと掴んでおかなければなりませんね)
食事を始めたアルムに続いて、カトラリーを手にした私は、そんな思考を巡らせる。
現在、私はまさしく籠の鳥というべき状況だ。それはきっと、私がお姉様の血縁だから、守るために張り巡らされた檻。しかし、こういった場所で籠の鳥状態で居るのは、よほど鳥を守る者が優秀でなければ、破滅してしまう。だから、私は少しでも多くの情報を得て、多くの自衛手段を手にしなくてはならない。
(アルムの手も、お姉様の手も、煩わせたくはないですしね)
食事を終え、アルムからは、また後で会おうとだけ告げられ、恐らくは最初の話が話したかったことだったのだと気づいた時には拍子抜けしたものの、私は、これからのことを思い、戦いに赴く前の戦士のように、意気込むのだった。
そう一人ごちる私は今、与えられた寵妃用の部屋でグッタリとしていた。昨日は、なぜか医者が呼ばれてしまったものの、なんの問題もないと、この上なく正しい診断を受けて、納得できない様子のアルム様に無理矢理退出してもらい、ゆっくり休んだのだが……朝、目が覚めても、疲れが取れた気がしない。
「失礼します。シェイラ様。……あぁ、もう目が覚めていたんですね。おはようございます」
「おはよう。ベラ」
にっこりと笑うベラに何となく癒されながら、私は朝の支度を手伝ってもらう。
「本日は、アルム様とご朝食となっております。何かお話があるそうですよ」
「そ、そう」
昨日の今日でアルム様に会うのは躊躇われたものの、話があるというのであれば仕方ない。
(何の話、でしょうか?)
考えられるのは、昨日の夜会に関すること。せっかくアルム様がお見合いの場をセッティングしてくれたというのに、私はそれに応えることができなかった。いや、全面的に悪いのはアルム様だと分かってはいるが……。
(憂鬱、ですね……)
今まで、アルム様と話すことに憂鬱を感じることなどなかったものの、今回はさすがに気が重い。
そんな私の心情はお構い無しに、黄色のふんわりとしたドレスを身に纏い、髪を編み込んでもらった私は、その気持ちを押し隠すように笑顔を浮かべて朝食の席へと進む。
「おはようございます。アルム様」
「あぁ、おはよう」
いつも通りの挨拶をして、席に着くと、すぐに料理が運ばれてくる。
「……」
「あの、アルム様?」
しかし、アルム様はなぜか、私をじっと見たまま、食事に手をつけようとしない。アルム様が先に手をつけなければ私も食べられないため、とりあえず声をかけてみると、アルム様は一つ大きくうなずく。
「シェイラ。ボクのことは、アルムと呼び捨てにしろ」
「? しかし、私は……」
「昨日のこともそうだが、ある程度シェイラがボクの寵妃だということを周りに態度で示しておかなければ、愚かなことを考える者が出てくる」
そんな説明に、私はようやく、昨日のアルム様の態度が私を守るためだったのだと知る。
(……せめて、そういうことは先に聞いておきたかったです……)
最初に聞いていれば、多少覚悟もできたはずで、あんな無様を晒すこともなかったはずだ。
「分かりました。では、アルムと呼ばせていただきます」
「敬語もなくて良い。その方が、より信憑性も増す。……そもそも、『絶対者』の妹に敬語を使われるのは、むず痒い」
少し気まずそうに言ったアルムに、私はそんなことを思っていたのかと驚きながらも受け入れる。
「分かり……分かったわ。アルム」
うなずいて見せれば、アルムは満足そうに笑い、食事を始める。
(これは、私の立場をしっかりと掴んでおかなければなりませんね)
食事を始めたアルムに続いて、カトラリーを手にした私は、そんな思考を巡らせる。
現在、私はまさしく籠の鳥というべき状況だ。それはきっと、私がお姉様の血縁だから、守るために張り巡らされた檻。しかし、こういった場所で籠の鳥状態で居るのは、よほど鳥を守る者が優秀でなければ、破滅してしまう。だから、私は少しでも多くの情報を得て、多くの自衛手段を手にしなくてはならない。
(アルムの手も、お姉様の手も、煩わせたくはないですしね)
食事を終え、アルムからは、また後で会おうとだけ告げられ、恐らくは最初の話が話したかったことだったのだと気づいた時には拍子抜けしたものの、私は、これからのことを思い、戦いに赴く前の戦士のように、意気込むのだった。
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