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第二章 目論む者達
第十九話 視察
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お姉様が時々やってきては、アルムや私と話してくれること以外、特に変わったこともなく、平和な日々を過ごしていたところで、アルムはその発言をした。
「シェイラ。ボクは、少し、領地の視察に出向かなければならない。そして、本来なら寵妃であるシェイラも同行することになるのだが……大丈夫か?」
恒例となったお茶会の席でのその言葉に、私は驚きながらもうなずく。
「視察、ですか? それはもちろん、構いませんよ?」
レイリン王国では、王は動かず、王の信頼が寄せられている臣下が、代わりに視察を行っていたが、この国では王自身が視察をするらしい。どちらが良いか悪いかは分からないが、この目でドラグニル竜国を見られるというのは嬉しいことでもあった。
「視察は三日後からだ。最低でも三日。最長で七日を予定している」
「随分短い期間ですね? 近い場所なのですか?」
馬車での移動時間を考えれば、視察自体が一日か二日で終わると考えても、短い。半日で行けるような距離の視察なんて、そんなに面白みはなさそうだとガッカリしていると、アルムは首を横に振る。
「いや、今回は転移を使う。あまりにも遠い場所でな。まともに行けば、二月くらいの期間を取らねばならない」
「二月……」
さすがにそれは遠すぎやしないだろうかと思いながらも、それは、このドラグニル竜国がそれだけ広大であることを指しているようにも思えた。
「たまには抜き打ちで行かなければ、何が起こっているか分かったものではないからな」
「なるほど。それはそれは……面白そうですねっ」
そんなに面白そうな視察ならば、着いていかないなんていう選択肢は存在しない。こういう時こそ、私の能力をフルに使う時だろう。
「そうか……。一応、ギースも同行することになっている。他は、近衛騎士が数名だな。あぁ、ベラも連れて行くから、心配はいらない」
引き連れていく人物を挙げるアルムに、一国の王が動くというのに、同行者が少なすぎやしないかと不安になる。
「アルム、それだけの人数で、もし、何かがあった時などは、大丈夫なのですか?」
「あぁ、言ってなかったか。ドラグニル竜国は、実力主義の国だ。この国で一番強いのはボクだから、それだけの人数が居れば、さほど問題はない」
安心させるかのように微笑んだアルムに、私は納得がいかないままに、それでも一応うなずく。
「実力主義ということは、力さえあれば、王になれる国ということですか?」
武力さえあれば王になれる、というのであれば、それは、もしかしたら恐ろしいことかもしれないと思いながら尋ねれば、アルムは腕組みをして、少し考えた後に口を開く。
「語弊を恐れず言えば、そういうことになる。ただし、力といっても、武力、知力、カリスマ性など、様々な分野で試される。その中で、総合的に強いと判断された者達のみに、王の資格が生まれる」
「『達』?」
「王の資格を得るのは、一人ではないということだ。ボクは、その中でも武力が突出していたな」
どうやら、この国の王の選定というのは複雑らしい。それが分かったところで、そろそろお開きの時間になっていることに気づく。
「……なるほど。今度、また詳しい話を聞かせてください」
「分かった」
どうやら、面白いことになりそうだと思いながら、私はアルムとの視察に思いを馳せるのだった。
「シェイラ。ボクは、少し、領地の視察に出向かなければならない。そして、本来なら寵妃であるシェイラも同行することになるのだが……大丈夫か?」
恒例となったお茶会の席でのその言葉に、私は驚きながらもうなずく。
「視察、ですか? それはもちろん、構いませんよ?」
レイリン王国では、王は動かず、王の信頼が寄せられている臣下が、代わりに視察を行っていたが、この国では王自身が視察をするらしい。どちらが良いか悪いかは分からないが、この目でドラグニル竜国を見られるというのは嬉しいことでもあった。
「視察は三日後からだ。最低でも三日。最長で七日を予定している」
「随分短い期間ですね? 近い場所なのですか?」
馬車での移動時間を考えれば、視察自体が一日か二日で終わると考えても、短い。半日で行けるような距離の視察なんて、そんなに面白みはなさそうだとガッカリしていると、アルムは首を横に振る。
「いや、今回は転移を使う。あまりにも遠い場所でな。まともに行けば、二月くらいの期間を取らねばならない」
「二月……」
さすがにそれは遠すぎやしないだろうかと思いながらも、それは、このドラグニル竜国がそれだけ広大であることを指しているようにも思えた。
「たまには抜き打ちで行かなければ、何が起こっているか分かったものではないからな」
「なるほど。それはそれは……面白そうですねっ」
そんなに面白そうな視察ならば、着いていかないなんていう選択肢は存在しない。こういう時こそ、私の能力をフルに使う時だろう。
「そうか……。一応、ギースも同行することになっている。他は、近衛騎士が数名だな。あぁ、ベラも連れて行くから、心配はいらない」
引き連れていく人物を挙げるアルムに、一国の王が動くというのに、同行者が少なすぎやしないかと不安になる。
「アルム、それだけの人数で、もし、何かがあった時などは、大丈夫なのですか?」
「あぁ、言ってなかったか。ドラグニル竜国は、実力主義の国だ。この国で一番強いのはボクだから、それだけの人数が居れば、さほど問題はない」
安心させるかのように微笑んだアルムに、私は納得がいかないままに、それでも一応うなずく。
「実力主義ということは、力さえあれば、王になれる国ということですか?」
武力さえあれば王になれる、というのであれば、それは、もしかしたら恐ろしいことかもしれないと思いながら尋ねれば、アルムは腕組みをして、少し考えた後に口を開く。
「語弊を恐れず言えば、そういうことになる。ただし、力といっても、武力、知力、カリスマ性など、様々な分野で試される。その中で、総合的に強いと判断された者達のみに、王の資格が生まれる」
「『達』?」
「王の資格を得るのは、一人ではないということだ。ボクは、その中でも武力が突出していたな」
どうやら、この国の王の選定というのは複雑らしい。それが分かったところで、そろそろお開きの時間になっていることに気づく。
「……なるほど。今度、また詳しい話を聞かせてください」
「分かった」
どうやら、面白いことになりそうだと思いながら、私はアルムとの視察に思いを馳せるのだった。
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