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第五章 襲来
第八十九話 友達
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「はるばる、ようこそお越しくださいました。竜王陛下、寵妃様」
十人程の使用人に出迎えられ、急いできたのであろう青いドレスをまとった女性、ミミールにも出迎えられ、私達はナット領領主館を訪れていた。
「さぁ、こちらへ」
「っ、奥様、案内は私めどもの仕事ですぞ?」
「良いのよっ。今日は、わたくしが案内しますわ」
「……承知致しました」
銀の長い髪に、緑の瞳を持つ大人しそうな雰囲気のミミールは、その見た目とは異なり、どうも活発な性格のようだった。
「ここは、代々のナット領主が残してきた貴重な調度品を飾る場所……でしたが、今はそれらは売り払って、孤児院の子供達の作品が並んでおりますわっ。これなんか、わたくしを描いたのだそうですわよっ。似ていますわよねっ」
そこに描かれていたのは、かろうじて髪の色と目の色が一致しているだけの絵。しかし、それでも幸せそうに笑う彼女の顔に、嘘は見当たらない。見れば、珍妙な……ごほん、数々の力作達が、絵として、粘土として、木工作品として飾られている。それは、本来の領主館ではあり得ないものだったが、ここ、ナットにおいては、これが正しい姿のように思えてしまう。
かつて案内されたことのある応接室へと通されると、そこは、やはり調度品がわりに力作達が並び、随分と雰囲気が異なっていた。席に着けばすかさず紅茶がミミール自らの手で用意される。
(そういえば、この国ではもてなす側の主が紅茶を淹れるのでしたね)
私は、最近ようやく、ベラから六十点台をもらえるようになったところで、及第点にはまだ遠い。私がお茶会を主催する日は、まだまだ先になりそうだ。
「先の件につきましては、心より、感謝申し上げます。わたくし達を、ナットをお救いくださり、ありがとうございましたっ」
紅茶に口をつけて、それを置けば、ミミールは深く、深く、頭を下げる。
「頭を上げよ。感謝するのであれば、お前達を受け入れてくれた領民にこそ、だ」
「それはもちろんでございます。しかしながら、竜王陛下にも、寵妃様にも、助けられたことは事実でございます。本当に、ありがとうございました」
明るく活発な性格に見えた彼女は、真面目でもあるらしい。真剣に感謝を述べるその様は、とても好感が持てる。
「特にっ、寵妃様が仕掛けた罠のお話を聞いた時は、胸がすく思いでしたわっ。それに、あの男も引っ掛かったと思えば……ふ、ふふふふふっ」
(く、黒いオーラが出てます!?)
あの男というのは、恐らく、前領主のことだろう。まぁ、自分達を売り払った男のことなので、憎くないなんてことはないだろうが、これは、かなり鬱憤が溜まっていたのだと思われる。
「寵妃様っ、本当に、感謝していますわっ」
キラッキラとした目を向けられて、私は、つい先日のファンクラブの様相を思い出して身震いする。
(こ、これは、先手を打つべきですねっ)
もし、彼女がファンクラブの存在を知れば、加入しかねない。これ以上、そんな集団が膨れ上がるのはごめんだとばかりに、私は口を開く。
「では、私と友達になってくださいませんか?」
そう尋ねれば、ミミールはその瞳の輝きをさらに増して返事をする。
「もちろんですっ!」
どうやら、私はこの国で、初めて友達を得たようだった。
十人程の使用人に出迎えられ、急いできたのであろう青いドレスをまとった女性、ミミールにも出迎えられ、私達はナット領領主館を訪れていた。
「さぁ、こちらへ」
「っ、奥様、案内は私めどもの仕事ですぞ?」
「良いのよっ。今日は、わたくしが案内しますわ」
「……承知致しました」
銀の長い髪に、緑の瞳を持つ大人しそうな雰囲気のミミールは、その見た目とは異なり、どうも活発な性格のようだった。
「ここは、代々のナット領主が残してきた貴重な調度品を飾る場所……でしたが、今はそれらは売り払って、孤児院の子供達の作品が並んでおりますわっ。これなんか、わたくしを描いたのだそうですわよっ。似ていますわよねっ」
そこに描かれていたのは、かろうじて髪の色と目の色が一致しているだけの絵。しかし、それでも幸せそうに笑う彼女の顔に、嘘は見当たらない。見れば、珍妙な……ごほん、数々の力作達が、絵として、粘土として、木工作品として飾られている。それは、本来の領主館ではあり得ないものだったが、ここ、ナットにおいては、これが正しい姿のように思えてしまう。
かつて案内されたことのある応接室へと通されると、そこは、やはり調度品がわりに力作達が並び、随分と雰囲気が異なっていた。席に着けばすかさず紅茶がミミール自らの手で用意される。
(そういえば、この国ではもてなす側の主が紅茶を淹れるのでしたね)
私は、最近ようやく、ベラから六十点台をもらえるようになったところで、及第点にはまだ遠い。私がお茶会を主催する日は、まだまだ先になりそうだ。
「先の件につきましては、心より、感謝申し上げます。わたくし達を、ナットをお救いくださり、ありがとうございましたっ」
紅茶に口をつけて、それを置けば、ミミールは深く、深く、頭を下げる。
「頭を上げよ。感謝するのであれば、お前達を受け入れてくれた領民にこそ、だ」
「それはもちろんでございます。しかしながら、竜王陛下にも、寵妃様にも、助けられたことは事実でございます。本当に、ありがとうございました」
明るく活発な性格に見えた彼女は、真面目でもあるらしい。真剣に感謝を述べるその様は、とても好感が持てる。
「特にっ、寵妃様が仕掛けた罠のお話を聞いた時は、胸がすく思いでしたわっ。それに、あの男も引っ掛かったと思えば……ふ、ふふふふふっ」
(く、黒いオーラが出てます!?)
あの男というのは、恐らく、前領主のことだろう。まぁ、自分達を売り払った男のことなので、憎くないなんてことはないだろうが、これは、かなり鬱憤が溜まっていたのだと思われる。
「寵妃様っ、本当に、感謝していますわっ」
キラッキラとした目を向けられて、私は、つい先日のファンクラブの様相を思い出して身震いする。
(こ、これは、先手を打つべきですねっ)
もし、彼女がファンクラブの存在を知れば、加入しかねない。これ以上、そんな集団が膨れ上がるのはごめんだとばかりに、私は口を開く。
「では、私と友達になってくださいませんか?」
そう尋ねれば、ミミールはその瞳の輝きをさらに増して返事をする。
「もちろんですっ!」
どうやら、私はこの国で、初めて友達を得たようだった。
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