私、竜人の国で寵妃にされました!?

星宮歌

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第五章 襲来

第八十八話 再びナット領

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「お礼、ですか?」

「あぁ、元々話は出ていたんだが、最近は忙しかったからな。ボクと一緒に、ナット領へ行く気はないか?」


 バルファ商会の副会長とその妹が口を割った。彼らはそれぞれ、竜王に寵愛される者と、竜王自身を望んだらしい。つまりは、私とアルムだ。しかも、私自身、アルム自身を望んだのではなく、その後ろにある権力と金を望んでいたらしいというのがなんともいやらしいところ。
 そんな情報を得て、私とアルムの周りの警備が厳重にしようという意見もあったものの、悪魔の位階が不明のままであったため、それは見送られた。その代わり、私とアルムは常に一緒に行動するようになり、時には悪魔を誘き出すよう行動するということで考えが一致する。しかし、それには大きな問題があって……。


(ま、まだ、恥ずかしいんですっ)


 まだ、まともにアルムの顔を見ることができない。それなのに、アルムと常に一緒に居るというのは、嬉しい気持ちもあれど、恥ずかし過ぎていっぱいいっぱいになってしまう。

 今回、アルムが提案してくれたのは、前ナット領領主の妻である、ミミール・ナットが私にお礼を伝えるべく、ナット領に招待したいというのを受けてはどうかということだった。
 現在、ナット領は竜珠殿から派遣された監視の下に再建を図っており、とてもではないが、新たな領主となったミミールは動けない。そのため、彼女はある程度再建したナット領で、私達をもてなそうと考えたらしいのだ。


「お礼状は受け取っておりますが……それだけではダメなのでしょうね」

「あぁ」


 最初は、彼女も私が活躍したということは知らなかった。しかし、厳しい監視の下、しっかりとナット領を再建していくミミールを前に、私のことを話しても良いだろうということになったらしいのだ。何でも、私の味方は一人でも多い方が良いと思ったのだとか。


「招待状も送られてきている。行くのであれば、先触れを出すが?」


 招待状には、この時期はスズロと呼ばれる、ぷっくりとした可愛い花が見頃を迎えているから、ぜひともと書かれている。期間に関しては、今月いっぱいは見頃だろうから、その間にと。


「断る理由がありませんね」

「では、先触れを出そう」


 正直、アルムと執務室で二人っきりというのは、心臓によろしくない。この申し出は、とても嬉しいものだった。しかし……。


(……あら? これって、アルムとの旅行デート……?)


 その事実に気づいてしまった私は、アルムに気づかれないよう、一人悶々とするのだった。
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