冒険の書 ~始の書~

星宮歌

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第二章 第二フロア

ニオイ

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「まずは、確認、だよな?」


 そう、まずは、そのものを見てみないことにはどうにもならない。……『魔眼』だけは、どこかに埋められているらしいが……。

 そう思い立って、俺は辺りを探す。が、それは時を待たずして見つかった。


「ご丁寧にリュックの中か……」


 そう、冒険の書に記されていたものは、全てリュックの中にあった。ぼんやりと食事をしたときに気づけなかったのは、きっと、本当に何も考えられない状態だったせいだろう。

 そうして、俺はそれらのアイテムをリュックから取り出し、確認をしていく。

 まず取り出したのは『妖花の種』。これは、目が痛くなりそうなピンク色のビニール袋に、一粒だけ丸い種があった。なぜ、ビニール袋がピンクなのかは、考えないことにしよう。

 そして、次に、『妖花の鉢植え』。これは、サッカーボール程のサイズの鉢植えで、ちゃんと土……らしきものが入っていた。紫のそれがただの土だとは思えないが、きっと、多分、土なのだろう。

 俺は、鉢植えの上にビニールに入った種をそのまま置いて、次を取ろうとリュックに手を突っ込む。次に取り出したそれは、小さな瓶に入った『霊水』。ただ、それは、予想だにしなかった恐ろしさを持っていた。

 たしかに冒険の書には銀色と書かれていた。書かれてはいたが、そこにドクロが大量に浮かび上がるなんて書いてなかった。確認のため、顔を近づけてそれに気づいた瞬間、俺は悲鳴を上げ、それを投げ捨てていた。


 ガシャンッ!


 そして、運がいいのか悪いのか、『霊水』の瓶は、あの『妖花の種』の上で割れ、銀の液体を撒き散らす。


「うっ」


 ただ、その液体からは、酷い臭いがした。カビの臭いと酸っぱいような臭い。それに、動物園なんかで嗅いだことのある糞の臭いが混ざったような、凄まじい臭気。

 俺は、慌てて鼻を摘まみ、そこから離れる。


『妖花の種の生育条件を満たしたため、ランダム成長開始』


 そうして、そんな文章に気づいたときには、何もかもが遅かった。

 俺は、凄まじい臭気に意識が遠退きそうになるのを感じ、懸命にその意識を繋ぎ止めようとする。が……臭い。果てしなく臭い。鼻がもげるというより、全身が腐ってしまうんじゃないかと危惧するくらいに臭い。

 鼻を摘まんで、全力で部屋の隅まで移動したものの、効果はなさそうだ。あまりの臭気に目が痛くなってきたところで、鉢植えに変化が起こる。

 茶色の鉢植えの中から、何かが生えてきたのだ。


「ぐっ」


 何だろうと思いながらも、今はとにかくこの臭いとの格闘で忙しい。そして……鉢植えから、どす黒い蔦のようなものが一気に吹き出した瞬間、鼻を摘まんでいてもそれを突き破るような刺激臭に、俺は泡を吹く。

 が、そんな状態でも、ここで鼻から手を離すことが自殺行為だということだけは分かる。

 頭痛や吐き気までもよおし始めた体で、どうにか臭いから逃れようともがき……ふいに、その臭いが感じられなくなった。


「うぅ?」


 とうとう臭いを感知する鼻の機能がおかしくなったのだろうか?


 そう思ったが、すぐにそれは違うと分かる。刺激臭は一気に薄まっていたが、まだ完全にはなくなっていなかったのだ。完全に油断して鼻から手を離した俺は、先程の臭いほどではないものの、それでも強烈な臭気に顔を歪める。


「うぇ……」


 喉までせりあがるものを感じ、俺は再び鼻を押さえるが、吐き気の方はもう手遅れだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


いやぁ、一度くらいは臭いで悶絶というのも書いてみようかなと思ったら、この状態。

……想像以上に過酷な目にあわせてしまった感じがします。

目が痛くなるほどの臭気って……想像もしたくないですねっ。

それでは、また!
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