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第二章 第二フロア
*ホショク
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新たに『ゴンゲ』と命名してしまったクックドラゴンを連れて、俺は現在、探索を行っていた。
失敗は取り返せない。後悔先立たず。
しかし、よくよく考えると、『ペット』という名前よりは『ゴンゲ』の方がマシな気がして、とにかく俺はソイツを『ゴンゲ』と呼ぶことにする。そして……外に出てもうるさいだろうと思っていたゴンゲだが、今のところ、とても静かだった。扉を開けた瞬間、ピタリと鳴き声を上げなくなったゴンゲに、俺は不気味さを感じながらも歩き続ける。ゆっくりと、息を殺して、敵の気配を探る。
そっと、そっと、後ろに着いてくるゴンゲの気配を感じながら、俺は思考する。
……昨日まで、つらく感じていた空腹を、今日は感じないな。
それが、あの『黒卵』のおかげなのだろうことは想像に難くない。だから問題は、次にクックドラゴンが出現した場合、逃げることを優先するか、倒すことを優先するかということだ。思っていた以上に、『黒卵』は魅力的な食料だ。
しかし、それを得ようとするがために、男としての、生命の危機を迎えることはいかがなものかとも思う。
悩みながら周囲の警戒を行っていた俺は、ふと、ソイツらの存在に気づく。小さな、小さな羽音。しっかり耳を澄ましていなければ聞き取れないソレの音源は……未だ、攻略法の分からないバットの軍勢だった。
その音を認識した途端、反射的に逃げようとした俺は、すぐに、背後にいるゴンゲとの契約を思い出す。そう、ここで帰ってしまえば、契約違反になるかもしれないのだ。
そんな悲しい事実を思い出してしまった俺は、数秒間の逡巡の後、覚悟を決めて帯剣ベルトから剣を抜き、前方に向かって構える。一匹くらい、剣に当たってくれることを祈って、前をにらんでいると、すぐに、その時はやってきた。
ドクドクと心臓が脈打ち、冷たい汗が額を伝う。カラカラに渇いた口を引き結び、ゴクリと喉を鳴らす。そして、パサパサパサパサと迫り来るバットの群れを前に、俺は一歩、踏み出し、バットの先頭が剣の間合いに入ったと判断した途端、その軍勢に向けて剣を振るおうとしたのだ……が……。
「ゴンゲェゴッゴォォオッ!!!」
「っ!!??!」
突如として、背後からすさまじい大音量が響き、大気が震えた。鼓膜が破れそうなその声に、俺は危うく剣を落としそうになりながら、それでもどこに残っていたのか分からない根性で前を見る。
ポトポトポトポト。
そして、前を見たことで、俺はバットどもが……散々、苦戦させられて、その姿を見たくもないと思っていたバットの軍勢が、次々に地に落ちていく様子を呆然と眺めることとなった。
「ゴゲッ!」
そして、全てのバットが落ちてしまうと、俺の後ろからゴンゲが顔を出し、落ちてピクピクと痙攣しているように見えるバットの元へと歩く。
「……はっ! えっ? バットが落ちて……えぇっ!?」
一瞬にして、バットの軍勢を瀕死に追いやったクックドラゴンのゴンゲを、放心状態から帰還した俺は、呆然と見つめる。しかし、俺はここでしっかり頭を働かせるべきだった。ゴンゲが何のためにバットをこんな状態にしたのかを……。
グチュ、パキッ。
そんな、嫌な音とともに、ゴンゲが、ソレをついばむ。
「うっ」
いや、音はそれだけではない。聴力が少しずつ回復してきた俺は、キィキィというバットの弱々しい声も聞こえはじめていた。それは……クックドラゴンの、食事風景だった。
ピクピクと痙攣するバットを、ご丁寧に一匹ずつ、くちばしで突き刺し、抉り、じっくり、ジワジワと殺していく。バットに対して何らかの愛着を持っているかと問われれば、確実に否と答えるだろうが……さすがにこの残酷な光景には眉をひそめる。
しかし、ゴンゲはそんな俺の心情などお構いなしに、次々とバットをいたぶり、食い散らかす。そして、食い散らかされたバットの残骸が、もはや見慣れた黒い光を放って霧散した瞬間、どこか虚しさを覚える。このいつもの現象が、残酷に殺された、その事実すら、霧散させてしまったようで、どことなくやるせない。
「ゴンゲップッ」
少しばかり、らしくない感傷に浸っていた俺は、そんな奇妙なゴンゲのゲップを聞いて、ようやく思考を働かせる。見れば、そこにはバットのドロップアイテムらしきものが散らばっており、ゴンゲはその全てに見向きもせず食事を続けていた。
『アイテム図鑑
回復編
2 赤い雫
バットのレアドロップアイテム
バットの全ての起源はここにあるっ!
これを飲めばどんな万病も治る……わけはないけど、多分、毒消しにはなるさっ!』
『アイテム図鑑
素材・武器編
2 薄い皮
バットのドロップアイテム
透けそうなほど薄い皮
大量に集めると良いことあるかも?』
三センチ程の高さしかない赤黒い液体の入った小瓶と、十センチ四方の黒く薄い皮を手にした俺は、すぐさま冒険の書でその正体を確認した。
……『赤い雫』と書いてはいるが……どう見ても、これは……。それに、こっちはきっとバットの…………いや、もう止めておこう。
『赤い雫』と『薄い皮』の正体は薄々分かったものの、今、それを言及しても意味がない。むしろ、ただただ恐ろしいだけだ。
そんなわけで、俺は心の中で何度も『南無阿弥陀仏』と唱えながら、精神安定を図る。持っているだけでも呪われそうなアイテムは、さっさとリュックにしまい、視界から除外するに限った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゴンゲの補食風景はグロいかなぁと思って、今回は『*』をつけたタイトルにしました。
バットの攻略法は、ゴンゲ並みの大声が必要なのですが……普通、敵を警戒してる中では大声を出すことなんてないので、ゴンゲを仲間にしなければならないというわけです。
色々とモンスターの攻略法を考えて書くのは結構楽しいです!
それでは、また!
失敗は取り返せない。後悔先立たず。
しかし、よくよく考えると、『ペット』という名前よりは『ゴンゲ』の方がマシな気がして、とにかく俺はソイツを『ゴンゲ』と呼ぶことにする。そして……外に出てもうるさいだろうと思っていたゴンゲだが、今のところ、とても静かだった。扉を開けた瞬間、ピタリと鳴き声を上げなくなったゴンゲに、俺は不気味さを感じながらも歩き続ける。ゆっくりと、息を殺して、敵の気配を探る。
そっと、そっと、後ろに着いてくるゴンゲの気配を感じながら、俺は思考する。
……昨日まで、つらく感じていた空腹を、今日は感じないな。
それが、あの『黒卵』のおかげなのだろうことは想像に難くない。だから問題は、次にクックドラゴンが出現した場合、逃げることを優先するか、倒すことを優先するかということだ。思っていた以上に、『黒卵』は魅力的な食料だ。
しかし、それを得ようとするがために、男としての、生命の危機を迎えることはいかがなものかとも思う。
悩みながら周囲の警戒を行っていた俺は、ふと、ソイツらの存在に気づく。小さな、小さな羽音。しっかり耳を澄ましていなければ聞き取れないソレの音源は……未だ、攻略法の分からないバットの軍勢だった。
その音を認識した途端、反射的に逃げようとした俺は、すぐに、背後にいるゴンゲとの契約を思い出す。そう、ここで帰ってしまえば、契約違反になるかもしれないのだ。
そんな悲しい事実を思い出してしまった俺は、数秒間の逡巡の後、覚悟を決めて帯剣ベルトから剣を抜き、前方に向かって構える。一匹くらい、剣に当たってくれることを祈って、前をにらんでいると、すぐに、その時はやってきた。
ドクドクと心臓が脈打ち、冷たい汗が額を伝う。カラカラに渇いた口を引き結び、ゴクリと喉を鳴らす。そして、パサパサパサパサと迫り来るバットの群れを前に、俺は一歩、踏み出し、バットの先頭が剣の間合いに入ったと判断した途端、その軍勢に向けて剣を振るおうとしたのだ……が……。
「ゴンゲェゴッゴォォオッ!!!」
「っ!!??!」
突如として、背後からすさまじい大音量が響き、大気が震えた。鼓膜が破れそうなその声に、俺は危うく剣を落としそうになりながら、それでもどこに残っていたのか分からない根性で前を見る。
ポトポトポトポト。
そして、前を見たことで、俺はバットどもが……散々、苦戦させられて、その姿を見たくもないと思っていたバットの軍勢が、次々に地に落ちていく様子を呆然と眺めることとなった。
「ゴゲッ!」
そして、全てのバットが落ちてしまうと、俺の後ろからゴンゲが顔を出し、落ちてピクピクと痙攣しているように見えるバットの元へと歩く。
「……はっ! えっ? バットが落ちて……えぇっ!?」
一瞬にして、バットの軍勢を瀕死に追いやったクックドラゴンのゴンゲを、放心状態から帰還した俺は、呆然と見つめる。しかし、俺はここでしっかり頭を働かせるべきだった。ゴンゲが何のためにバットをこんな状態にしたのかを……。
グチュ、パキッ。
そんな、嫌な音とともに、ゴンゲが、ソレをついばむ。
「うっ」
いや、音はそれだけではない。聴力が少しずつ回復してきた俺は、キィキィというバットの弱々しい声も聞こえはじめていた。それは……クックドラゴンの、食事風景だった。
ピクピクと痙攣するバットを、ご丁寧に一匹ずつ、くちばしで突き刺し、抉り、じっくり、ジワジワと殺していく。バットに対して何らかの愛着を持っているかと問われれば、確実に否と答えるだろうが……さすがにこの残酷な光景には眉をひそめる。
しかし、ゴンゲはそんな俺の心情などお構いなしに、次々とバットをいたぶり、食い散らかす。そして、食い散らかされたバットの残骸が、もはや見慣れた黒い光を放って霧散した瞬間、どこか虚しさを覚える。このいつもの現象が、残酷に殺された、その事実すら、霧散させてしまったようで、どことなくやるせない。
「ゴンゲップッ」
少しばかり、らしくない感傷に浸っていた俺は、そんな奇妙なゴンゲのゲップを聞いて、ようやく思考を働かせる。見れば、そこにはバットのドロップアイテムらしきものが散らばっており、ゴンゲはその全てに見向きもせず食事を続けていた。
『アイテム図鑑
回復編
2 赤い雫
バットのレアドロップアイテム
バットの全ての起源はここにあるっ!
これを飲めばどんな万病も治る……わけはないけど、多分、毒消しにはなるさっ!』
『アイテム図鑑
素材・武器編
2 薄い皮
バットのドロップアイテム
透けそうなほど薄い皮
大量に集めると良いことあるかも?』
三センチ程の高さしかない赤黒い液体の入った小瓶と、十センチ四方の黒く薄い皮を手にした俺は、すぐさま冒険の書でその正体を確認した。
……『赤い雫』と書いてはいるが……どう見ても、これは……。それに、こっちはきっとバットの…………いや、もう止めておこう。
『赤い雫』と『薄い皮』の正体は薄々分かったものの、今、それを言及しても意味がない。むしろ、ただただ恐ろしいだけだ。
そんなわけで、俺は心の中で何度も『南無阿弥陀仏』と唱えながら、精神安定を図る。持っているだけでも呪われそうなアイテムは、さっさとリュックにしまい、視界から除外するに限った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゴンゲの補食風景はグロいかなぁと思って、今回は『*』をつけたタイトルにしました。
バットの攻略法は、ゴンゲ並みの大声が必要なのですが……普通、敵を警戒してる中では大声を出すことなんてないので、ゴンゲを仲間にしなければならないというわけです。
色々とモンスターの攻略法を考えて書くのは結構楽しいです!
それでは、また!
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