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第二章 戻された世界
第六十五話 過去の暴露と聖女の居場所
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思いがけない神と魔王の対立。そして、神が人間の味方ではないということを告げられて、混乱していたサミュエルは、それでも一分と経たずに自らの精神を立て直す。
「神が何を目的にしているかは?」
「……俺は、神々は俺達で遊んでるんだと思ってる」
そう告げるアルガの目は、とても、昏い。
神々によって弄ばれている、というアルガの意見は、サミュエル自身にも思い当たる節があるのか、その眉間には深くシワが刻まれる。
「しかし、何か目的があるのかもしれない」
「はっ、目的? 負の感情で押し潰されそうになりながら俺が暴れることで何が得られるとでも? 何度も何度も、世界を滅ぼすことで達成できることがあるとでも?」
冷静に告げるサミュエルに、アルガは鼻で笑う。
「神には、神にしか分からない目的があるかもしれないだろう」
「知らないよ、そんなの。それがあるんだったら、神が、自分で、勝手にやれば良いんだっ」
サミュエルの言葉は、明らかにアルガの神経を逆撫でしていた。そのまま、『フシャーッ』と威嚇をし出しそうなアルガの姿に、サミュエルは、しばらくアルガを見つめた後、嘆息する。
「分かった。もう、この話題は止めよう。それより、真の聖女に関して、この世界ではとうなってる?」
「真の聖女、ね。居るよ。ちゃんと。それでもって、俺が見る限り、彼女はまだ不幸に見舞われていないし、記憶が戻ったりもしてない」
「っ、もう、見つけたのかっ」
「そうだけど?」
サミュエルの経験上、真の聖女が魔王に先に見つかった場合、破滅の未来は止められない。いや、最後の最後で止められたのかもしれないが、それでも、最悪の事態が待つことは間違いない。
「別に、俺が先に見つけたから世界が破滅してたわけじゃないよ。あれは、真の聖女が絶望することで、俺が引き寄せられていただけだから」
「っ、そう、なのか?」
「うん、だから、お前に神は言ったんだろうね。俺が先に真の聖女を見つけたら、世界が終わる、みたいなことを」
次々と明らかになる神、魔王、聖女、勇者に関する情報。サミュエルは、いかに自分が無知であるのかを自覚したのか、そのまま沈黙する。
「でさ、俺とお前は、一応幼馴染で、気安い関係。そんでもって、幼馴染はもう一人居る」
過去の話しばかりをしていたアルガが、突然、今のことを話題に出す。
「その子の名前は、レアナ。レアナ・ローロ・フィリアダ。お前の妹だよ」
その結果、サミュエルは、完全に動きを止めた。
「神が何を目的にしているかは?」
「……俺は、神々は俺達で遊んでるんだと思ってる」
そう告げるアルガの目は、とても、昏い。
神々によって弄ばれている、というアルガの意見は、サミュエル自身にも思い当たる節があるのか、その眉間には深くシワが刻まれる。
「しかし、何か目的があるのかもしれない」
「はっ、目的? 負の感情で押し潰されそうになりながら俺が暴れることで何が得られるとでも? 何度も何度も、世界を滅ぼすことで達成できることがあるとでも?」
冷静に告げるサミュエルに、アルガは鼻で笑う。
「神には、神にしか分からない目的があるかもしれないだろう」
「知らないよ、そんなの。それがあるんだったら、神が、自分で、勝手にやれば良いんだっ」
サミュエルの言葉は、明らかにアルガの神経を逆撫でしていた。そのまま、『フシャーッ』と威嚇をし出しそうなアルガの姿に、サミュエルは、しばらくアルガを見つめた後、嘆息する。
「分かった。もう、この話題は止めよう。それより、真の聖女に関して、この世界ではとうなってる?」
「真の聖女、ね。居るよ。ちゃんと。それでもって、俺が見る限り、彼女はまだ不幸に見舞われていないし、記憶が戻ったりもしてない」
「っ、もう、見つけたのかっ」
「そうだけど?」
サミュエルの経験上、真の聖女が魔王に先に見つかった場合、破滅の未来は止められない。いや、最後の最後で止められたのかもしれないが、それでも、最悪の事態が待つことは間違いない。
「別に、俺が先に見つけたから世界が破滅してたわけじゃないよ。あれは、真の聖女が絶望することで、俺が引き寄せられていただけだから」
「っ、そう、なのか?」
「うん、だから、お前に神は言ったんだろうね。俺が先に真の聖女を見つけたら、世界が終わる、みたいなことを」
次々と明らかになる神、魔王、聖女、勇者に関する情報。サミュエルは、いかに自分が無知であるのかを自覚したのか、そのまま沈黙する。
「でさ、俺とお前は、一応幼馴染で、気安い関係。そんでもって、幼馴染はもう一人居る」
過去の話しばかりをしていたアルガが、突然、今のことを話題に出す。
「その子の名前は、レアナ。レアナ・ローロ・フィリアダ。お前の妹だよ」
その結果、サミュエルは、完全に動きを止めた。
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