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第二章 戻された世界
第百四話 それぞれの罰2
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ロジエルとアニエスの処遇は終わった。これによって、ロジエルもアニエスも、辛い時間を送り続けることになるだろう。
ロジエルとアニエスが去った後、レアナ達が向かったのは、とある屋敷。今回は、メルフィー達は遠慮するということで、今居るメンバーは、レアナ、サミュエル、アルガの三人だった。
「レアナ、無理してない?」
「……全く、とは言えないけど、大丈夫。きっと、お姉ちゃんの魂はもうすぐ戻って来るんだろうし、後は、最後の決着をつけなきゃ、ね……」
レアナを気遣うアルガは、まだ強がっているように見えるレアナの手をそっと取る。
「っ、アルガ様?」
「……寒くないように、レアナの手は俺が握っておくよ」
穏やかに微笑むアルガを前に、レアナは頬を赤く染める。
寒いも何も、この神界のこの場所の気候は穏やかで、手を温める必要などない。ただ、アルガの言葉が文字通りのものではないと良く理解できているレアナは、そっとアルガの手を握り返す。
その心が凍えてしまわないように。繋がれたその手は、温もりに満ちたものとなった。
「……私が居ることを忘れてないか?」
「っ、サミュエル様!?」
「邪魔しないでほしいんだけどなぁ」
レアナはともかくとして、アルガは、ちゃんとサミュエルの存在を覚えていた。ただ、当然、分かった上で無視をしていたわけだが……。
「まぁ、良いけどね。今、着いたみたいだし」
ケロリとそう言ってのけたアルガは、真っ赤な顔でワタワタするレアナへと前方を指し示す。
そこにあったのは、真っ白な屋敷。どこもかしこも白で埋め尽くされたその屋敷の玄関へ、アルガはレアナの手を引いて立つ。
「……ここに、ジリエル様が封じられてる、んだよね」
「うん、ロジエル様によると、俺達が罰を言い渡しても抵抗はできないらしいから、さっさと終わらせようか」
玄関の扉に手を当てれば、扉は簡単に開く。ロジエルからこの屋敷への入館許可をもらっていたからこそ、それは可能となっていた。
「罰、か……。それぞれに考えた罰で、本当に良いんだな?」
「はい、サミュエル様」
ジリエルへの罰。それは、レアナ、サミュエル、アルガのそれぞれが告げるものとなる。初めは、レアナのみが決めれば良いという話ではあったものの、レアナ自身がそれに反対して、この状況が生まれていた。
玄関からまっすぐに通路を進めば、その先には、ロジエルに良く似た姿の神が、椅子に腰掛けて、レアナ達へと笑みを向ける。
「やぁ、君達が、兄さんの家族だね? 何もないところだけど、歓迎するよ」
ただし、その笑みは、あまりにも邪悪に満ちたものに見えた。
ロジエルとアニエスが去った後、レアナ達が向かったのは、とある屋敷。今回は、メルフィー達は遠慮するということで、今居るメンバーは、レアナ、サミュエル、アルガの三人だった。
「レアナ、無理してない?」
「……全く、とは言えないけど、大丈夫。きっと、お姉ちゃんの魂はもうすぐ戻って来るんだろうし、後は、最後の決着をつけなきゃ、ね……」
レアナを気遣うアルガは、まだ強がっているように見えるレアナの手をそっと取る。
「っ、アルガ様?」
「……寒くないように、レアナの手は俺が握っておくよ」
穏やかに微笑むアルガを前に、レアナは頬を赤く染める。
寒いも何も、この神界のこの場所の気候は穏やかで、手を温める必要などない。ただ、アルガの言葉が文字通りのものではないと良く理解できているレアナは、そっとアルガの手を握り返す。
その心が凍えてしまわないように。繋がれたその手は、温もりに満ちたものとなった。
「……私が居ることを忘れてないか?」
「っ、サミュエル様!?」
「邪魔しないでほしいんだけどなぁ」
レアナはともかくとして、アルガは、ちゃんとサミュエルの存在を覚えていた。ただ、当然、分かった上で無視をしていたわけだが……。
「まぁ、良いけどね。今、着いたみたいだし」
ケロリとそう言ってのけたアルガは、真っ赤な顔でワタワタするレアナへと前方を指し示す。
そこにあったのは、真っ白な屋敷。どこもかしこも白で埋め尽くされたその屋敷の玄関へ、アルガはレアナの手を引いて立つ。
「……ここに、ジリエル様が封じられてる、んだよね」
「うん、ロジエル様によると、俺達が罰を言い渡しても抵抗はできないらしいから、さっさと終わらせようか」
玄関の扉に手を当てれば、扉は簡単に開く。ロジエルからこの屋敷への入館許可をもらっていたからこそ、それは可能となっていた。
「罰、か……。それぞれに考えた罰で、本当に良いんだな?」
「はい、サミュエル様」
ジリエルへの罰。それは、レアナ、サミュエル、アルガのそれぞれが告げるものとなる。初めは、レアナのみが決めれば良いという話ではあったものの、レアナ自身がそれに反対して、この状況が生まれていた。
玄関からまっすぐに通路を進めば、その先には、ロジエルに良く似た姿の神が、椅子に腰掛けて、レアナ達へと笑みを向ける。
「やぁ、君達が、兄さんの家族だね? 何もないところだけど、歓迎するよ」
ただし、その笑みは、あまりにも邪悪に満ちたものに見えた。
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