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第二章 三団子、旅をする
第三十七話 三団子と約束
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ご老人とヘルの話しはすぐに終わり、三団子達はまず、ご老人の話を優先することにした。
「うむ、君達には、ワシが作ったミニチュアを一度見てもらいたくてのぉ」
「「「えっ! もう出来たの!?」」」
部屋に戻ってすぐに本題を切り出したご老人に、三団子は大袈裟なくらいに驚く。しかし、元々の構想を知っていれば、その反応も当然だった。
「いやいや、さすがに、まだほんの一部じゃ。じゃが、君達は旅をしておるんじゃろう? それなら、見せられる段階で見せたいと思うてのぉ」
そう言いながら、ご老人は手荷物の中から厳重に梱包した五十センチ角くらいの何かを取り出す。丁寧にその梱包を解き、その中から現れたのは……。
「これは……」
「「「うわぁっ、すごいっ!!」」」
ロドフや三団子が感嘆の声をあげる様子に、ご老人は満足げに頷く。
「三人の意見を取り入れて、ボタンを押すとそれぞれのカラクリが動くように調整しておる。とはいえ、まだ三つしかボタンはないのじゃが……これを組み合わせれば、面白いミニチュアができそうじゃ」
まだ色までは塗られていないものの、そこには木で出来た人やリードで繋がれた犬、木々や屋台などがあり、細部まで細かく作られている。
三団子が勧められるままにボタンを押せば、木々がワサワサと揺れたり、犬が駆け出して飼い主であろう人が引っ張られたり、屋台の主人が調理をしたりと、それぞれに変化が出る。
「これ、音とかつけられないかなぁ?」
「だよねっ!」
「木々の揺れる音とか、犬の鳴き声とか、そんなのをつけられたら面白いかもっ!」
三団子の中でのイメージは、完全に博物館などにあるボタンで音声案内をしてくれる展示物だ。
そんな三団子の意見に、ご老人は『ふぅむ』と唸る。
「音に関してはあまり専門ではないのじゃが、他に心当たりがあるから、そこを当たってみようかのぉ? うむ、やはり、君達に相談してみて良かった。この宿には、まだ滞在するのか?」
その問いに、三団子は商業ギルドに呼ばれていることと、その用件次第では近いうちにこのマルマの町を出るだろうことを告げる。
「なるほど、ならば、これが最後かもしれんのぉ」
「大丈夫だよぉ」
「僕達、きっとまたこの町に来るから!」
「もしかしたら、その頃には完成したミニチュアを見に来るかもしれないから、おじいさんも元気で待ってて!」
できるかどうかも分からない約束。しかし、三団子はきっと、この町にまた戻るつもりなのだろう。
ロドフはそんな三団子に何かを言いかけて止める。三団子のお人好しは今に始まったことではないのだから。
タプンと腹を揺らして宣言した三団子に、ご老人はその頬を綻ばせる。
「うむ、では、その時までしっかり元気に待っていよう。きっと、あっと驚くようなミニチュアを作ってみせるからのぉ!」
初めて出会った時は、気力も何も感じられなかったご老人。しかし、今やイキイキと誰よりも輝いているように見えた。
それから、三団子はご老人に別れを告げて、商業ギルドへと向かうことにしたのだった。
「うむ、君達には、ワシが作ったミニチュアを一度見てもらいたくてのぉ」
「「「えっ! もう出来たの!?」」」
部屋に戻ってすぐに本題を切り出したご老人に、三団子は大袈裟なくらいに驚く。しかし、元々の構想を知っていれば、その反応も当然だった。
「いやいや、さすがに、まだほんの一部じゃ。じゃが、君達は旅をしておるんじゃろう? それなら、見せられる段階で見せたいと思うてのぉ」
そう言いながら、ご老人は手荷物の中から厳重に梱包した五十センチ角くらいの何かを取り出す。丁寧にその梱包を解き、その中から現れたのは……。
「これは……」
「「「うわぁっ、すごいっ!!」」」
ロドフや三団子が感嘆の声をあげる様子に、ご老人は満足げに頷く。
「三人の意見を取り入れて、ボタンを押すとそれぞれのカラクリが動くように調整しておる。とはいえ、まだ三つしかボタンはないのじゃが……これを組み合わせれば、面白いミニチュアができそうじゃ」
まだ色までは塗られていないものの、そこには木で出来た人やリードで繋がれた犬、木々や屋台などがあり、細部まで細かく作られている。
三団子が勧められるままにボタンを押せば、木々がワサワサと揺れたり、犬が駆け出して飼い主であろう人が引っ張られたり、屋台の主人が調理をしたりと、それぞれに変化が出る。
「これ、音とかつけられないかなぁ?」
「だよねっ!」
「木々の揺れる音とか、犬の鳴き声とか、そんなのをつけられたら面白いかもっ!」
三団子の中でのイメージは、完全に博物館などにあるボタンで音声案内をしてくれる展示物だ。
そんな三団子の意見に、ご老人は『ふぅむ』と唸る。
「音に関してはあまり専門ではないのじゃが、他に心当たりがあるから、そこを当たってみようかのぉ? うむ、やはり、君達に相談してみて良かった。この宿には、まだ滞在するのか?」
その問いに、三団子は商業ギルドに呼ばれていることと、その用件次第では近いうちにこのマルマの町を出るだろうことを告げる。
「なるほど、ならば、これが最後かもしれんのぉ」
「大丈夫だよぉ」
「僕達、きっとまたこの町に来るから!」
「もしかしたら、その頃には完成したミニチュアを見に来るかもしれないから、おじいさんも元気で待ってて!」
できるかどうかも分からない約束。しかし、三団子はきっと、この町にまた戻るつもりなのだろう。
ロドフはそんな三団子に何かを言いかけて止める。三団子のお人好しは今に始まったことではないのだから。
タプンと腹を揺らして宣言した三団子に、ご老人はその頬を綻ばせる。
「うむ、では、その時までしっかり元気に待っていよう。きっと、あっと驚くようなミニチュアを作ってみせるからのぉ!」
初めて出会った時は、気力も何も感じられなかったご老人。しかし、今やイキイキと誰よりも輝いているように見えた。
それから、三団子はご老人に別れを告げて、商業ギルドへと向かうことにしたのだった。
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