ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

文字の大きさ
83 / 96
第二章 三団子、旅をする

第三十七話 三団子と約束

しおりを挟む
 ご老人とヘルの話しはすぐに終わり、三団子達はまず、ご老人の話を優先することにした。


「うむ、君達には、ワシが作ったミニチュアを一度見てもらいたくてのぉ」

「「「えっ! もう出来たの!?」」」


 部屋に戻ってすぐに本題を切り出したご老人に、三団子は大袈裟なくらいに驚く。しかし、元々の構想を知っていれば、その反応も当然だった。


「いやいや、さすがに、まだほんの一部じゃ。じゃが、君達は旅をしておるんじゃろう? それなら、見せられる段階で見せたいと思うてのぉ」


 そう言いながら、ご老人は手荷物の中から厳重に梱包した五十センチ角くらいの何かを取り出す。丁寧にその梱包を解き、その中から現れたのは……。


「これは……」

「「「うわぁっ、すごいっ!!」」」


 ロドフや三団子が感嘆の声をあげる様子に、ご老人は満足げに頷く。


「三人の意見を取り入れて、ボタンを押すとそれぞれのカラクリが動くように調整しておる。とはいえ、まだ三つしかボタンはないのじゃが……これを組み合わせれば、面白いミニチュアができそうじゃ」


 まだ色までは塗られていないものの、そこには木で出来た人やリードで繋がれた犬、木々や屋台などがあり、細部まで細かく作られている。
 三団子が勧められるままにボタンを押せば、木々がワサワサと揺れたり、犬が駆け出して飼い主であろう人が引っ張られたり、屋台の主人が調理をしたりと、それぞれに変化が出る。


「これ、音とかつけられないかなぁ?」

「だよねっ!」

「木々の揺れる音とか、犬の鳴き声とか、そんなのをつけられたら面白いかもっ!」


 三団子の中でのイメージは、完全に博物館などにあるボタンで音声案内をしてくれる展示物だ。
 そんな三団子の意見に、ご老人は『ふぅむ』と唸る。


「音に関してはあまり専門ではないのじゃが、他に心当たりがあるから、そこを当たってみようかのぉ? うむ、やはり、君達に相談してみて良かった。この宿には、まだ滞在するのか?」


 その問いに、三団子は商業ギルドに呼ばれていることと、その用件次第では近いうちにこのマルマの町を出るだろうことを告げる。


「なるほど、ならば、これが最後かもしれんのぉ」

「大丈夫だよぉ」

「僕達、きっとまたこの町に来るから!」

「もしかしたら、その頃には完成したミニチュアを見に来るかもしれないから、おじいさんも元気で待ってて!」


 できるかどうかも分からない約束。しかし、三団子はきっと、この町にまた戻るつもりなのだろう。
 ロドフはそんな三団子に何かを言いかけて止める。三団子のお人好しは今に始まったことではないのだから。

 タプンと腹を揺らして宣言した三団子に、ご老人はその頬を綻ばせる。


「うむ、では、その時までしっかり元気に待っていよう。きっと、あっと驚くようなミニチュアを作ってみせるからのぉ!」


 初めて出会った時は、気力も何も感じられなかったご老人。しかし、今やイキイキと誰よりも輝いているように見えた。
 それから、三団子はご老人に別れを告げて、商業ギルドへと向かうことにしたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができて、先行者利益を得られたら〜

一日千秋
ファンタジー
昨今、話題の現実にダンジョンができる系の作品です。 高校生達のダンジョン攻略と日常の学校生活、ビジネス活動を書いていきます。 舞台は2025年、 高校2年生の主人公の千夏将人(チナツマサト)は 異世界漫画研究部の部長をしています。 同じ部活の友人たちとある日突然できたダンジョンに できてすぐ侵入します。 オタクは知っている、ダンジョンには先行者利益があることを。 そして、得たスキルでこつこつダンジョンを攻略していき、日本で影響力をつけていった先に待ち受ける困難とは!? ダンジョンの設定はステータス、レベル、スキルあり、ダンジョン内のモンスターの死体はしっかり消えます。 一話につき1000〜2500文字くらいの読みやすい量になっているので初心者には読みやすい仕様になっております。 キャラクターはところどころ新キャラが出てきますがメインストーリーは主に3人なので複雑になりすぎないように心がけています。 「いいね」頂けるととても嬉しいです! 「お気に入り」登録も最高に嬉しいです! よろしくお願いします! ※契約書、経済システムの書式、掲示板テンプレはAI生成を活用して制作しております。修正、加筆は行っております。ご了承下さい。

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

処理中です...