195 / 412
第二章 少女期 瘴気編
第百九十四話 クリスタルロード攻略5(メリー視点)
しおりを挟む
その瞬間、空気が変わった。全身が総毛立ち、頭の中で警鐘が鳴り響く。『アレ』は危険だと。早く、逃げなければと。
しかし、その本能を、私は意思の力だけでねじ曲げる。
(ユミリアお嬢様のために、退くわけにはいかないっ)
そう考えるのは、何も私だけではない。異変を察知してすぐにこちらまで降りてきたセイ殿も、いつもだらしのない物言いをしているローランも、最近は愛玩動物としてしか見れなくなってきているコウ様も、警戒をしながら、竜をにらみ返している。そして、イルト殿下はといえば……竜の殺気に対抗すべく、殺気を放っている。
(私も、見習わなければっ)
イルト殿下の対応に感心した私は、イルト殿下を見習って殺気を放とうとしたところで……。
「まてまてまてっ、真似すんなっ。ていうか、あれ、多分動けねぇからっ!」
ローランに止められて、その視線の先を辿った結果、その真意を理解する。
(確かに、ミーシャ様にはつらいでしょうね)
一応、セイ殿に結界で守られてはいるものの、それでも完全にこの殺気の応酬を防げてはいないのだろう。気絶したままでありながら、ミーシャ様はうなされているようだった。
「動かないという根拠は?」
持続性のある光魔法であったおかげで、ミーシャ様が気絶した今も、竜の頭はしっかりと見えている。そして、その目が敵意をふんだんにはらんでいる様子も見てとれた。
「あぁ、そりゃあ……あの竜は、本当に首だけみたいだからな」
「……はい?」
そう言われてよくよく見てみると、確かに、胴体は確認できない。しかし、それは水晶に覆われて見えなくなっているだけではないのかとも思え、ついローランへ視線を投げる。
「あの竜の目、白く濁ってるだろ? 竜は、首を落とされても、魔力がある限りは生きていられる生き物だ。んで、首を落とされたら、そいつの目は白く濁るんだ」
改めて竜の目を見てみると、確かに、その竜の目は白く濁っていた。
「だから、あいつは絶対に動けねぇよ。……そんでよぉ、なんで、そんなに敵意をぶつけてくるのか、聞かせてくんねぇか?」
前半は私に向けた言葉。後半は、竜に向けた言葉なのだろう。竜の知能は高く、会話をすることも可能だと聞くが、果たして、首だけになった竜も同じなのだろうかと考えながら待つと、頭の中に、随分と重厚な声が響く。
《ふんっ、若造が偉そうに。敵意の理由だと? そんなもの、我をこの状態のまま放置している人間が憎いからに決まっておるっ》
そして、その声から得られた真っ当な理由に……セイ殿をはじめとした全員が、胡乱げな視線を向けたのだった。
しかし、その本能を、私は意思の力だけでねじ曲げる。
(ユミリアお嬢様のために、退くわけにはいかないっ)
そう考えるのは、何も私だけではない。異変を察知してすぐにこちらまで降りてきたセイ殿も、いつもだらしのない物言いをしているローランも、最近は愛玩動物としてしか見れなくなってきているコウ様も、警戒をしながら、竜をにらみ返している。そして、イルト殿下はといえば……竜の殺気に対抗すべく、殺気を放っている。
(私も、見習わなければっ)
イルト殿下の対応に感心した私は、イルト殿下を見習って殺気を放とうとしたところで……。
「まてまてまてっ、真似すんなっ。ていうか、あれ、多分動けねぇからっ!」
ローランに止められて、その視線の先を辿った結果、その真意を理解する。
(確かに、ミーシャ様にはつらいでしょうね)
一応、セイ殿に結界で守られてはいるものの、それでも完全にこの殺気の応酬を防げてはいないのだろう。気絶したままでありながら、ミーシャ様はうなされているようだった。
「動かないという根拠は?」
持続性のある光魔法であったおかげで、ミーシャ様が気絶した今も、竜の頭はしっかりと見えている。そして、その目が敵意をふんだんにはらんでいる様子も見てとれた。
「あぁ、そりゃあ……あの竜は、本当に首だけみたいだからな」
「……はい?」
そう言われてよくよく見てみると、確かに、胴体は確認できない。しかし、それは水晶に覆われて見えなくなっているだけではないのかとも思え、ついローランへ視線を投げる。
「あの竜の目、白く濁ってるだろ? 竜は、首を落とされても、魔力がある限りは生きていられる生き物だ。んで、首を落とされたら、そいつの目は白く濁るんだ」
改めて竜の目を見てみると、確かに、その竜の目は白く濁っていた。
「だから、あいつは絶対に動けねぇよ。……そんでよぉ、なんで、そんなに敵意をぶつけてくるのか、聞かせてくんねぇか?」
前半は私に向けた言葉。後半は、竜に向けた言葉なのだろう。竜の知能は高く、会話をすることも可能だと聞くが、果たして、首だけになった竜も同じなのだろうかと考えながら待つと、頭の中に、随分と重厚な声が響く。
《ふんっ、若造が偉そうに。敵意の理由だと? そんなもの、我をこの状態のまま放置している人間が憎いからに決まっておるっ》
そして、その声から得られた真っ当な理由に……セイ殿をはじめとした全員が、胡乱げな視線を向けたのだった。
153
あなたにおすすめの小説
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる