悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第二章 少女期 瘴気編

第百九十九話 クリスタルロード攻略10(ミーシャ視点)

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「う……ん……?」


 ゆっくり意識が浮上したところで感じたのは、ズキズキとした頭痛だった。


(……うーん? この感じは、魔力不足で起こる頭痛に似てるような……?)


 浄化魔法を使いまくるような出来事があっただろうかと思いつつも、そっと目を開ければ……そこは、真っ暗で何も見えない空間だった。


「?? とにかく、光、かな?」


 闇の中で光を求めるのは、ごくごく自然なことだ。そのため、私はそっと体を起こし、何の疑いもなく、光の玉を一気に五つ生み出した……のだが……。


「えっ……?」


 そこは、私がとても良く知る場所。いや、前の私が、良く知っていた場所だ。


「クリスタルロード、最深部……?」


 クリスタルロードにおける、最終到着地点。凶悪な魔物が守る扉が、すぐそこに見える。


「って、ことは……?」


 扉の両隣を確認すれば、そこには十メートル以上の身長を誇る、二体の鬼の像があった。


欺王ぎおうと、偽牙ぎが……」


 門を守るのは、二体の鬼。どちらも性格が悪そうな笑みを浮かべ、ランランと瞳を輝かせている。しかし、そんな中にも救いはあった。あの二体は、誰かが扉に手を触れない限り、動き出すことはない。


「……うん、何で、私一人が、こんな場所に居るんだろう?」


 クリスタルロード最深部。その場所に、私は一人っきりだった。


「確か、クリスタルロードは、入った瞬間に、バラバラの場所へと転、移…………まさか、今がその状態!?」


 徐々に、意識を失う前のことを思い出した私は、その結論が妥当ではないかと思い至る。


「セイさんの結界が間に合わなくて、水に流されてはぐれて、そのまま、クリスタルロードの入り口にイン、しちゃった?」


 誰も、助けになる存在が居ない状態での、危険地帯に取り残された現状。
 戦闘能力、皆無。浄化魔法特化の、高所恐怖症な女の子がただ一人。死と絶望が渦巻くダンジョンで戦わなければならない。しかも、周りは全て、高レベルで厄介な敵ばかり。


「……詰んだ」


 明らかに、生き残れる気配がない。欠片たりとも存在しない。


「私からアクションをしなければ、安全な場所ではあるけど……食料、切り詰めたら、十日くらい、いけるかなぁ?」


 荷物らしい荷物を持っていない私ではあるものの、昔、極貧生活だったことから、食料への執着は並々ならぬものだったらしく、お姉様に頼んでは、服に縫いつけられる小型で栄養価の高い食料を作ってもらっていた。そして、私が身につけるアクセサリーはお姉様の魔導具であり、その内の一つである指輪が、無限の水を生み出す能力を持っていたりする。


「人間、水だけだったら、何日生きられるんだったっけ?」


 恐らく、助けが来るまでに、私は息絶えているだろう。クリスタルロードは、超巨大ダンジョンだ。攻略するのに、最短でもゲーム内の時間で一月かかると言われている場所。最初のランダムの転移は、合計三人までなら、手を繋いでいたら同じ場所に飛ばしてもらえるため、その手法で、何とか乗りきっていた。ただ、今回のように最深部の方へ転移させられることは稀で、そうなった場合、いきなりの高レベルな魔物との接触でゲームオーバーか、必死に別の仲間と合流するために魔物を避けて上の階へと戻るかのどちらかしかなかった。


「戦闘、無理。一人。救助は望めない…………はぁ…………」


 こんなところで、人生終了かと嘆きながら、まずは食料を確認しようと服に手をかけたところで…………。


「ん……」


 誰かの声が、聞こえた…………。
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