悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第二章 少女期 瘴気編

第二百八話 クリスタルロード攻略19(ミーシャ視点)

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 ここで思い出すのは、マルディックが白いトカゲになって、恐らくは弱体化したであろうという事実。口だけは達者で、『力が戻ったら覚えてろ』的なセリフを合間合間で叫んでいたことから、力は戻ったのだろうかという疑問。つまりは……。


(よしっ、今のうちに、回復系の魔石を発動させて、逃げられる準備を整えようっ)


 今のマルディックに希望を抱くほど、私は何も知らない子供ではない。むしろ、私はかなりのリアリストだ。たとえ、この世界に良く似たゲームを知っていようとも、ここが現実なのだということは痛いほど理解している。


(足の痛みは治った。体力も、少しは回復した)


 マルディックは、覚悟を問う言葉を発した後、動かない。ダンジョンが光っていたのは、少し前に終わり、次は地響きが上の方から聞こえてきたが、それでも動かない。
 やがて、それを不思議に思ったらしい欺王が問いかける。


《なぁ、かかってくるんじゃなかったのか? トカゲ?》

「ふん、そんなもの、決まっておろうっ! 弱者たるお前達に先手を譲ってやろうとしておるのだっ!」


 またしても、ズドォォンッと地響きが聞こえる中、白トカゲことマルディックは、堂々と言い放つ。ただ、それは当然、力がないことの言い訳にしか聞こえないわけで……。


《ふんっ、欺王、白トカゲの戯れ言に引っ掛かるな。そやつは、力など欠片もない。さっさと捕まえて、楽しもうぞ?》

《おぉっ、おいらっ、楽しいことする!》


 逃げる準備は整った。後は、マルディックを掴んで走り出すのみ、というところで、今度は、今までの比ではない地響きが……いや、地震が起こる。


「きゃっ」

「っ、娘ーっ!」

《うぉっとっ》

《くっ、何なのだ、これはっ!》


 あまりの揺れに、私は跳ね上がった。いや、比喩でも何でもなく、本当に、物理的に、はね飛ばされた。一番小さかったマルディックは、全く踏ん張りがきかず、私以上に大きく跳ね、どこかへ行ってしまう。欺王と偽牙も、それだけの揺れを経験すれば、いくら十メートル超えの巨体だといっても、バランスを崩すくらいはするらしい。


(これじゃあ、逃げられないっ)


 マルディックがどこへ行ったのかは分からない。恐らくは、現在進行形で跳ね回っていることだろうが、地響きの音が五月蝿くて、その声すらも聞き取れない。そして、私は私で、揺れが酷くて立ち上がることもままならなかった。


《なぁ、兄者っ。こいつだけでも捕まえておこうぜ?》

《ふむ、そうだな》


 最悪なことに、鬼達は少し踏ん張る程度で問題のない揺れらしい。無情にも、青鬼の偽牙の手が伸びてくるのを見て、這ってでも逃げようと体勢を変えようとした途端……欺王と偽牙の頭上から、赤と白と黒が降ってきた。
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