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第二章 少女期 瘴気編
第二百十九話 これで帰れる
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「みゅ! 私の勝利!!」
夢から目を覚ました私は、起き上がるやいなやそう叫んで、右手をそっと前に差し出して、手を広げる。
「ち、ちゅう……」
そこには、真っ黒なネズミが、ビクビクと怯えたようにして、辺りを伺っていた。
「ほら、魔王さん。ここが外の世界ですよ? ね? 怖いものなんてないでしょう?」
「ちゅ……ま、まだ分からない。我は、我は……」
「みゅう、なら、もっともっと、色々なものを見て回ろう! 魔王さんは、色々なことを知るべきだよ」
「ちゅー……」
手を前にして、ビクビクと怯えるのは、魔王本人で間違いない。あれから何度も夢に潜って会う内に、この魔王には記憶がなくて、それなのに負の感情に囚われるという不思議な状況に陥っていることに気づき、説得を重ねて外の世界に連れ出したのだ。おかげで、今は、私の周りに瘴気が漂うこともなく、魔王にもきっちり言い含めたおかげで、魔王からも瘴気は発生していない。
(これで、やっと……やっと、イルト様のところに帰れるっ!)
家を出てから三週間。ずっと連絡も取らずにいたため、きっと心配をかけていることだろう。
(もし、私の居場所がなくなるようなことになってたら……イルト様だけでも連れて、新天地で暮らすのも良いかも?)
さすがに、今回の家出は外聞が悪いことくらい理解している。しかし、あの時は本当にそうするしかなかった。そうしなければ、イルト様達は瘴気に呑まれて、下手をすれば殺し合いをしかねないほどの状況だったのだから。
「主様。これで、もう、目的は達したのか?」
「みゅ? そうだけど……何で、落ち込んでるの?」
三週間もの時間があれば、家を建て、家具を揃え、畑を作るくらいは簡単にできる。ちょっとしたログハウスのベッドで、帰る準備は何が必要だろうかと考えていると、ミルラスがとても暗い顔をしていることに気づく。
「う、ぬ……その、主様の目的が達成されたのであれば、妾はお役ごめん、ということなのじゃろう?」
「みゅ? そんなことないけど? ちゃんと一緒に連れていくよ?」
何を言っているのだろうかと思いながら告げれば、途端に、ミルラスはパッと顔を上げる。
「ほ、本当に!?」
「むしろ、置いていくつもりはなかったんだけど……もしかして、ここに残りたいとか?」
そう問えば、ミルラスはブンブンブンと首を横に振る。
「わ、妾は、主様と一緒にいたいのじゃっ」
「なら、決まりだね! これからもよろしくね。ミル」
「うむっ!!」
わだかまりも解消したところで、私は、ミルラスと魔王を交互に見て宣言する。
「それじゃあ、帰るよ!」
魔王をそっと片手で包み、ミルラスの腕を取った私は……久々の我が家へ、転移した。
夢から目を覚ました私は、起き上がるやいなやそう叫んで、右手をそっと前に差し出して、手を広げる。
「ち、ちゅう……」
そこには、真っ黒なネズミが、ビクビクと怯えたようにして、辺りを伺っていた。
「ほら、魔王さん。ここが外の世界ですよ? ね? 怖いものなんてないでしょう?」
「ちゅ……ま、まだ分からない。我は、我は……」
「みゅう、なら、もっともっと、色々なものを見て回ろう! 魔王さんは、色々なことを知るべきだよ」
「ちゅー……」
手を前にして、ビクビクと怯えるのは、魔王本人で間違いない。あれから何度も夢に潜って会う内に、この魔王には記憶がなくて、それなのに負の感情に囚われるという不思議な状況に陥っていることに気づき、説得を重ねて外の世界に連れ出したのだ。おかげで、今は、私の周りに瘴気が漂うこともなく、魔王にもきっちり言い含めたおかげで、魔王からも瘴気は発生していない。
(これで、やっと……やっと、イルト様のところに帰れるっ!)
家を出てから三週間。ずっと連絡も取らずにいたため、きっと心配をかけていることだろう。
(もし、私の居場所がなくなるようなことになってたら……イルト様だけでも連れて、新天地で暮らすのも良いかも?)
さすがに、今回の家出は外聞が悪いことくらい理解している。しかし、あの時は本当にそうするしかなかった。そうしなければ、イルト様達は瘴気に呑まれて、下手をすれば殺し合いをしかねないほどの状況だったのだから。
「主様。これで、もう、目的は達したのか?」
「みゅ? そうだけど……何で、落ち込んでるの?」
三週間もの時間があれば、家を建て、家具を揃え、畑を作るくらいは簡単にできる。ちょっとしたログハウスのベッドで、帰る準備は何が必要だろうかと考えていると、ミルラスがとても暗い顔をしていることに気づく。
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「なら、決まりだね! これからもよろしくね。ミル」
「うむっ!!」
わだかまりも解消したところで、私は、ミルラスと魔王を交互に見て宣言する。
「それじゃあ、帰るよ!」
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