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第二章 少女期 瘴気編
第二百三十九話 ゲームの夢?
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「ふわぁ、やっぱり格好いい……」
「……お姉様は、やっぱりお姉様なのだと、今、確信しました」
夢の中だからと、とにかく可愛くて格好よくて、美しい少年の顔を堪能していると、ふいに、私の知る日本語が聞こえてきた。
「? 誰?」
せっかくなら、この美少年と話したいのにと思いながら目を向けると、そこには、眠る前に、華から頼まれて買ったゲームのヒロインが居た。
「やはり、覚えて居ないんですね。では、改めまして、私は、ミーシャ・リグナーと申します。とりあえずは、お姉様の通訳を努めさせていただきますねっ」
なぜ、ゲームのヒロインがここに居るのかというのは、恐らく、『私の夢だから』で解決する。少なくとも、眠る前に見ていたものが夢に出てくるのは珍しいことでもないだろう。まぁ、しかし……。
(私は、お姉様と呼ばれたい願望なんてなかったはずなんだけどなぁ)
明らかに、ミーシャは私のことを『お姉様』と呼んでいる。妹の華に同じことを言われたら鳥肌ものなのだが、こんなに可愛い美少女に『お姉様』と呼ばれたら、許してしまいたくなる。
(まぁ、現実だったら何がなんでも訂正してもらうけど、夢なら、良いか)
「あぁ、そうそう。お姉様は、もしかしたら今のこの状態を夢だと思っているかもしれませんが、違いますからね? お姉様は、ユミリア・リ・アルテナとして転生してから、今の十二歳まで生きてきたんですから」
「ユミリアって、悪役令嬢の名前じゃない。我が夢ながら、何でそんな役回りに……」
どうせならば、目の前のミーシャに転生する夢の方が良かったかなと少しだけ思いはしたものの……。
「あ、いや、やっぱり、ヒロインはダメだ。攻略対象者はどうでも良かったし」
「……お姉様らしくて何よりです。ちなみに、そこにおられる方は、この国の第二王子、イルト・ラ・リーリス様ですよ。現在、お姉様の婚約者です」
「ふぇ?」
婚約者? この、可愛くて格好よくて、美しい少年が?
ミーシャの言葉をすぐに飲み込むのは難しかったものの、どうやら、私の願望は、悪役令嬢に転生して、この少年との愛を築きあげることなのだと知る。ただし……。
「イルト・ラ・リーリス……? それって、あの悪役王子!?」
出てきた名前は、『モフ恋』でユミリアとともに悪事を働く素顔が不明の王子だった。
『イルト殿下、どうやら、お姉様は前世の記憶のみの状態らしいので、状況を説明していきます』
『頼む』
我が夢ながら、随分と飛躍しているなと考えていれば、目の前のミーシャがニコッと笑いかける。
「とりあえず、話を聞いていただけますよね」
疑問系の文章であるはずなのに、問いかけている雰囲気のないミーシャの言葉に、私はうなずいたのだった。
「……お姉様は、やっぱりお姉様なのだと、今、確信しました」
夢の中だからと、とにかく可愛くて格好よくて、美しい少年の顔を堪能していると、ふいに、私の知る日本語が聞こえてきた。
「? 誰?」
せっかくなら、この美少年と話したいのにと思いながら目を向けると、そこには、眠る前に、華から頼まれて買ったゲームのヒロインが居た。
「やはり、覚えて居ないんですね。では、改めまして、私は、ミーシャ・リグナーと申します。とりあえずは、お姉様の通訳を努めさせていただきますねっ」
なぜ、ゲームのヒロインがここに居るのかというのは、恐らく、『私の夢だから』で解決する。少なくとも、眠る前に見ていたものが夢に出てくるのは珍しいことでもないだろう。まぁ、しかし……。
(私は、お姉様と呼ばれたい願望なんてなかったはずなんだけどなぁ)
明らかに、ミーシャは私のことを『お姉様』と呼んでいる。妹の華に同じことを言われたら鳥肌ものなのだが、こんなに可愛い美少女に『お姉様』と呼ばれたら、許してしまいたくなる。
(まぁ、現実だったら何がなんでも訂正してもらうけど、夢なら、良いか)
「あぁ、そうそう。お姉様は、もしかしたら今のこの状態を夢だと思っているかもしれませんが、違いますからね? お姉様は、ユミリア・リ・アルテナとして転生してから、今の十二歳まで生きてきたんですから」
「ユミリアって、悪役令嬢の名前じゃない。我が夢ながら、何でそんな役回りに……」
どうせならば、目の前のミーシャに転生する夢の方が良かったかなと少しだけ思いはしたものの……。
「あ、いや、やっぱり、ヒロインはダメだ。攻略対象者はどうでも良かったし」
「……お姉様らしくて何よりです。ちなみに、そこにおられる方は、この国の第二王子、イルト・ラ・リーリス様ですよ。現在、お姉様の婚約者です」
「ふぇ?」
婚約者? この、可愛くて格好よくて、美しい少年が?
ミーシャの言葉をすぐに飲み込むのは難しかったものの、どうやら、私の願望は、悪役令嬢に転生して、この少年との愛を築きあげることなのだと知る。ただし……。
「イルト・ラ・リーリス……? それって、あの悪役王子!?」
出てきた名前は、『モフ恋』でユミリアとともに悪事を働く素顔が不明の王子だった。
『イルト殿下、どうやら、お姉様は前世の記憶のみの状態らしいので、状況を説明していきます』
『頼む』
我が夢ながら、随分と飛躍しているなと考えていれば、目の前のミーシャがニコッと笑いかける。
「とりあえず、話を聞いていただけますよね」
疑問系の文章であるはずなのに、問いかけている雰囲気のないミーシャの言葉に、私はうなずいたのだった。
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