悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第二章 少女期 瘴気編

第二百九十二話 諸悪の根元(ローラン視点)

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 死んだと思ったあの後、俺は、ちゃんと目を覚ました。それも、それまでの傷が回復し、雪のない、安全な山の麓で。
 ただ……そこに、竜神様との思い出は、一つも残っていなかった。俺は、おぼろげに、竜人達の国から追放されたという事実のみを記憶に残したまま、人里へと下ったのだ。だから、今、目の前に竜神様が居て、唐突に失った記憶を思い出して、俺は、とても混乱していた。


「竜神様……? どうして、俺は……」

「ローランっ、よくっ、よくっ、無事でっ! あなたの反応が消えてしまった時、私は、てっきり、あなたが殺されたのだとばかりっ」


 どうやら、竜神様には、随分と心配をかけたようだ。


「あっと……その、ちゃんと、無事、です。雪山からなぜか脱出していた後は、人里に行って、勇者になって、ちょっと封印されたりもしたけど、ユミリア様に助けていただいて」

「……ユミリア、様?」


 とにかく、色々と説明をしたいと思う俺は、今までのことを懸命に振り返って、大まかに話す。ただ、その途中で、竜神様の表情が固まったことに、俺は気づかなかった。


「はい、この国の公爵令嬢で、俺が封印されて、もう少しで死にそうだって時に、助けてくれたんです。それで、とても良くしてもらって、俺は、彼女に忠誠を誓って、今は、教師までしてるんで……って、それどころじゃねぇっ!?」


 大好きな竜神様に会えたことへの興奮と、大切なユミリア様のことをその大好きな人に紹介できる嬉しさで、俺はいつも以上に饒舌に話し始めて……すぐに、それどころではないことを思い出す。


「すみません、竜神様っ! 俺、ユミリア様を助けに行かないといけなくてっ! 瘴気を操る厄介な敵に対抗しなきゃいけなくてっ! また後でっ! 失礼しますっ!」

「待って、ローラン!」


 そう言って、立ち去ろうとすれば、なぜか、背後に居たセイから制止の声が飛ぶ。


「セイ? お前も、急がなきゃならねぇのは分かってるだろっ?」

「そうだけど……ねぇ、もしかして、その敵って、そこの、竜神様だったりしない……?」

「はぁ? んなわけねぇだろっ! 竜神様は、俺をいつも助けてくれる、優しい方なんだぞ!?」

「ローラン、多分、それが原因だと思うよ?」

「は?」

「汗、ダラダラー」


 セイとコウの言葉に、竜神様を振り返れば、彼は、真っ青な表情で、汗を流していた。


「……竜神様?」

「す、すまないっ! すぐに、何とかするっ!!」


 そんな叫びとともに、竜神様は、その場から姿を消した。
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