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第二章 少女期 瘴気編
第二百九十五話 ロード様の謝罪
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イルト様を無事に捕まえることはできたし、ド変態は、適当なところに捨てれば良いだろうかと思いながら、ガタガタとうるさい箱を厳重封印していく。
「ユミリア様っ!!」
「っ、ロ、ロード様……?」
どこに捨てるべきか、頭の中で候補を挙げていると、気配もなく、背後からロード様に声をかけられる。しかも、なぜか様付けで。
「すみませんでしたっ!!」
どうやってこの短時間でここまでやって来たのかは分からないが、どこか青ざめた表情で土下座したロード様に、私は、何を答えて良いのか分からず、固まる。
(ロード様が、イルト様をここに追いやった、みたいな話だった、よね?)
本来ならば、ロード様は殺したいくらいに憎い相手のはずだ。しかし、ロード様も私の婚約者であり、何か事情があったに違いないとか、わざわざ私に教えたことを考えると、もしかしたら、イルト様の窮地を私に救ってほしかったのかもしれないとか、どうしてもそんなことを考えてしまう。
「許してもらえるとは思っていません。「いやぁっ、出してぇえっ!」しかし、私は、ローランの恩人に手を出してしまった。「お願いっ! これ、いやぁあっ!!」これは、許されることではありません「許してぇえっ!!」」
「ん? ローラン??」
てっきり、イルト様のことだと思っていた話は、なぜか、ローランの話になっているらしく、私は、どういうことかと聞き返す。ついでに、箱の中身があまりにもうるさいので、ちょっと、全身を虫に這い回られる感覚だけが味わえるという魔法を使っておく。
「ぴぎゃあぁぁぁあっ!!」
「そ、その、私は、ユミリア様の記憶を操作し、婚約者という立場を得たわけでして、「あぎゃあぁぁあっ!!」本当は違うので……えっと……」
ロード様の言う内容はよく分からないものの、やはり、箱がうるさいので、今度は、防音の魔法をかけておく。そうすれば、箱がガタガタ揺れる音以外、とても静かな空間が出来上がった。
「記憶、ね。まるで、この前話に聞いた邪神みたいですね」
そう茶化して言えば、ロード様の顔は、青も白も通り越して、土気色になっていることに気づく。
「す、みません。全て、元に戻します。だからっ、本当にっ、申し訳ありませんでした」
心なしか、カタカタと震えるロード様。ただ、私としては、早く、イルト様をここから連れ出したい。
「話は、お城で聞きます。だから、早く帰りましょう」
そうして、手を差し出せば、ビクッと肩を震わせた後、そっと手を取って、立ち上がってくれる。
「と、ところで、ユミリア様? そこに入ってるのは……その、紫のドレスを着た、とてもインパクトのある、性別不祥の奴、だったり、しません?」
「知り合いだったんですか? 次元の狭間にでも捨てようかと思ってましたが……それなら、仕方ないですね。お城に着いた後に、解放してあげることにしますね?」
激しくガタガタと音を立てていた箱が、いつの間にか沈静化しているのを見て、ロード様は中身が心配なのか、しきりに、『大丈夫? ねぇ、大丈夫?』みたいな視線を寄越してきたものの、あの程度で死ぬようなものじゃないことはよく分かっている。きっと、気絶でもしたのだろう。
「いや、アレが気絶するとか、相当……私、生きて帰れる、かなぁ?」
イルト様の様子をがっつり確認していた私は、そんなロード様の呟きに気づくことなく、早速、お城へと戻るのだった。
「ユミリア様っ!!」
「っ、ロ、ロード様……?」
どこに捨てるべきか、頭の中で候補を挙げていると、気配もなく、背後からロード様に声をかけられる。しかも、なぜか様付けで。
「すみませんでしたっ!!」
どうやってこの短時間でここまでやって来たのかは分からないが、どこか青ざめた表情で土下座したロード様に、私は、何を答えて良いのか分からず、固まる。
(ロード様が、イルト様をここに追いやった、みたいな話だった、よね?)
本来ならば、ロード様は殺したいくらいに憎い相手のはずだ。しかし、ロード様も私の婚約者であり、何か事情があったに違いないとか、わざわざ私に教えたことを考えると、もしかしたら、イルト様の窮地を私に救ってほしかったのかもしれないとか、どうしてもそんなことを考えてしまう。
「許してもらえるとは思っていません。「いやぁっ、出してぇえっ!」しかし、私は、ローランの恩人に手を出してしまった。「お願いっ! これ、いやぁあっ!!」これは、許されることではありません「許してぇえっ!!」」
「ん? ローラン??」
てっきり、イルト様のことだと思っていた話は、なぜか、ローランの話になっているらしく、私は、どういうことかと聞き返す。ついでに、箱の中身があまりにもうるさいので、ちょっと、全身を虫に這い回られる感覚だけが味わえるという魔法を使っておく。
「ぴぎゃあぁぁぁあっ!!」
「そ、その、私は、ユミリア様の記憶を操作し、婚約者という立場を得たわけでして、「あぎゃあぁぁあっ!!」本当は違うので……えっと……」
ロード様の言う内容はよく分からないものの、やはり、箱がうるさいので、今度は、防音の魔法をかけておく。そうすれば、箱がガタガタ揺れる音以外、とても静かな空間が出来上がった。
「記憶、ね。まるで、この前話に聞いた邪神みたいですね」
そう茶化して言えば、ロード様の顔は、青も白も通り越して、土気色になっていることに気づく。
「す、みません。全て、元に戻します。だからっ、本当にっ、申し訳ありませんでした」
心なしか、カタカタと震えるロード様。ただ、私としては、早く、イルト様をここから連れ出したい。
「話は、お城で聞きます。だから、早く帰りましょう」
そうして、手を差し出せば、ビクッと肩を震わせた後、そっと手を取って、立ち上がってくれる。
「と、ところで、ユミリア様? そこに入ってるのは……その、紫のドレスを着た、とてもインパクトのある、性別不祥の奴、だったり、しません?」
「知り合いだったんですか? 次元の狭間にでも捨てようかと思ってましたが……それなら、仕方ないですね。お城に着いた後に、解放してあげることにしますね?」
激しくガタガタと音を立てていた箱が、いつの間にか沈静化しているのを見て、ロード様は中身が心配なのか、しきりに、『大丈夫? ねぇ、大丈夫?』みたいな視線を寄越してきたものの、あの程度で死ぬようなものじゃないことはよく分かっている。きっと、気絶でもしたのだろう。
「いや、アレが気絶するとか、相当……私、生きて帰れる、かなぁ?」
イルト様の様子をがっつり確認していた私は、そんなロード様の呟きに気づくことなく、早速、お城へと戻るのだった。
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