悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

文字の大きさ
296 / 412
第二章 少女期 瘴気編

第二百九十五話 ロード様の謝罪

しおりを挟む
 イルト様を無事に捕まえることはできたし、ド変態は、適当なところに捨てれば良いだろうかと思いながら、ガタガタとうるさい箱を厳重封印していく。


「ユミリア様っ!!」

「っ、ロ、ロード様……?」


 どこに捨てるべきか、頭の中で候補を挙げていると、気配もなく、背後からロード様に声をかけられる。しかも、なぜか様付けで。


「すみませんでしたっ!!」


 どうやってこの短時間でここまでやって来たのかは分からないが、どこか青ざめた表情で土下座したロード様に、私は、何を答えて良いのか分からず、固まる。


(ロード様が、イルト様をここに追いやった、みたいな話だった、よね?)


 本来ならば、ロード様は殺したいくらいに憎い相手のはずだ。しかし、ロード様も私の婚約者であり、何か事情があったに違いないとか、わざわざ私に教えたことを考えると、もしかしたら、イルト様の窮地を私に救ってほしかったのかもしれないとか、どうしてもそんなことを考えてしまう。


「許してもらえるとは思っていません。「いやぁっ、出してぇえっ!」しかし、私は、ローランの恩人に手を出してしまった。「お願いっ! これ、いやぁあっ!!」これは、許されることではありません「許してぇえっ!!」」

「ん? ローラン??」


 てっきり、イルト様のことだと思っていた話は、なぜか、ローランの話になっているらしく、私は、どういうことかと聞き返す。ついでに、箱の中身があまりにもうるさいので、ちょっと、全身を虫に這い回られる感覚だけが味わえるという魔法を使っておく。


「ぴぎゃあぁぁぁあっ!!」

「そ、その、私は、ユミリア様の記憶を操作し、婚約者という立場を得たわけでして、「あぎゃあぁぁあっ!!」本当は違うので……えっと……」


 ロード様の言う内容はよく分からないものの、やはり、箱がうるさいので、今度は、防音の魔法をかけておく。そうすれば、箱がガタガタ揺れる音以外、とても静かな空間が出来上がった。


「記憶、ね。まるで、この前話に聞いた邪神みたいですね」


 そう茶化して言えば、ロード様の顔は、青も白も通り越して、土気色になっていることに気づく。


「す、みません。全て、元に戻します。だからっ、本当にっ、申し訳ありませんでした」


 心なしか、カタカタと震えるロード様。ただ、私としては、早く、イルト様をここから連れ出したい。


「話は、お城で聞きます。だから、早く帰りましょう」


 そうして、手を差し出せば、ビクッと肩を震わせた後、そっと手を取って、立ち上がってくれる。


「と、ところで、ユミリア様? そこに入ってるのは……その、紫のドレスを着た、とてもインパクトのある、性別不祥の奴、だったり、しません?」

「知り合いだったんですか? 次元の狭間にでも捨てようかと思ってましたが……それなら、仕方ないですね。お城に着いた後に、解放してあげることにしますね?」


 激しくガタガタと音を立てていた箱が、いつの間にか沈静化しているのを見て、ロード様は中身が心配なのか、しきりに、『大丈夫? ねぇ、大丈夫?』みたいな視線を寄越してきたものの、あの程度で死ぬようなものじゃないことはよく分かっている。きっと、気絶でもしたのだろう。


「いや、アレが気絶するとか、相当……私、生きて帰れる、かなぁ?」


 イルト様の様子をがっつり確認していた私は、そんなロード様の呟きに気づくことなく、早速、お城へと戻るのだった。
しおりを挟む
感想 344

あなたにおすすめの小説

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。 前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。 外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。 もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。 そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは… どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。 カクヨムでも同時連載してます。 よろしくお願いします。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

処理中です...