悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第三章 少女期 女神編

第三百三十話 走れ

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「ふふふふっ、はははっ、あなた方二人は、反逆者として覚醒してしまえば、その人格は完全に消えてしまうでしょうね」


 セイ達に聞いてほしくはないのに、影は、とても愉しそうに語り続ける。さらに色をなくすセイと鋼へ、私はすぐにでも駆け寄りたいと思うのだが、拘束はビクともしない。


「セイっ、鋼っ、そんなやつの話を聞くなっ」


 ローランが叫ぶも、セイと鋼に、それが聞こえているのかどうか、怪しい。


「そうそう、あと、ここで何を召喚しようとしているのか、でしたね」


 私達に背中を向けて、一歩、二歩と祭壇の上の箱に近づき、中身が溢れ出したその箱の蓋を、愛おしそうに撫でる。


「私の目的はただ一つ」


 優しく、丁寧に撫でる影は、そこでピタリと動きを止める。その直後、ゾクリとした悪寒が全身を走り抜ける。


「憎い……憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い奴らをっ! その高みから引きずり下ろしっ、ぶち殺すための力をっ! 反逆者達の魂を我が物とするっ! そう、奴らを殺して、殺して、殺し尽くすためにっ! 私は、私は、わた、わわワワタ、ワたシ、ハ」


 要領を得ない言葉。答えになっていない答え。伝わってくるのは、ただただドロリとした粘度を誇る、深く、昏い、憎しみ。負の感情。
 思わず耳も尻尾をゾゾゾッと毛を逆立てた私は、無意識に浄化魔法を行使する。


「え?」


 その瞬間、少しだけ、拘束が揺らいだ気がした私は、未だに神々への呪詛を紡ぎ続ける影を視界に捉えながらももう一度浄化魔法を試す。


(っ、確かに、揺らいでるっ!)


 恐らく、方向性は間違ってはいないと確信した私は、ストレージから両手に一つずつの魔石を直接取り出す形を取って、ある仮説の下、それを試すことにする。すると……。


「っ、解けたっ」


 小声で、拘束が解けたことを喜んだ私は、すぐに、天光シリーズという装備をストレージから直接私の体に身につけるように転移させ、同時に漆黒シリーズの装備をストレージへと転移させる。
 天光シリーズとは、常に光属性を纏い、輝く真っ白なドレスアーマー型の装備だ。漆黒シリーズに比べれば、その能力はやや劣り、しかも、物理的に光を放ち続けるため、敵の注目を集めやすいというデメリットを抱えた装備である。これを作れるようになる頃には、これより強い装備を作れるということで、あまり手出しされないであろう存在。しかし、この世界に来て、物理的に光を放つ装備を作ってみたいという欲求が抑えられるわけもなく、とりあえず、興味が赴くままに作成した一品。


(きっと、これならっ)


 私の拘束は、ただ、光魔法で光を生み出しただけで解けた。浄化魔法は、系統は近いものの、その本質は悪しきものを払うというもの。そのため、揺らぐ程度の変化しかなかったのだが、単純に光を生み出せば、あれだけ頑丈だった拘束は軽く吹き飛んだ。


「あぁぁあぁァあァアアっ!!!」


 私は、狂った叫びをあげる影を横目に、拘束が解けたことに気づいてなお、影に気づかれないように息を潜めるローラン達を助けるべく、グッと足に力を込め、走り出した。
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