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第三章 少女期 女神編
第三百四十四話 独りよがり
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妖精王や精霊王達を帰して、私達は先程の分かれ道のところに戻り、進んでいなかった方の道へと足を踏み出す。妖精王や精霊王達から印の魔法を受けられるように整えたことによって、今、私ができることはほとんどなくなっていた。セイ達を前にしても、私では役に立ちそうにない。そして、私一人では、神界へ行くこともできない。
(不甲斐ない……)
セイ達も、ミーシャも、大切な友達だというのに、今の私には何もできない。せっかく、この素晴らしい生産能力をもらったというのに、それも役に立たない。
「はぁ……」
「……きっと、大丈夫だ」
「っ、ローラン?」
無意識にため息でも出てしまっただろうかと慌てる私に、ローランは苦笑を浮かべる。
「ユミリア様は、いつもいつも、俺達を助けてくれる。けど、ユミリア様が何でもできる人じゃねぇってことは、俺達が一番良く知ってる」
「でも、私は、人よりできる範囲が大きいのだから、私がやらなきゃ」
チートとも言える能力を持っているのに、それを使わないというのはあり得ない。そう思って告げれば、ローランは首を横に振る。
「そりゃあ違う。確かに、ユミリア様にできることは多い。けど、だからといって、全部抱え込むのは違う。ユミリア様は、ちゃんと、俺達を頼ってくれて良いんだ。ユミリア様ができねぇことがあっても、俺達はユミリア様に失望なんてしねぇ。俺達は、ユミリア様の役に立ちたいし、ユミリア様を支えたい」
「ローラン……?」
「なぁ、ユミリア様。俺達は、ユミリア様の何だ?」
随分と真面目な様子のローランに困惑しながら、私は『友達、いや、親友』と答える。
「じゃあ、第二王子は?」
「婚約者、大切な人」
「ガイアスやメリー達は?」
「家族、守りたい人達」
わけが分からないままに、質問へ答えていく。
「なら……ユミリア様に良いこと教えてやろう。これは、竜人の国を追放され、勇者として暮して、ユミリア様に助けられた俺の、かなり重要な人生の教訓だ」
「う、うん」
こんな時に、何を言うつもりだろうかと思いながらも、私は、しっかりとローランの言葉へ耳を傾ける。
「力があるからと一人で突っ走っても、ロクなことにはならねぇ。一人で抱え込む姿は、そいつを大切だと思ってる奴らにしてみれば、ツライことでしかねぇ。んでもって……案外、色んな奴が、手を差し伸べようとしてくれてるんだから、ちゃんと見てやらないといじけるぞ?」
最初のものは、きっと、勇者時代の経験。次は、竜神様とローラン自身のことだろうか? そして、最後はもしかしたら……。
「俺は、ユミリア様に助けられて、忠誠は誓ったものの、俺だけじゃあ、そんなに役に立てたとは思えねぇ。俺は、セイにも、鋼にも、メリーにも、さんざん助けてもらった。ユミリア様の家族にも、それに、あの王子達にだって助けられた。その中には、もちろん俺を想ってってのもあっただろうが、それ以上に感じるのは、ユミリア様への愛情だ。だから、なぁ……一人で抱え込まないでくれ。俺達は、どんなことをしてでも、ユミリア様を助けたいと思ってんだ」
「あ……」
何とかしなきゃいけないと、ずっと思っていた。メリーの命を救うことから始まり、イルト様の未来を変えて、瘴気に対抗して、魔王を助けて……そうして、女神に大切な親友を連れ去られて、今度も、何とかしなきゃいけないと思っていた。しかし、それはきっと、随分と、周りの人を傷つけてきたのだと、ローランの言葉ではっきり理解する。
力を貸したいと思っても、何もできないもどかしさ。求められても、結局は全てを背負ってしまう大切な人。
(そっか……私は、随分と、独りよがりになってたんだ)
力があるからと走り続ければ、私はきっと、孤独になる。そうするしか道がないのであればまだしも、私には、それ以外の選択肢だってあるのだ。
「そっか……ありがとう。ローラン。私、目が覚めたよ」
このまま突き進めば、待つのは破滅。ローランには、そんな予感があったのかもしれない。だから……。
「私だけじゃ、どうにもならない。だから、色々な人に、力を貸してもらうことになると思う」
「もちろん、俺はいつでも、ユミリア様に力をお貸しするぜっ」
思えば、イルト様が力を得ようとしていたのは、走り続ける私に追いつくためだったのだろう。私を一人にしないために、私を守るために。
「うん、頼りにしてる」
すぐには難しいかもしれない。しかし、今からでも、心がけることはできる。
そんな話をしていると、私達は、ようやく、この場所の出口らしき光を見つけたのだった。
(不甲斐ない……)
セイ達も、ミーシャも、大切な友達だというのに、今の私には何もできない。せっかく、この素晴らしい生産能力をもらったというのに、それも役に立たない。
「はぁ……」
「……きっと、大丈夫だ」
「っ、ローラン?」
無意識にため息でも出てしまっただろうかと慌てる私に、ローランは苦笑を浮かべる。
「ユミリア様は、いつもいつも、俺達を助けてくれる。けど、ユミリア様が何でもできる人じゃねぇってことは、俺達が一番良く知ってる」
「でも、私は、人よりできる範囲が大きいのだから、私がやらなきゃ」
チートとも言える能力を持っているのに、それを使わないというのはあり得ない。そう思って告げれば、ローランは首を横に振る。
「そりゃあ違う。確かに、ユミリア様にできることは多い。けど、だからといって、全部抱え込むのは違う。ユミリア様は、ちゃんと、俺達を頼ってくれて良いんだ。ユミリア様ができねぇことがあっても、俺達はユミリア様に失望なんてしねぇ。俺達は、ユミリア様の役に立ちたいし、ユミリア様を支えたい」
「ローラン……?」
「なぁ、ユミリア様。俺達は、ユミリア様の何だ?」
随分と真面目な様子のローランに困惑しながら、私は『友達、いや、親友』と答える。
「じゃあ、第二王子は?」
「婚約者、大切な人」
「ガイアスやメリー達は?」
「家族、守りたい人達」
わけが分からないままに、質問へ答えていく。
「なら……ユミリア様に良いこと教えてやろう。これは、竜人の国を追放され、勇者として暮して、ユミリア様に助けられた俺の、かなり重要な人生の教訓だ」
「う、うん」
こんな時に、何を言うつもりだろうかと思いながらも、私は、しっかりとローランの言葉へ耳を傾ける。
「力があるからと一人で突っ走っても、ロクなことにはならねぇ。一人で抱え込む姿は、そいつを大切だと思ってる奴らにしてみれば、ツライことでしかねぇ。んでもって……案外、色んな奴が、手を差し伸べようとしてくれてるんだから、ちゃんと見てやらないといじけるぞ?」
最初のものは、きっと、勇者時代の経験。次は、竜神様とローラン自身のことだろうか? そして、最後はもしかしたら……。
「俺は、ユミリア様に助けられて、忠誠は誓ったものの、俺だけじゃあ、そんなに役に立てたとは思えねぇ。俺は、セイにも、鋼にも、メリーにも、さんざん助けてもらった。ユミリア様の家族にも、それに、あの王子達にだって助けられた。その中には、もちろん俺を想ってってのもあっただろうが、それ以上に感じるのは、ユミリア様への愛情だ。だから、なぁ……一人で抱え込まないでくれ。俺達は、どんなことをしてでも、ユミリア様を助けたいと思ってんだ」
「あ……」
何とかしなきゃいけないと、ずっと思っていた。メリーの命を救うことから始まり、イルト様の未来を変えて、瘴気に対抗して、魔王を助けて……そうして、女神に大切な親友を連れ去られて、今度も、何とかしなきゃいけないと思っていた。しかし、それはきっと、随分と、周りの人を傷つけてきたのだと、ローランの言葉ではっきり理解する。
力を貸したいと思っても、何もできないもどかしさ。求められても、結局は全てを背負ってしまう大切な人。
(そっか……私は、随分と、独りよがりになってたんだ)
力があるからと走り続ければ、私はきっと、孤独になる。そうするしか道がないのであればまだしも、私には、それ以外の選択肢だってあるのだ。
「そっか……ありがとう。ローラン。私、目が覚めたよ」
このまま突き進めば、待つのは破滅。ローランには、そんな予感があったのかもしれない。だから……。
「私だけじゃ、どうにもならない。だから、色々な人に、力を貸してもらうことになると思う」
「もちろん、俺はいつでも、ユミリア様に力をお貸しするぜっ」
思えば、イルト様が力を得ようとしていたのは、走り続ける私に追いつくためだったのだろう。私を一人にしないために、私を守るために。
「うん、頼りにしてる」
すぐには難しいかもしれない。しかし、今からでも、心がけることはできる。
そんな話をしていると、私達は、ようやく、この場所の出口らしき光を見つけたのだった。
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