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第三章 少女期 女神編
第三百六十八話 神界へ行く前に2
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ミルラスに対してのお願いはすませた。と、なれば、あとは、ローランとメリーを止めて、話をするのみ……なのだが……。
「お前は心配じゃねぇのかよっ!!」
「心配に決まっているでしょうっ! この筋肉馬鹿!!」
「んだとぉっ! 腹黒メイド!!」
「あ゛あ゛っ?」
ローランもだが、何よりも、今は、メリーの顔が怖い。ドッカンドッコンと爆音が響く中、妙にドスの効いた声を聞いてしまって、声をかけようとした体勢のまま、止まってしまう。
(今の声、メリー、だよね……?)
いつもニコニコ優しいメリー。敵対者には容赦ないし、私に怒る時は目が笑っていないこともあるが、声を荒げたことは一度もない。そのはず、なのに……。
「テメェが行っても足手まといだって言われてんだろうがっ! えぇっ?」
「んなこと、やってみなきゃ分かんねぇだろうがっ!」
とても、私の知るメリーとは思えない口の悪さで、ローランと不毛な喧嘩を続けるメリー。
「とうとう、本性をユミリアの前で出しちゃったね」
「メリー、怖い」
そして、背後で呑気に話すセイと鋼。
「いつ見ても圧巻だな」
「……イルト様まで……もしかして、知らなかったのは私だけ?」
優しいメリーしか知らなかった私は、さすがに、今の光景にショックを受ける。
「……メリー、ローラン。そろそろ、ユミリアの話を聞いてもらおうか?」
私の問いに答えず、メリーとローランへ声をかけたイルト様は、そのまま、闇を操って、二人を拘束する。
「なっ」
「うぉっ」
メリーもローランも、その実力は折り紙付きだ。少なくとも、人間の括りの中では最強に属する。しかし、イルト様は元々は神。今は人間になっていても、神の力が使えないとしても、力の扱い方に関しては人間が敵うものではない。
一瞬で拘束されたメリーとローランは、ようやく、私達の方へと意識を向ける。
「お、嬢……様……」
そして、やはり、先程の様子を私に見られたくなかったらしい。メリーは、完全に青ざめてしまっている。
「っ、ユミリア様っ、メリーは、その……口論が激化して、ちょっと過激になっただけでっ、普段はあんなこと、絶対にねぇからっ!」
メリーの様子に慌てたのは、メリーと戦って、今は一緒に拘束されているローランだった。
今は、意見が合わずに喧嘩していた二人だが、本来は、とても仲が良いのだ。だから、メリーが私に、あの姿を隠したがっていたことも知っていたのかもしれない。
「えっと……うん、驚きはしたけど、メリーはメリーだから、大丈夫だよ?」
そうフォローするも、メリーは落ち込んでいるのか、どこか、哀愁が漂う笑みを浮かべる。
「ありがとう、ございます。ユミリアお嬢様……」
「……メリー、帰ったら、ゆっくり話そう。それと、ローラン。どうしても、ローランは連れてはいけないの。神界を知らなければ、あそこでは、簡単に操られてしまう。ローランと敵対したくはないし、今回だけは、聞き分けてほしいの」
「お嬢様……」
「ユミリア様……」
「大丈夫っ、ちゃんと、ミーシャを助けて帰ってくるから、ねっ!」
そう告げれば、メリーもローランも、どうにかうなずいてくれる。そうして、私達は、心置きなく、神界へと向かうこととなった。
「お前は心配じゃねぇのかよっ!!」
「心配に決まっているでしょうっ! この筋肉馬鹿!!」
「んだとぉっ! 腹黒メイド!!」
「あ゛あ゛っ?」
ローランもだが、何よりも、今は、メリーの顔が怖い。ドッカンドッコンと爆音が響く中、妙にドスの効いた声を聞いてしまって、声をかけようとした体勢のまま、止まってしまう。
(今の声、メリー、だよね……?)
いつもニコニコ優しいメリー。敵対者には容赦ないし、私に怒る時は目が笑っていないこともあるが、声を荒げたことは一度もない。そのはず、なのに……。
「テメェが行っても足手まといだって言われてんだろうがっ! えぇっ?」
「んなこと、やってみなきゃ分かんねぇだろうがっ!」
とても、私の知るメリーとは思えない口の悪さで、ローランと不毛な喧嘩を続けるメリー。
「とうとう、本性をユミリアの前で出しちゃったね」
「メリー、怖い」
そして、背後で呑気に話すセイと鋼。
「いつ見ても圧巻だな」
「……イルト様まで……もしかして、知らなかったのは私だけ?」
優しいメリーしか知らなかった私は、さすがに、今の光景にショックを受ける。
「……メリー、ローラン。そろそろ、ユミリアの話を聞いてもらおうか?」
私の問いに答えず、メリーとローランへ声をかけたイルト様は、そのまま、闇を操って、二人を拘束する。
「なっ」
「うぉっ」
メリーもローランも、その実力は折り紙付きだ。少なくとも、人間の括りの中では最強に属する。しかし、イルト様は元々は神。今は人間になっていても、神の力が使えないとしても、力の扱い方に関しては人間が敵うものではない。
一瞬で拘束されたメリーとローランは、ようやく、私達の方へと意識を向ける。
「お、嬢……様……」
そして、やはり、先程の様子を私に見られたくなかったらしい。メリーは、完全に青ざめてしまっている。
「っ、ユミリア様っ、メリーは、その……口論が激化して、ちょっと過激になっただけでっ、普段はあんなこと、絶対にねぇからっ!」
メリーの様子に慌てたのは、メリーと戦って、今は一緒に拘束されているローランだった。
今は、意見が合わずに喧嘩していた二人だが、本来は、とても仲が良いのだ。だから、メリーが私に、あの姿を隠したがっていたことも知っていたのかもしれない。
「えっと……うん、驚きはしたけど、メリーはメリーだから、大丈夫だよ?」
そうフォローするも、メリーは落ち込んでいるのか、どこか、哀愁が漂う笑みを浮かべる。
「ありがとう、ございます。ユミリアお嬢様……」
「……メリー、帰ったら、ゆっくり話そう。それと、ローラン。どうしても、ローランは連れてはいけないの。神界を知らなければ、あそこでは、簡単に操られてしまう。ローランと敵対したくはないし、今回だけは、聞き分けてほしいの」
「お嬢様……」
「ユミリア様……」
「大丈夫っ、ちゃんと、ミーシャを助けて帰ってくるから、ねっ!」
そう告げれば、メリーもローランも、どうにかうなずいてくれる。そうして、私達は、心置きなく、神界へと向かうこととなった。
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