悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第三章 少女期 女神編

第四百話 助太刀っ(鋼視点)

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 ユミリアの王子様は、きっと、ユミリア自身が助け出すに決まっている。王子様は、お姫様のキスで目覚めるのがセオリーというやつなのだとうなずきながら、ぼくは、駆ける。
 邪神の殲滅にあたるのは、ぼく以外に、リリアナ様と、ネシス、レインボードラゴン達だ。できることなら、他の神々を助け出して味方に加え、早く全てを終わらせてしまいたいところだが、ここは、慎重にいかなければならない。


(ユミリア、何かがあるって言ってた!)


 音は聞こえても、敵も味方も、その姿が見えない。その状況を見て、敵を疑うことくらい、ぼくだってできる。
 極力足音を消して、リリアナ様に先導されながら神鏡邸から脱出した僕達は、示し合わせることもなく、二手に分かれる。ぼくのパートナーは、ネシスだ。


「…………戦闘、魔法で、隠されて、る…………」

「破れる?」

「ん」


 進む先には、大きな戦闘音が聞こえるものの、やはり、誰も見えない。ネシスにこの見えない状態をどうにかできるか問えば、躊躇いなくうなずいたため、それを信じて、さらにスピードを上げる。


「三、二、一、今!」


 ガッシャーンという音とともに、今まで見えなかった戦闘風景が目の前に広がる。瓦礫の山にしか見えていなかったそこは、今、まさに、邪神からトドメを刺されそうになっている女神と男神という光景へと変わっている。女神は空からいくつも降り注ぐ神力の剣で、男神は邪神が振り下ろそうとする斧で、死にそうなっているのを一目で判断して、ぼくとネシスは、それぞれの救出に向かった。


「うおぉぉぉぉおんっ!!!」

「んっ」


 ぼくは、降り注ぐ剣の雨を咆哮とともに炎で一掃し、ネシスは、斧を振り下ろそうとする邪神の動きを、本人の影を操って攻撃することで止める。


「何者っ!」


 剣を発生させていた邪神は、少し離れたところに居たため、唯一、ぼく達へ質問する余裕があった。だから…………ぼくとネシスは、瞬時に相手を入れ替えて、影に警戒する邪神へぼく自身が襲いかかり、ぼくを警戒する邪神にはネシスが奇襲を仕掛ける。
 こんな邪神に、いちいち時間をかけるつもりはない。ぼくは、早く、平穏を取り戻したいという想いだけで、斧を持つ邪神を氷漬けにして芯まで固まった頭をガブリと噛み砕く。


「ぺっ、ぺっ…………倒した!」


 邪神を食べる趣味はないため、砕けた氷は、さっさと吐き出して、完全に消滅した邪神を見て、勝利宣言を行う。ただ、その直後、これは敵の親玉ではないから、『敵将、討ち取ったりー』とかは言えないのだと気づき、うなだれる。


(いや、でもまだ、親玉、居るはずだもんっ!)


 きっと、そう宣言するのは楽しそうだと思って、ぼくは、どこかに親玉が居ないかとキョロキョロ辺りを見渡す。


「……? コウ、どうか、した……?」

「んー? 敵将、居ない??」

「? 多分……雑魚、だけ…………」

「そっかぁ」


 ただ、やはり、楽しいことはそう簡単に遂げられるものではないらしい。ネシスの発言に少し残念だと考えたものの、今は、助けた神が戦えるかどうかの確認が先だ。そう思って彼らの方へ視線を向けて…………思わず、回れ右をしたくなった。
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