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第四章 隠し事
第四十五話 本来のルート(二)
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ライナードのことで不安になっていると、あんまりにも俺の反応がないことに気づいたリリスさんが声をかけてくる。
「海斗?」
「あ、あぁ、悪い」
「何か不安なことでも?」
そう尋ねられて、俺は迷いながらも、ライナードに変な設定がなかったかを問いかけてみる。
「変な設定……オトメン設定はありますねっ!」
答えたのはローレルさんだった。しかも、場合によっては本人は知られたくないであろうことを堂々と告げる。しかし……。
「それは知ってる」
「何ですと!?」
一応知っていることを告げれば、ローレルさんは驚愕に目を見開く。ちなみに、リリスさんは『オトメン』という言葉自体を知らないのか、疑問符のみを浮かべていた。
「そんなっ、じゃあ、カイトさんはライナードさんと深い仲に!?」
「いや、どうしてそうなる!?」
「だってだってっ! ライナードさんがヒロインにそれを打ち明けるのは、結構後半になって、絆が深まってからなんですよ!」
「……わりと最初の方で判明したんだが?」
あのぬいぐるみ部屋を目撃した時の衝撃は、今でも忘れられない。
(でも、オトメンくらいしか変な設定がないってことは、ライナードの性格に関しては心配ないのか?)
とりあえず、最初に出てきた変な設定の答えがオトメンだったことに安心している自分が居た。そして、そんなことを考えていると、ローレルさんは頬を赤く染める。
「ふわわわっ、と、いうことは、相性最高とか!? うわー、うわーっ」
何やら興奮しているローレルさんには悪いが、あれは不幸な事故でしかなかったと思うのだ。もしくは、使用人達の策略。
「それは良いとして、二作目の話がどんなものだったか、教えてくださいまし」
「ハッ、そうでしたっ」
ようやく、話が本来の流れに戻る。その気配に、俺はしっかりとその話に耳を傾けることにする。
「そうですね……とりあえず、魔王討伐に出た聖女は、前作の攻略対象者やヒロインと絆を深めながら旅をします。そして、途中の選択肢によって、前作ヒロインが今作でもヒロイン役になったり、聖女がヒロインになったりするシステムがあるんですけど……まぁ、今回は聖女であるカイトさんがヒロインですよね」
俺がヒロインというのは納得いかないものの、とりあえずはそうらしいということで話を進めてもらう。
「最初のルートだと、魔王は確実に討伐されることになります。そして、そこから国へ帰る途中で、賊に襲われて、ヒロインとなる人物が誘拐されてしまうんです」
「魔王を倒すだけの力があって、賊にやられるのか?」
「そういう仕様ですので」
疑問に思ったことを口にするも、そういうものだと断じられてしまう。
「あぁ、でも、二回目以降のルートだと、魔王は討伐されたフリをして、国に帰る途中のヒロインをやっぱり賊が拐うんですけどね」
(なるほど、良く分からん)
乙女ゲームというのは、なぜにこんなにもややこしいのだろうかと、俺は頭を抱えたくなる。
「で、ですね。賊に拐われた後に戻るんですが、賊に拐われたヒロインが連れてこられるのは、ヴァイラン魔国なんです。実は、その賊は本物ではなく、ヴァイラン魔国の三魔将、もしくは、魔王の手の者で、彼らはヒロインを片翼として深く愛するんです」
そう言われるものの、俺はそもそも、この国に置き去りにされて、そこをライナードに拾ってもらった形だ。それを考えると、俺がヒロインというのは怪しい気がしないでもなかった。
「ただ、レイリン王国勢がヒロインを拐われたままにしておくはずもなく、物語はレイリン王国との対決にまで発展していくことになって、ヒロインは優しい魔族と、レイリン王国でお世話になった人達との間で葛藤しながら、恋をしていくという内容になってます」
(レイリン王国でお世話になった人……居ないなぁ。どっちかを選べと言われたら、迷わずヴァイラン魔国を選ぶぞ?)
そこまでの話を聞いたところで、俺は物語が大きく破綻していることを認識することとなる。
「海斗、この物語と、どのくらいの齟齬がありますか?」
「あまりにも違い過ぎて、同じところを見つけるのが難しい」
「そう、ですの」
とはいえ、俺がライナードの片翼であるらしいことは確実だ。そうなると、俺はヒロイン役で間違いはないのだろう。
「あっ、それと、『夢愛』のヒロインには、それぞれ特殊な能力があるんですけど……確か、聖女の能力は、『夢の花』だったはずです」
「『夢の花』?」
そんな能力は知らないと思って聞いてみれば、それは随分と複雑な力らしかった。
「えっとですね。能力の発動条件は、対象とする相手を意識した状態で一緒に眠ることで、眠ったら、こう、大きな花がいくつか夢の中に現れるんです」
そう言って、ローレルさんはバスケットボールくらいのサイズを手で表してみせる。
「それで、その花は、相手の可能性を示した花になっていて、聖女が祈れば、少しずつ開花していくんです。例えば、戦闘能力が格段に上がったりだとか、料理の腕が上がったりだとか、結構色々あって、それによって、魔族はどんどん聖女のためにその力を使おうとする、って内容だったと思います」
そう言って、『ちなみに、ライナードさんは女子力向上です』と言われて、微妙な気持ちになったのは言うまでもない。
「海斗?」
「あ、あぁ、悪い」
「何か不安なことでも?」
そう尋ねられて、俺は迷いながらも、ライナードに変な設定がなかったかを問いかけてみる。
「変な設定……オトメン設定はありますねっ!」
答えたのはローレルさんだった。しかも、場合によっては本人は知られたくないであろうことを堂々と告げる。しかし……。
「それは知ってる」
「何ですと!?」
一応知っていることを告げれば、ローレルさんは驚愕に目を見開く。ちなみに、リリスさんは『オトメン』という言葉自体を知らないのか、疑問符のみを浮かべていた。
「そんなっ、じゃあ、カイトさんはライナードさんと深い仲に!?」
「いや、どうしてそうなる!?」
「だってだってっ! ライナードさんがヒロインにそれを打ち明けるのは、結構後半になって、絆が深まってからなんですよ!」
「……わりと最初の方で判明したんだが?」
あのぬいぐるみ部屋を目撃した時の衝撃は、今でも忘れられない。
(でも、オトメンくらいしか変な設定がないってことは、ライナードの性格に関しては心配ないのか?)
とりあえず、最初に出てきた変な設定の答えがオトメンだったことに安心している自分が居た。そして、そんなことを考えていると、ローレルさんは頬を赤く染める。
「ふわわわっ、と、いうことは、相性最高とか!? うわー、うわーっ」
何やら興奮しているローレルさんには悪いが、あれは不幸な事故でしかなかったと思うのだ。もしくは、使用人達の策略。
「それは良いとして、二作目の話がどんなものだったか、教えてくださいまし」
「ハッ、そうでしたっ」
ようやく、話が本来の流れに戻る。その気配に、俺はしっかりとその話に耳を傾けることにする。
「そうですね……とりあえず、魔王討伐に出た聖女は、前作の攻略対象者やヒロインと絆を深めながら旅をします。そして、途中の選択肢によって、前作ヒロインが今作でもヒロイン役になったり、聖女がヒロインになったりするシステムがあるんですけど……まぁ、今回は聖女であるカイトさんがヒロインですよね」
俺がヒロインというのは納得いかないものの、とりあえずはそうらしいということで話を進めてもらう。
「最初のルートだと、魔王は確実に討伐されることになります。そして、そこから国へ帰る途中で、賊に襲われて、ヒロインとなる人物が誘拐されてしまうんです」
「魔王を倒すだけの力があって、賊にやられるのか?」
「そういう仕様ですので」
疑問に思ったことを口にするも、そういうものだと断じられてしまう。
「あぁ、でも、二回目以降のルートだと、魔王は討伐されたフリをして、国に帰る途中のヒロインをやっぱり賊が拐うんですけどね」
(なるほど、良く分からん)
乙女ゲームというのは、なぜにこんなにもややこしいのだろうかと、俺は頭を抱えたくなる。
「で、ですね。賊に拐われた後に戻るんですが、賊に拐われたヒロインが連れてこられるのは、ヴァイラン魔国なんです。実は、その賊は本物ではなく、ヴァイラン魔国の三魔将、もしくは、魔王の手の者で、彼らはヒロインを片翼として深く愛するんです」
そう言われるものの、俺はそもそも、この国に置き去りにされて、そこをライナードに拾ってもらった形だ。それを考えると、俺がヒロインというのは怪しい気がしないでもなかった。
「ただ、レイリン王国勢がヒロインを拐われたままにしておくはずもなく、物語はレイリン王国との対決にまで発展していくことになって、ヒロインは優しい魔族と、レイリン王国でお世話になった人達との間で葛藤しながら、恋をしていくという内容になってます」
(レイリン王国でお世話になった人……居ないなぁ。どっちかを選べと言われたら、迷わずヴァイラン魔国を選ぶぞ?)
そこまでの話を聞いたところで、俺は物語が大きく破綻していることを認識することとなる。
「海斗、この物語と、どのくらいの齟齬がありますか?」
「あまりにも違い過ぎて、同じところを見つけるのが難しい」
「そう、ですの」
とはいえ、俺がライナードの片翼であるらしいことは確実だ。そうなると、俺はヒロイン役で間違いはないのだろう。
「あっ、それと、『夢愛』のヒロインには、それぞれ特殊な能力があるんですけど……確か、聖女の能力は、『夢の花』だったはずです」
「『夢の花』?」
そんな能力は知らないと思って聞いてみれば、それは随分と複雑な力らしかった。
「えっとですね。能力の発動条件は、対象とする相手を意識した状態で一緒に眠ることで、眠ったら、こう、大きな花がいくつか夢の中に現れるんです」
そう言って、ローレルさんはバスケットボールくらいのサイズを手で表してみせる。
「それで、その花は、相手の可能性を示した花になっていて、聖女が祈れば、少しずつ開花していくんです。例えば、戦闘能力が格段に上がったりだとか、料理の腕が上がったりだとか、結構色々あって、それによって、魔族はどんどん聖女のためにその力を使おうとする、って内容だったと思います」
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