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第四章 隠し事
第五十七話 調べもの
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性転換の秘術なるものがあることが分かった俺は、翌日から、すぐに行動を開始した。
あからさまに性転換の秘術について調べていると分かると、色々と不審に思われるかもしれないと思って、俺は、ノーラとリュシリーに、魔法についての本が読みたいと伝えてある。
「カイトお嬢様。本はこちらになります」
そう言って、ノーラは十冊以上の分厚い本をドンッとテーブルの上に置く。
「まだ魔法に関する本はございますが、とりあえずは入門書の中でも簡単なものを持って参りました」
(こ、これを読まなきゃいけないのか……)
しかも、ノーラが言うには、これはまだまだ序の口らしい。
(……大丈夫。魔法の勉強なんて、異世界ならではなんだから、楽しめるはず)
そう思ったのが、約一時間前。
「う、うぅ……」
俺は、魔法を舐めていた。この世界の魔法は、どうも理論化しようとすると複雑な記号で表現することが多くなり、計算式も色々と出てくるらしい。俺の頭の中では、意味不明な記号がいくつも浮かんでは消えていく。
「カイト」
「ん、ライナード? 帰ったのか?」
本から顔を上げれば、ライナードがいつもの強面でこちらを心配そうに見ている。
「いや、忘れ物を取りに来ただけだが……何か調べものか?」
そう問われて、俺は思わずドキリとする。
(さすがに、今知られるのは気まずい)
「いや、ただ、魔法に興味を持っただけなんだけど……魔法って、結構難しいんだな」
一生懸命読み進めてはいるものの、ちっとも理解できた気がしない。元々、理数系は苦手なのだ。
「そう、か……」
どこか暗い顔をするライナードを不審に思いながら、どう声をかけようか悩んでいると、ふいに廊下から声をかけられる。
「カイトお嬢様。お茶をお持ちしました」
「あ、うん、ありがとう」
ちょうど喉が渇いていたところだったのでありがたい。そう思いながら、未だに動かないライナードに、思いついたことを告げてみる。
「時間があるなら、少しお茶でも飲んでいかないか?」
「っ、良いのか?」
「もちろん」
途端に喜ぶライナードを見て、俺はお茶を持ってきたリュシリーに、ライナードの分のお茶も頼む。
「それでさ、ライナード。ライナードはここ最近、何をしてるの?」
「っ、それは……」
本を脇に寄せながら、ライナードのためのスペースを作ると、ライナードは遠慮がちにそっと、座布団の上に座る。そして、何気なく問いかけた言葉に、ライナードはなぜか口ごもった。
「? 言えないことだったりするのか?」
「っ、い、いや、別に、カイトに隠し事をしたいわけではなくて、だな。その……」
「まぁ、言えないことなら深くは聞かないよ」
「……すまない」
(何だか、面白くない)
ライナードの反応に、言葉とは裏腹な不平不満が募るのを感じながら、俺はお茶をすする。
(はぁ、やっぱり、緑茶は落ち着く)
そうやってお茶を飲んでいると、すぐに、リュシリーがお茶を持ってくる。ついでに、何だか可愛いお茶菓子も一緒に持ってきてくれたらしい。
「こちら、雪化粧という名の練り切りです」
「おぉっ、確かに雪っぽい」
真っ白で刺々した丸い練り切りを前に、俺は喜んでそれを口にする。
「ん、おいひい」
「それはようございました」
「うぐっ」
「ん? どうしたんだ? ライナード?」
「い、いや、何でもない」
なぜか視線を逸らすライナードに、俺は、お菓子を喉に詰まらせでもしたのだろうかと考えながら、これから性転換の秘術を調べていくことに大きな不安を感じる。
(どうしよう。一人じゃ、どうにもならない気がするぞ? ……リリスさんに、助けてもらえたりしないかなぁ?)
ローレルさんは、まだちょっと怖いので、できることならリリスさんが良い。しかし、リリスさんにも予定があるだろうし、無理は言えない。それでも、少し話してみるのは良いかもしれないと、俺は口を開く。
「「あの」」
ただ、その言葉は、ちょうど同じタイミングで口を開いたライナードと重なり、俺達はしばらく固まるのだった。
あからさまに性転換の秘術について調べていると分かると、色々と不審に思われるかもしれないと思って、俺は、ノーラとリュシリーに、魔法についての本が読みたいと伝えてある。
「カイトお嬢様。本はこちらになります」
そう言って、ノーラは十冊以上の分厚い本をドンッとテーブルの上に置く。
「まだ魔法に関する本はございますが、とりあえずは入門書の中でも簡単なものを持って参りました」
(こ、これを読まなきゃいけないのか……)
しかも、ノーラが言うには、これはまだまだ序の口らしい。
(……大丈夫。魔法の勉強なんて、異世界ならではなんだから、楽しめるはず)
そう思ったのが、約一時間前。
「う、うぅ……」
俺は、魔法を舐めていた。この世界の魔法は、どうも理論化しようとすると複雑な記号で表現することが多くなり、計算式も色々と出てくるらしい。俺の頭の中では、意味不明な記号がいくつも浮かんでは消えていく。
「カイト」
「ん、ライナード? 帰ったのか?」
本から顔を上げれば、ライナードがいつもの強面でこちらを心配そうに見ている。
「いや、忘れ物を取りに来ただけだが……何か調べものか?」
そう問われて、俺は思わずドキリとする。
(さすがに、今知られるのは気まずい)
「いや、ただ、魔法に興味を持っただけなんだけど……魔法って、結構難しいんだな」
一生懸命読み進めてはいるものの、ちっとも理解できた気がしない。元々、理数系は苦手なのだ。
「そう、か……」
どこか暗い顔をするライナードを不審に思いながら、どう声をかけようか悩んでいると、ふいに廊下から声をかけられる。
「カイトお嬢様。お茶をお持ちしました」
「あ、うん、ありがとう」
ちょうど喉が渇いていたところだったのでありがたい。そう思いながら、未だに動かないライナードに、思いついたことを告げてみる。
「時間があるなら、少しお茶でも飲んでいかないか?」
「っ、良いのか?」
「もちろん」
途端に喜ぶライナードを見て、俺はお茶を持ってきたリュシリーに、ライナードの分のお茶も頼む。
「それでさ、ライナード。ライナードはここ最近、何をしてるの?」
「っ、それは……」
本を脇に寄せながら、ライナードのためのスペースを作ると、ライナードは遠慮がちにそっと、座布団の上に座る。そして、何気なく問いかけた言葉に、ライナードはなぜか口ごもった。
「? 言えないことだったりするのか?」
「っ、い、いや、別に、カイトに隠し事をしたいわけではなくて、だな。その……」
「まぁ、言えないことなら深くは聞かないよ」
「……すまない」
(何だか、面白くない)
ライナードの反応に、言葉とは裏腹な不平不満が募るのを感じながら、俺はお茶をすする。
(はぁ、やっぱり、緑茶は落ち着く)
そうやってお茶を飲んでいると、すぐに、リュシリーがお茶を持ってくる。ついでに、何だか可愛いお茶菓子も一緒に持ってきてくれたらしい。
「こちら、雪化粧という名の練り切りです」
「おぉっ、確かに雪っぽい」
真っ白で刺々した丸い練り切りを前に、俺は喜んでそれを口にする。
「ん、おいひい」
「それはようございました」
「うぐっ」
「ん? どうしたんだ? ライナード?」
「い、いや、何でもない」
なぜか視線を逸らすライナードに、俺は、お菓子を喉に詰まらせでもしたのだろうかと考えながら、これから性転換の秘術を調べていくことに大きな不安を感じる。
(どうしよう。一人じゃ、どうにもならない気がするぞ? ……リリスさんに、助けてもらえたりしないかなぁ?)
ローレルさんは、まだちょっと怖いので、できることならリリスさんが良い。しかし、リリスさんにも予定があるだろうし、無理は言えない。それでも、少し話してみるのは良いかもしれないと、俺は口を開く。
「「あの」」
ただ、その言葉は、ちょうど同じタイミングで口を開いたライナードと重なり、俺達はしばらく固まるのだった。
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