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第六章 穏やかな日々
第九十四話 デートプラン(ライナード視点)
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寒さは続くものの、晴天が多いこの頃、俺は……ドム爺達に迫られていた。
「ライナード坊っちゃん、そろそろ、カイトお嬢様との進展を考えて行動するべきですぞ」
と、ドム爺。
「そうです。このままいつまでもいつまでも待っているなんて、耐えがたいです」
無表情ながらも拳を握るノーラ。
「そもそも、カイトお嬢様はこちらに来られてからほとんど外出をなさっておりません。デートに誘うくらいの根性をみせないでどうしますかっ」
必死に力説してくるリュシリー。
「いえ、ここはもっとスキンシップを増やして、キスの十や二十、毎日するようにすべきですぞ」
止めはまたしても発言したドム爺。
そう、議題は、カイトとの進展だ。もちろん、俺だってそれは考えていたが……カイトは元々男だ。ドム爺達はそれを知らないから多少強引な手でも容赦なく提案してくるものの、それは悪手だとしか思えない。
(いや、だが、デートは良いかもしれないな……)
思えば、カイトがこの屋敷から出たのは、屋台村に向かったのと、ニナを見つけてきた時のみだ。外が寒いからとあまり気にしていなかったが、もしかしたらカイトは外に出たいかもしれない。
「デート……」
「っ、そうですっ、ライナード坊っちゃん! ぜひとも、カイトお嬢様とのデートを実現させましょうっ!」
「衣装選びはお任せください」
「ニナ様は、私どもがお世話させていただきますので、遠慮なくデートを満喫して……そのまま獣になることも場合によってはありですっ」
リュシリーのとんでもない発言は、ひとまず流しておく。カイトを相手に、そんなこと……そんな、こと……。
(いや、だが、いずれは……)
『そんなこと』の具体的なことを考えた瞬間、顔が赤くなってしまう。
(い、いかん。まずは、カイトの気持ちが優先だ。俺のことは、二の次で良いんだっ)
ブンブンブンと頭を振れば、ドム爺達が微笑ましいものを見るような……いや、残念なものを見るような目で見つめてきていた。
「……なんだ?」
「いえ、私どもが、育て方を間違えたばっかりに、ライナード坊っちゃんはこんなに堅物になってしまわれて……」
「執事長、矯正は可能だと思われますか?」
「可能かどうかではありません。実現させねばならないのですっ」
何気に、このドム爺とリュシリーのコンビは酷いことを主に向かって言っているような気がしないでもない。そして、ノーラはというと……。
「カイトお嬢様のドレス……何が良いでしょうか? やはり、ライナード様のお色を取り入れて、緑と赤……いえ、小物をそうするのも良いですね……」
すでに、カイトとのデートを前提に、その日の衣装を考えているようだった。
「……俺だって、何も考えていないわけでは……」
「「「それは当然ですっ」」」
三人から一斉に反論を受けて、俺は口をつぐむことを選択する。沈黙は金だ。
「では、デートプランを練らねばなりませんな」
「ライナード様、間違っても、カイトお嬢様を武器屋だとか、鍛練場などに連れていってはなりませんよ?」
「後、酒場もご法度です」
リュシリーとノーラは、俺を何だと思っているのだろうか? そんな場所に、カイトを連れていくわけがない。狼の群れに子羊を放り込むような真似、するわけがない。
(カイトが喜びそうなところ……そういえば、そろそろ天藍劇団が来る頃か……それをメインに、チケットを手に入れて、食事処と甘味処もリサーチして……カイトが好きなもの、他には何があるだろうか?)
そんな風に考えていると、ふいに、鍛練姿を見せるのはどうだろうかと浮かんでくる。何せ、カイトは格好いいものが好きだと言っていたらしいのだ。もしかしたら、少しは俺を見てくれるかもしれない。
(鍛練場……いや、部下達を安全な場所に呼びつけておいて、全てをなぎ倒す姿を披露すれば良いか?)
それとも、近々開催される、冬の闘技祭で活躍する姿を見せるというのも良さそうだと考えながら、闘志を滾らせる。
(劇団の日にちと同じでは身動きが取れなくなりそうだが、別の日のデートプランに組み込もう)
そうして、着々とデートプランが組まれていくのだった。
「ライナード坊っちゃん、そろそろ、カイトお嬢様との進展を考えて行動するべきですぞ」
と、ドム爺。
「そうです。このままいつまでもいつまでも待っているなんて、耐えがたいです」
無表情ながらも拳を握るノーラ。
「そもそも、カイトお嬢様はこちらに来られてからほとんど外出をなさっておりません。デートに誘うくらいの根性をみせないでどうしますかっ」
必死に力説してくるリュシリー。
「いえ、ここはもっとスキンシップを増やして、キスの十や二十、毎日するようにすべきですぞ」
止めはまたしても発言したドム爺。
そう、議題は、カイトとの進展だ。もちろん、俺だってそれは考えていたが……カイトは元々男だ。ドム爺達はそれを知らないから多少強引な手でも容赦なく提案してくるものの、それは悪手だとしか思えない。
(いや、だが、デートは良いかもしれないな……)
思えば、カイトがこの屋敷から出たのは、屋台村に向かったのと、ニナを見つけてきた時のみだ。外が寒いからとあまり気にしていなかったが、もしかしたらカイトは外に出たいかもしれない。
「デート……」
「っ、そうですっ、ライナード坊っちゃん! ぜひとも、カイトお嬢様とのデートを実現させましょうっ!」
「衣装選びはお任せください」
「ニナ様は、私どもがお世話させていただきますので、遠慮なくデートを満喫して……そのまま獣になることも場合によってはありですっ」
リュシリーのとんでもない発言は、ひとまず流しておく。カイトを相手に、そんなこと……そんな、こと……。
(いや、だが、いずれは……)
『そんなこと』の具体的なことを考えた瞬間、顔が赤くなってしまう。
(い、いかん。まずは、カイトの気持ちが優先だ。俺のことは、二の次で良いんだっ)
ブンブンブンと頭を振れば、ドム爺達が微笑ましいものを見るような……いや、残念なものを見るような目で見つめてきていた。
「……なんだ?」
「いえ、私どもが、育て方を間違えたばっかりに、ライナード坊っちゃんはこんなに堅物になってしまわれて……」
「執事長、矯正は可能だと思われますか?」
「可能かどうかではありません。実現させねばならないのですっ」
何気に、このドム爺とリュシリーのコンビは酷いことを主に向かって言っているような気がしないでもない。そして、ノーラはというと……。
「カイトお嬢様のドレス……何が良いでしょうか? やはり、ライナード様のお色を取り入れて、緑と赤……いえ、小物をそうするのも良いですね……」
すでに、カイトとのデートを前提に、その日の衣装を考えているようだった。
「……俺だって、何も考えていないわけでは……」
「「「それは当然ですっ」」」
三人から一斉に反論を受けて、俺は口をつぐむことを選択する。沈黙は金だ。
「では、デートプランを練らねばなりませんな」
「ライナード様、間違っても、カイトお嬢様を武器屋だとか、鍛練場などに連れていってはなりませんよ?」
「後、酒場もご法度です」
リュシリーとノーラは、俺を何だと思っているのだろうか? そんな場所に、カイトを連れていくわけがない。狼の群れに子羊を放り込むような真似、するわけがない。
(カイトが喜びそうなところ……そういえば、そろそろ天藍劇団が来る頃か……それをメインに、チケットを手に入れて、食事処と甘味処もリサーチして……カイトが好きなもの、他には何があるだろうか?)
そんな風に考えていると、ふいに、鍛練姿を見せるのはどうだろうかと浮かんでくる。何せ、カイトは格好いいものが好きだと言っていたらしいのだ。もしかしたら、少しは俺を見てくれるかもしれない。
(鍛練場……いや、部下達を安全な場所に呼びつけておいて、全てをなぎ倒す姿を披露すれば良いか?)
それとも、近々開催される、冬の闘技祭で活躍する姿を見せるというのも良さそうだと考えながら、闘志を滾らせる。
(劇団の日にちと同じでは身動きが取れなくなりそうだが、別の日のデートプランに組み込もう)
そうして、着々とデートプランが組まれていくのだった。
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