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第二章 ライバル
第十五話 愛しいリリスさん(ルティアス視点)
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リリスさんに言われて、二階で待機していると、何やら話し声が聞こえてきた。僕は魔族の中でもそれなりに耳が良い方なので、そっと耳を澄ませて、話の内容を確認してみる。すると……。
「――――『絶対者』、こんな攻撃しちゃダメでしょお? それにぃ、女の子が舌打ちしちゃダメだよぉ」
妙に馴れ馴れしい男の声が聞こえてきた。男は、レイリン王国の言葉を使っているらしい。
「アルムだから、問題ありませんわ。それに、当たっていれば、わたくしだって舌打ちはしませんわ」
どういう状況かは分からないものの、何だかリリスさんは男と親しそうでモヤモヤとする。しかし、同時にその名前にどこか覚えがあるような気もした。
(アルム、アルム……アルム・ドラグニル? 確か、ドラグニル竜国の国王だったような……? まさか、ね)
「それ、言外に死ねって言ってるぅ?」
「……そうですわね。さっさと、くたばってください。このストーカー野郎」
「んー、『すとーかー』が何かは分からないけどぉ、『絶対者』がボクと結婚してくれるまで、引くつもりはないよぉ」
「結婚!?」
(ちょっと待って!? どういうことっ!?)
会話の流れから、『絶対者』というのはリリスさんのことで間違いないだろう。そして、その『絶対者』であるリリスさんに、そいつはあろうことか求婚している。リリスさんは、僕の片翼なのに。
僕はたまらず階段を駆け下りて、その男と対面する。そいつは、僕とは違って、随分と色気のある男で、かなりの美形でもあった。
(こいつが、リリスさんに求婚?)
気がつけば、僕はドラグニル竜国の国王かもしれない相手に食ってかかっていた。
「リリスさんっ、こいつ、何? 結婚って、どういうことっ!?」
「んー? 君、だぁれ? それに、『リリス』? もしかしてぇ、それが『絶対者』の名前?」
「貴様に教える筋合いはないっ!」
「ふふふ、威勢が良いなぁ。国ではボクに立ち向かう者なんて居ないから、新鮮かもぉ」
「リリスさんっ。お願いだから、こいつは止めて、僕と結婚しましょうっ!」
「何? 君も『絶対者』への求婚者ぁ? でも、ダァメ、『絶対者』はボクのものなんだからぁ」
「っ、リリスさんはお前のもの何かじゃないっ! ……僕のものでもないけど……」
最後の最後で、勢いは落ちてしまったものの、リリスさんをこいつに渡すわけにはいかない。必死にそいつを睨み付けていると、リリスさんが仲裁に入ってくる。
(あっ、リリスさん、顔、隠してるんだ……)
最近は、フードを被ることなく行動しているリリスさんが、今はすっぽりとフードを被って顔を隠している。つまりは、まだ、こいつには名前も顔も明かしてはいないということだろう。
それから、話はどんどん流れて、何やらリリスさんに無茶苦茶な依頼を押し付けて、そいつは……十中八九、ドラグニル竜国の国王である奴は帰っていった。
「リリスさん」
きっと、リリスさんは、明日、ドラグニル竜国へ向かうのだろう。僕を、置いて。
他の男とリリスさんが一緒に居るのだと思うと、胸が張り裂けそうだ。
(どうにかして、僕もリリスさんと一緒に居られないかな?)
そう考えていると、アルムが去り、フードを取ったリリスさんが、その可愛らしい唇を開く。
「……ルティアスもついてきますか?」
(えっ……?)
一瞬、何を言われたのか、分からなかった。
「……えっ? 良いの?」
「えぇ、正直、わたくしだけだと色々と面倒ですからね」
何が面倒なのかは知らないが、リリスさんと一緒に居られるのならばどんなことだってしてみせよう。
「もちろんっ、行くよ! それで、リリスさんを守ってみせるからっ!」
「そ、そうですか」
守ると宣言すれば、どこか戸惑ったような表情を見せるリリスさん。
貴族の令嬢のように美しい所作であるにもかかわらず、守られ慣れていないように見えるリリスさん。それは、少し不思議ではあったものの、そんなところも可愛らしくて仕方がない。
「リリスさん。今日は何が食べたい?」
「ふんっ、何を作っても同じですわっ。好きになさいっ」
視線を逸らして、きつい言い回しを敢えてするリリスさん。要するに、『どれも美味しいから、好きに作ってくれて構わない』ということだろうかと、自分の都合の良いように解釈しながら、頭の中で料理を決めていく。
「それじゃあ、リリスさんの好物である、ムムー鳥の炙り焼きとか、どうかな?」
「っ、わたくしは、貴方に好物を教えた覚えはありませんわっ」
「うん、そう言うってことは、間違ってないんだよね」
「っ、す、好きになさいっ」
本格的にプイッとそっぽを向いてしまったリリスさんは、耳を赤くしていて可愛くて仕方ない。
「うん、好きにするね」
今なら、僕の主であるジークフリート陛下が、ユーカ様を可愛がっていた時の気持ちが分かる。もう、可愛くて可愛くて、走り出したくなるような気持ちを無理矢理抑え込んだ僕は、いつか、リリスさんを膝の上に乗せて、あーんとかしてみたいなぁと妄想しつつ、料理に取りかかるのだった。
「――――『絶対者』、こんな攻撃しちゃダメでしょお? それにぃ、女の子が舌打ちしちゃダメだよぉ」
妙に馴れ馴れしい男の声が聞こえてきた。男は、レイリン王国の言葉を使っているらしい。
「アルムだから、問題ありませんわ。それに、当たっていれば、わたくしだって舌打ちはしませんわ」
どういう状況かは分からないものの、何だかリリスさんは男と親しそうでモヤモヤとする。しかし、同時にその名前にどこか覚えがあるような気もした。
(アルム、アルム……アルム・ドラグニル? 確か、ドラグニル竜国の国王だったような……? まさか、ね)
「それ、言外に死ねって言ってるぅ?」
「……そうですわね。さっさと、くたばってください。このストーカー野郎」
「んー、『すとーかー』が何かは分からないけどぉ、『絶対者』がボクと結婚してくれるまで、引くつもりはないよぉ」
「結婚!?」
(ちょっと待って!? どういうことっ!?)
会話の流れから、『絶対者』というのはリリスさんのことで間違いないだろう。そして、その『絶対者』であるリリスさんに、そいつはあろうことか求婚している。リリスさんは、僕の片翼なのに。
僕はたまらず階段を駆け下りて、その男と対面する。そいつは、僕とは違って、随分と色気のある男で、かなりの美形でもあった。
(こいつが、リリスさんに求婚?)
気がつけば、僕はドラグニル竜国の国王かもしれない相手に食ってかかっていた。
「リリスさんっ、こいつ、何? 結婚って、どういうことっ!?」
「んー? 君、だぁれ? それに、『リリス』? もしかしてぇ、それが『絶対者』の名前?」
「貴様に教える筋合いはないっ!」
「ふふふ、威勢が良いなぁ。国ではボクに立ち向かう者なんて居ないから、新鮮かもぉ」
「リリスさんっ。お願いだから、こいつは止めて、僕と結婚しましょうっ!」
「何? 君も『絶対者』への求婚者ぁ? でも、ダァメ、『絶対者』はボクのものなんだからぁ」
「っ、リリスさんはお前のもの何かじゃないっ! ……僕のものでもないけど……」
最後の最後で、勢いは落ちてしまったものの、リリスさんをこいつに渡すわけにはいかない。必死にそいつを睨み付けていると、リリスさんが仲裁に入ってくる。
(あっ、リリスさん、顔、隠してるんだ……)
最近は、フードを被ることなく行動しているリリスさんが、今はすっぽりとフードを被って顔を隠している。つまりは、まだ、こいつには名前も顔も明かしてはいないということだろう。
それから、話はどんどん流れて、何やらリリスさんに無茶苦茶な依頼を押し付けて、そいつは……十中八九、ドラグニル竜国の国王である奴は帰っていった。
「リリスさん」
きっと、リリスさんは、明日、ドラグニル竜国へ向かうのだろう。僕を、置いて。
他の男とリリスさんが一緒に居るのだと思うと、胸が張り裂けそうだ。
(どうにかして、僕もリリスさんと一緒に居られないかな?)
そう考えていると、アルムが去り、フードを取ったリリスさんが、その可愛らしい唇を開く。
「……ルティアスもついてきますか?」
(えっ……?)
一瞬、何を言われたのか、分からなかった。
「……えっ? 良いの?」
「えぇ、正直、わたくしだけだと色々と面倒ですからね」
何が面倒なのかは知らないが、リリスさんと一緒に居られるのならばどんなことだってしてみせよう。
「もちろんっ、行くよ! それで、リリスさんを守ってみせるからっ!」
「そ、そうですか」
守ると宣言すれば、どこか戸惑ったような表情を見せるリリスさん。
貴族の令嬢のように美しい所作であるにもかかわらず、守られ慣れていないように見えるリリスさん。それは、少し不思議ではあったものの、そんなところも可愛らしくて仕方がない。
「リリスさん。今日は何が食べたい?」
「ふんっ、何を作っても同じですわっ。好きになさいっ」
視線を逸らして、きつい言い回しを敢えてするリリスさん。要するに、『どれも美味しいから、好きに作ってくれて構わない』ということだろうかと、自分の都合の良いように解釈しながら、頭の中で料理を決めていく。
「それじゃあ、リリスさんの好物である、ムムー鳥の炙り焼きとか、どうかな?」
「っ、わたくしは、貴方に好物を教えた覚えはありませんわっ」
「うん、そう言うってことは、間違ってないんだよね」
「っ、す、好きになさいっ」
本格的にプイッとそっぽを向いてしまったリリスさんは、耳を赤くしていて可愛くて仕方ない。
「うん、好きにするね」
今なら、僕の主であるジークフリート陛下が、ユーカ様を可愛がっていた時の気持ちが分かる。もう、可愛くて可愛くて、走り出したくなるような気持ちを無理矢理抑え込んだ僕は、いつか、リリスさんを膝の上に乗せて、あーんとかしてみたいなぁと妄想しつつ、料理に取りかかるのだった。
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