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3つの村とイノシシの村
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むかしむかし、山と森にかこまれた広い谷に、
3つの動物の村がありました。
ひとつは、のんびりやさんで気ままな 猫の村。
もうひとつは、元気いっぱいで忠実な 犬の村。
そしてもうひとつは、ちょこまかとすばしっこい 鼠の村 です。
3つの村は、となりあってくらしていました。
けれど、みんなちょっぴりライバル同士。
「猫なんか昼間は寝てばかりだニャ」
「犬こそ、うるさいワン!」
「ねずみは小さいからすぐ逃げるチュ!」
こんなふうに、会えば言い合いばかり。
でも、本当はみんな同じ谷に住む仲間でした。
■ イノシシの村からの挑戦
ある日のこと。
山のむこうの イノシシの村 から、大きなイノシシたちがやってきました。
「グオォォォ!この谷は広くていいところだ。
今日からここは、イノシシの村のものだ!」
リーダーの大イノシシ・ゴロが、鼻をブヒッとならして言いました。
イノシシたちはとても力が強く、あちこちを掘り返しては、畑をあらし、木をなぎたおしていきます。
猫の村も、犬の村も、鼠の村も大あわて。
「どうしようニャ! うちの魚の池が…」
「ぼくたちの畑もふみつぶされたワン!」
「チーズの貯蔵庫がグチャグチャになったチュ…!」
3つの村は、それぞれイノシシの村と戦おうとしました。
でも、猫の爪でもひっかけず、犬の吠える声でもびびらず、鼠のすばやさでも太刀打ちできません。
「うわぁ~ん!イノシシ、強すぎるニャ!」
■ はじめての話し合い
その夜、月がまるく空に浮かんでいました。
3つの村のリーダーたちが、丘の上に集まりました。
猫の村の長老・ミケじいさんが、ゆっくり言いました。
「このままでは、3つの村がみんなやられてしまうニャ…」
犬の村のリーダー・ポチが、しっぽをふりながらも真剣な顔で言いました。
「ぼくら、ケンカばかりしてたけど、今こそ力を合わせる時だワン!」
鼠の村のリーダー・チュウ太も、ちいさな胸をはって言いました。
「チュウ…そうだ!3つの村が一緒になれば、イノシシなんてこわくないチュ!」
こうして、猫、犬、鼠の村ははじめて力をあわせることを決めたのです。
■ みんなの作戦
まず、鼠の村が考えました。
「イノシシたちは鼻がとてもいいチュ。くさいにおいがきらいチュ!」
そこで鼠たちは、においの強い香草と山のからしをまぜて、強烈なくさい玉を作りました。
次に、犬の村が考えました。
「ぼくたち犬は大きな声でほえるのが得意ワン!」
犬たちは、イノシシをおどろかすための大合唱の練習をはじめました。
そして猫の村が考えました。
「わたしたちは静かに歩いて、高いところにも登れるニャ」
猫たちは森の木に登り、イノシシの動きを上から見張ることにしました。
3つの村の力を合わせた、大きな作戦がうまれたのです。
■ イノシシの村との決戦
次の日の朝。
イノシシたちがまた谷へやってきました。
「グオォォォ! 今日こそ全部うばってやるブヒィ!」
そのとき──
「いまだチュ!!」
鼠たちが一斉にくさい玉を投げました。
ブワァ~ンと立ちこめる強烈なにおい!
「ブヒィ!? なんだこのにおいは!? 鼻が…くさいブヒ~!」
イノシシたちは目をまわしてドタバタ。
そこへ犬たちの大きな声!
「ワンワンワンワンッッッ!!」
森じゅうがゆれるほどの大合唱。
びっくりしたイノシシたちはおろおろ。
そのあいだに、猫たちが木の上からロープをたらし、イノシシたちの進む道をふさぎました。
高いところが苦手なイノシシたちは、立ち止まってこわがります。
「や、やるじゃないか…こいつら…」
リーダーのゴロが歯をガチガチさせながら言いました。
■ 勝負のあと
「この谷はぼくらみんなのものだニャ!」
「勝手にうばわせないワン!」
「イノシシの村だって、約束をまもるチュ!」
3つの村の声がひとつになりました。
イノシシたちはすっかりおどろき、しっぽをまいて山へにげていきました。
リーダーのゴロだけがふりかえって言いました。
「……おまえたち、強いな。だけど、いつかまた来るブヒ。
そのときは……ちゃんと話しあえるといいな。」
ゴロの目は、ちょっとだけやさしくなっていました。
■ 仲良しのはじまり
戦いが終わったあと、3つの村の広場では、大きなおまつりがひらかれました。
猫たちはお魚のスープをふるまい、
犬たちはおいしいパンを焼き、
鼠たちはチーズとナッツを持ってきました。
「いままでケンカばかりして、ごめんニャ」
「ぼくら、意外といいチームだったワン!」
「これからも一緒に守っていくチュ!」
3つの村の動物たちは、初めてみんなで笑い合いました。
夜空にはまるい月がまたのぼり、谷じゅうに笑い声がひびきました。
それからというもの、猫の村・犬の村・鼠の村は、
ライバルではなく、仲間 になりました。
イノシシの村とも、のちに話し合って、森をわけあってくらすようになったといいます。
おしまい
3つの動物の村がありました。
ひとつは、のんびりやさんで気ままな 猫の村。
もうひとつは、元気いっぱいで忠実な 犬の村。
そしてもうひとつは、ちょこまかとすばしっこい 鼠の村 です。
3つの村は、となりあってくらしていました。
けれど、みんなちょっぴりライバル同士。
「猫なんか昼間は寝てばかりだニャ」
「犬こそ、うるさいワン!」
「ねずみは小さいからすぐ逃げるチュ!」
こんなふうに、会えば言い合いばかり。
でも、本当はみんな同じ谷に住む仲間でした。
■ イノシシの村からの挑戦
ある日のこと。
山のむこうの イノシシの村 から、大きなイノシシたちがやってきました。
「グオォォォ!この谷は広くていいところだ。
今日からここは、イノシシの村のものだ!」
リーダーの大イノシシ・ゴロが、鼻をブヒッとならして言いました。
イノシシたちはとても力が強く、あちこちを掘り返しては、畑をあらし、木をなぎたおしていきます。
猫の村も、犬の村も、鼠の村も大あわて。
「どうしようニャ! うちの魚の池が…」
「ぼくたちの畑もふみつぶされたワン!」
「チーズの貯蔵庫がグチャグチャになったチュ…!」
3つの村は、それぞれイノシシの村と戦おうとしました。
でも、猫の爪でもひっかけず、犬の吠える声でもびびらず、鼠のすばやさでも太刀打ちできません。
「うわぁ~ん!イノシシ、強すぎるニャ!」
■ はじめての話し合い
その夜、月がまるく空に浮かんでいました。
3つの村のリーダーたちが、丘の上に集まりました。
猫の村の長老・ミケじいさんが、ゆっくり言いました。
「このままでは、3つの村がみんなやられてしまうニャ…」
犬の村のリーダー・ポチが、しっぽをふりながらも真剣な顔で言いました。
「ぼくら、ケンカばかりしてたけど、今こそ力を合わせる時だワン!」
鼠の村のリーダー・チュウ太も、ちいさな胸をはって言いました。
「チュウ…そうだ!3つの村が一緒になれば、イノシシなんてこわくないチュ!」
こうして、猫、犬、鼠の村ははじめて力をあわせることを決めたのです。
■ みんなの作戦
まず、鼠の村が考えました。
「イノシシたちは鼻がとてもいいチュ。くさいにおいがきらいチュ!」
そこで鼠たちは、においの強い香草と山のからしをまぜて、強烈なくさい玉を作りました。
次に、犬の村が考えました。
「ぼくたち犬は大きな声でほえるのが得意ワン!」
犬たちは、イノシシをおどろかすための大合唱の練習をはじめました。
そして猫の村が考えました。
「わたしたちは静かに歩いて、高いところにも登れるニャ」
猫たちは森の木に登り、イノシシの動きを上から見張ることにしました。
3つの村の力を合わせた、大きな作戦がうまれたのです。
■ イノシシの村との決戦
次の日の朝。
イノシシたちがまた谷へやってきました。
「グオォォォ! 今日こそ全部うばってやるブヒィ!」
そのとき──
「いまだチュ!!」
鼠たちが一斉にくさい玉を投げました。
ブワァ~ンと立ちこめる強烈なにおい!
「ブヒィ!? なんだこのにおいは!? 鼻が…くさいブヒ~!」
イノシシたちは目をまわしてドタバタ。
そこへ犬たちの大きな声!
「ワンワンワンワンッッッ!!」
森じゅうがゆれるほどの大合唱。
びっくりしたイノシシたちはおろおろ。
そのあいだに、猫たちが木の上からロープをたらし、イノシシたちの進む道をふさぎました。
高いところが苦手なイノシシたちは、立ち止まってこわがります。
「や、やるじゃないか…こいつら…」
リーダーのゴロが歯をガチガチさせながら言いました。
■ 勝負のあと
「この谷はぼくらみんなのものだニャ!」
「勝手にうばわせないワン!」
「イノシシの村だって、約束をまもるチュ!」
3つの村の声がひとつになりました。
イノシシたちはすっかりおどろき、しっぽをまいて山へにげていきました。
リーダーのゴロだけがふりかえって言いました。
「……おまえたち、強いな。だけど、いつかまた来るブヒ。
そのときは……ちゃんと話しあえるといいな。」
ゴロの目は、ちょっとだけやさしくなっていました。
■ 仲良しのはじまり
戦いが終わったあと、3つの村の広場では、大きなおまつりがひらかれました。
猫たちはお魚のスープをふるまい、
犬たちはおいしいパンを焼き、
鼠たちはチーズとナッツを持ってきました。
「いままでケンカばかりして、ごめんニャ」
「ぼくら、意外といいチームだったワン!」
「これからも一緒に守っていくチュ!」
3つの村の動物たちは、初めてみんなで笑い合いました。
夜空にはまるい月がまたのぼり、谷じゅうに笑い声がひびきました。
それからというもの、猫の村・犬の村・鼠の村は、
ライバルではなく、仲間 になりました。
イノシシの村とも、のちに話し合って、森をわけあってくらすようになったといいます。
おしまい
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