異世界魔導師魅惑の修行

異世界魔導師魅惑の修行

異世界魔導師魅惑の修行～
「――あぁっ！？」
気がつくと、僕はベッドの上にいた。
しかも隣には裸のアレックスが寝ているではないか。
昨夜はアレックスを酔わせて……その……アレだ。
やっちゃったのか？ しかし、記憶は飛び飛びだ。確信がない。「うーん……」
僕が起き上がると、アレックスも目を覚ましたようだ。
「おはようございます。ユーマ様」
アレックスが微笑みながら挨拶してくる。
朝から眩しい笑顔である。
「お、おはようございます」
なんだろうこの感じ……。異世界に転生する前に生きていた日本の懐かしさがアレックスからは漂っている。こんな気持ちは異世界に来てから初めてかもしれない。
僕はアレックスを見つめていた。
「どうかされましたか？」
不思議そうな顔でアレックスが聞いてくる。
「いや、なんでもないよ。それより身体は大丈夫かい？」
「はい！ 大丈夫です！」
元気な返事だった。
異世界に来てから僕は災難続きだった。まず世にも恐ろしい統率者がこの世界には存在し、すべてのルールが彼一人の意志によって決められていた。
僕は異世界に送られるなりそいつにケツを掘られたのだ。
そいつの名前はデミトリといった。実は僕と同じ異世界転生者だ。名前は庵野渉という日本人だったらしい。
危うく処刑される憂き目に、今度はアレックスに助けられた。
そして今に至るわけだが……。
考えてみれば僕は転生する前からずっと誰かに助けられてきたような気がする。記憶があやふやで全然思い出せないけど。