ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第三章 戦争編

第86話 行商人

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 朝食を食べた後、ルーナがお茶を淹れてくれた。
 お茶を飲みながら、右手に輝く金アクセを眺めてみる。
 なんと悪趣味な。
 こんなのつけていいのはヤ○ザさんだけである。
 ノリコさんはこれを天鎖と呼んでいた。
 うーん、ネーミングセンスに厨二病を感じてしまう。
 まあ、自分のことを神様とか言っちゃう人だからな。
 実際に神様なんだろうけど。

「なあ、似合うか?」

 とりあえず、向かいに座ってお茶を飲んでいるルーナに向かって、天鎖を見せつけて決め顔をしてみる。

「……うん、かっこいい」

 ルーナはポーッとしながら言った。
 天鎖を1ミリも見ていない気がするのだが、気のせいだろうか。
 まあ、ルーナが似合うというのならいいのだが。

 ノリコさんはこの天鎖を使って、セレナを服従させて魔族を滅ぼせと言っていた。
 そうすれば、俺は日本に帰って10億円貰えるらしい。
 そういえば、その10億円って税金取られるんだろうか。
 10億の税金って5億?
 なにそれ、絶対に払いたくない。
 もっと詳しくノリコさんに聞いておくんだった。

 それにしても、と思ってルーナを見つめる。
 ルーナは今日も美しい。
 ろくに手入れもしていないはずなのに、サラサラの金髪に、肌荒れ一つしていない透き通った白い肌。
 その顔立ちは恐ろしいまでに整っていて、サファイアのような青い瞳には俺だけが映っている。

 仮に10億円全額貰えるとして、こんなレベルの女がそばにいるんなんて状況を作れるだろうか。
 ハリウッド女優が来たってルーナ以上ってことはないだろう。
 第一、ハリウッド女優は10億円では雇えない気がする。

 うーん。

 ちょっと外をブラブラしながら考えようと思った。
 洗い物と洗濯をすると言うルーナを残して、家を後にする。


「あ、あら、コウ。おはよう。偶然ね」

 家を出ると、セレナが立っていた。
 今日はいい天気で、太陽が煌々としているのだが。
 この吸血鬼はものともしないらしい。
 というか、歩いていたのではなく、立っていたのが気になる。
 まるで、待ち伏せでもしていたような。
 まあ、いいいけど。

「ちょうどよかった。ちょっと話があったんだ」

 とりあえず、セレナとその辺を散歩することにした。
 セレナは俺の腕を抱いて、隣を歩いている。
 腕が乳に挟まれていい感じだ。

 ノリコさんは天鎖を使えば、セレナが何でも俺の言うことを聞くようになると言っていた。

「なあ、セレナ。乳を揉ませてくれないか?」

「え? いいわよ?」

 とりあえず、セレナの乳を揉む。
 うむ。今日も柔らかくて良い巨乳だ。

「なあ、セレナ。やらせてくれないか?」

「ここはお外なのだけど……。少しは場所を考えなさい?」

 そんな事を言いながらも、セレナはいそいそとパンツを脱ぎだす。
 なんだかんだ言いながらもやらせてくれるらしい。

 そんなセレナを見ていて思うのだ。
 天鎖使う必要ある???
 全然、ない気がするんだけど。
 既にいつでもやらせてくれるし。
 そもそも、魔族を倒してもらって日本に帰ったらこんなこともできなくなるのだ。
 というか、日本になんて全然帰りたくない。
 ルーナもセレナもいないし。
 俺はセレナと朝っぱらからのアオカンを楽しみながら、次第にノリコさんに言われたことはどうでも良くなっていった。



 翌日、家の外に出てみると、またセレナに会った。

「あ、あら、コウ。おはよう。偶然ね」

 昨日全く同じセリフを言われた気がするのだが、気のせいだろうか。
 というか、最近よくセレナと外で鉢合わせる気がする。
 いくらなんでも外を出歩きすぎな気がするのだ。
 吸血鬼なのに大丈夫なのだろうか。
 まあ、いいけど。

 とりあえず、今日もセレナと腕を組んで朝の散歩をする。

 ミレイの家の前にメグがいた。

「ミレイさん、ミレイさーん?」

 必死にミレイの家のドアをノックしている。
 何か用があるのだろうか。
 とはいえ、ミレイが出てくる様子はない。
 多分、まだ寝ているのだろう。
 なぜならば、昨日も明け方まで俺が……。

「メグ。ミレイは疲れているんだ。ゆっくり寝かせてあげなさい」

 とりあえず、メグの肩に手を置いて優しく言ってみる。

「あ、コウさま。おはようございます。今日ミレイさんの畑を手伝う約束をしていたんですけど……」

 そういえば、メグはよくミレイの畑を手伝っている。
 メグの実家は農家だったらしく、メグ自身も結構農作業に慣れているのだ。
 ただ、残念な事にミレイは午後くらいまで農作業は無理だと思うんだ。

「セレナさんもおはようございます」

「おはよう。メグ」

 メグが挨拶をすると、セレナはにっこりと微笑みながら挨拶を返した。
 セレナは基本的にメグやミレイにも優しい。
 厳しく接するのはルーナに対してだけだ。
 なんかエルフが嫌いだとか言っていた。

「そういえば、セレナさん、さっきからずっとコウさまのお家の前で待って――」

 突然、セレナがメグの口を塞いだ。

「何を言っているかしら、この子は」

「もがもが」

 セレナは誤魔化すように俺に笑顔を向けているが、メグの口を塞ぎたくなる気持ちは俺にもわかるので、深くは追求しないでおこうと思う。

 その後、メグを加えた3人で、その辺を散歩することにした。
 セレナに腕を抱かれ、メグに手を握られている。
 両手に花すぎてヤバイ。
 すごく楽しい。
 3人でとりとめのない話をしながら、辺りを歩いた。


 廃村の外れまで歩いてきた時だった。

「良かった、まだ人が住んでいたんですね」

 そこには1台の荷馬車が止まっていて、荷台に座った男が話しかけてきた。
 俺はビシっと固まった。
 突然ニンゲンが出現したのだ。
 ただでさえニンゲンは嫌いなのに、今の俺は心の準備すら出来ていない。
 メグもニンゲンじゃん、とは思うのだが、メグはただのニンゲンではなく美少女なのでセーフなのだ。
 荷台に座った男は30代前半くらいの爽やか系のイケメンだった。
 アウトです。
 俺と同世代っぽいのに、禿げても太ってもなくイケメンなのがまた限りなくアウトです。むしろギルティです。

 俺は固まったまま男を見つめた。
 男は俺と目が合うと、ニコっと爽やかに微笑んだ。
 俺は全力で息を吸い込んだ。

「ルーナ! ルーナアアア! ルーニャアアアアアアアア!」

 とりあえず、全力でルーナを呼ぶ。
 そして、セレナの背中に隠れた。
 ルーナを呼んだ上に、セレナに隠れる。
 これが今の俺に出来る最大の防御だ。
 なんという無敵感。
 天地魔闘の構えと名付けよう。

「……あなたは商人さんかしら?」

 俺にしがみつかれて、ちょっと苦笑いしながらセレナは男に聞いていた。
 男の荷馬車には布やら壺やら様々なものが積まれている。
 なるほど。屋台に見えなくもない。

「これはお美しいご婦人だ」

 その言葉に頭がカッとなった。
 咄嗟に土の剣を生成する。
 この野郎、俺のセレナに色目を使いやがった。

「……あなた?」

 不意に聞き慣れない女性の声がした。
 死角になっていてよく見えなかったが、男の隣にもう一人座っていたらしい。

「……ケイト、別に他の女性に色目を使っていたわけじゃないんだ」

 男は隣の女性に焦ったように言い訳をしている。
 ケイトさんと言うらしい女性は、ひょっこりと顔を覗かせると、俺たちに軽く会釈した。
 ちょっと美人だった。

「ご夫婦で商人をやっているの? うらやましいわ」

「ええ、まあ……申し遅れましたが、僕は行商人のハンスと言います。こっちは妻のケイト」

 ケイトさんはこいつの妻らしい。
 美人の妻がいるとか。
 ギルティである。

「私はセレナ。この子がメグで、こっちがコウよ」

 セレナが代表して俺たちを紹介してくれる。
 メグはペコリと頭を下げていた。

「はあ……あの、コウさん? 僕、何か気に障ることしちゃいました?」

 ハンスが困ったような顔を向けてくる。

「ああん?」

 とりあえず、凄んで見る。
 男は舐められたらおしまいなのだ。
 田舎のヤンキーのような発想な気がするが。
 イケメンで美人の妻がいる奴になんて絶対に舐められたくない。

「……あのう、いつの間に剣なんか出したんですか?」

 ハンスは俺の手に握られた土の剣を見て怯えていた。
 肝っ玉の小さい男である。

「どうしたんだ?」

 その時、三角巾をしてハタキを手に持ったルーナがやってきた。
 掃除の途中だったらしい。

「え? 行商人?」

 ルーナがハンスの荷馬車を見て顔を輝かせている。

「良かった! 塩が足りなくなって困っていたんだ」

「いろいろございますよ? ご覧になりますか?」

 ケイトさんがルーナに荷馬車を案内し始める。
 調味料に保存食、布やら油、石鹸まで、日用品はかなり取り揃えているらしい。

「以前、ここに開拓村があったので、行商の途中に寄ってみたんですが、家が廃屋になっていて驚きましたよ」

 ルーナがやってきて、雰囲気が変わったと思ったのか、ハンスが気安く話しかけてくる。
 とりあえず、ツバを吐き捨てた。

「………」

 ハンスはドン引きしていた。
 男と話す趣味なんてないのである。

 ルーナとメグはケイトさんが見せてくれる商品を楽しそうに物色していた。
 セレナは少し離れた場所で、3人を微笑ましく見守っている。
 喧騒を聞きつけたのか、ミレイまでやってきた。
 ミレイは腰を抑えながら、歩き辛そうにしていた。
 俺と目が合うと、恥ずかしそうに微笑んだ。
 かわいい。

「……あの、さっきから美女ばかり出てくるんですが、なんなんですか、ここ?」

 めげないハンスが再び話しかけてくる。
 唾吐きまでしたのに見上げた根性だ。
 というか美女とか言っているが、俺の女達に色目を使おうとしているのだろうか。

「全員俺の女だ。手を出したら殺すぞ」

 ハンスに土の剣を向けながら脅しておいた。

「………」

 ハンスは顔を真っ青にしている。
 ちょっとやりすぎな気がしてきたが、イケメンにはこれくらいが丁度いいのである。

「……はっ、そうだ。そんなあなたにお薦めの商品があるんですよ?」

 ハンスは気を取り直したように、俺に商談を持ちかける。
 自分で言うのもなんだが、俺みたいな面倒くさい奴によく話しかけられるものだ。

 ハンスは素早く荷馬車に戻ると、一本の小瓶を持って帰ってきた。

「これなんていかがですか? 超強力な精力剤なんですけど」

「ほう」

 不覚にも興味をそそられてしまった。

「これがあれば何人でも相手にできるって巷で大人気なんですよ?」

 ノリコさんに俺の性欲は生来のものだと言われて、ちょっと自信がなくなっていた所だった。
 まさに今、俺が最も欲しい商品だった。
 こいつ、できるな。

「よし、貰おうか」

「いらないから! この世で最もあなたに必要ないものだわ。……私たちにトドメを刺す気なの?」

 しかし、セレナに止められてしまった。
 すごい欲しかったのに。

「それなら、こんなのはいかがですか? 増毛剤です」

「よし、買った」

 ハンスは次々に俺の欲しいものを出してくる。
 なんなのこいつ。
 出来る商人にも程がある。

「……ねえ、その若さで増毛剤なんていらないでしょう? 髪の毛ふさふさしているじゃない」

 セレナがなんか言っているが、全然判っていない。
 気づいてからでは遅いのだ。
 誰がなんと言おうと増毛剤だけは買う。
 絶対にだ!

 ハンスは次々に気になる商品を勧めてきた。
 俺はどんどんそれらを買っていった。
 よく切れる包丁や、焦げつかない鍋など、よく考えてみたら要らない気がするがハンスの売り込みが上手くてついつい買ってしまった。

 離れた場所でルーナ達もケイトさんの売り込みに、うんうんまじめな顔で頷いている。

「なんか欲しいものあったか?」

 とりあえず、そう聞いてみると。

「……むしろ欲しくないものがない」

 困ったようにルーナが言っていた。
 ケイトさんの売り込みもかなりのものらしい。

「全部気に入って頂けて良かったです。たださすがに全部となると……」

 確かに荷馬車まるごと買うわけには行かない。
 どこのセレブだよと言いたくなる。
 とはいえ、全部買ったらいくらくらいになるんだろうか。

「そうですね。全部だと金貨3枚は頂かないと」

「……金貨3枚」

 メグが引いていた。
 そんなに高いんだろうか。
 というか、3枚なら払えるな。
 たしか、山賊から金貨500枚くらい奪った。
 金貨3枚なんて1パーセントにも満たない。

「ルーナ」

「うん、わかった!」

 ルーナがたったと家に走っていく。
 すぐに金貨を握りしめて帰って来る。

「これでいいか?」

「……ええ。結構ですが」

 ハンスが驚いていた。

「……なんでそんな大金持っているんですか」

 ミレイも驚いていた。
 そういえば、金貨のことはルーナにしか言っていない。
 3枚で大金とか言っているが、うちに500枚あるんだが。

 ハンスの荷馬車から買った商品が降ろされていく。
 そこには塩や石鹸等、元から欲しかったものが含まれている。
 手鏡や櫛など、女が喜びそうな物もあった。
 ちなみに、ドサクサに紛れて精力剤も買っていた。
 後で誰かに使ってみようと思う。

 そして、荷馬車はあっという間に空になった。

「まさか、1日で全ての商品が売れるとは思いませんでした」

 ハンスが呆気にとられている。
 ケイトさんはホクホクと嬉しそうだ。
 ここには念の為に立ち寄ってみただけらしい。
 もともと開拓村があったとは言え、4世帯しかなかったのだ。
 他の村々を回りながら、数ヶ月をかけて捌く予定の商品だったそうだ。

「また商品を仕入れたら、真っ先にここに来ますから!」

 そう言い残して、ハンスとケイトさんは帰っていた。
 また来るのはケイトさんだけでいいのだが。

 ハンスがイケメンだったのが気に入らないが、塩の不足に関してはいつかなんとかしなきゃと思っていたので、良かったのだろうか。

 ルーナ達は購入した商品を嬉しそうに分け合っている。
 あいつらが喜んでくれただけでも良かった。

「騙されやすい夫婦すぎて、見ていて不安になるのだけれど……」

 セレナにそんな事を言われてしまったが、気にしないことにした。
 俺のどこが騙されやすいのかわからない。
 料理しないのに、包丁と鍋を買ってしまったが、いつか使う日が来るはずだ。たぶん。
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