ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第三章 戦争編

第94話 論功行賞 ⑥

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 無事、騎士になってしまったので、そろそろ家に帰ろうかと思った。
 しかし、夜に戦勝を祝うパーティーがあるので、出席して欲しいと言われた。
 そういうのいいです、と断るつもりだった。
 しかし、気づいた時にはルーナが勝手に出席をすると返事をしていた。
 貴族になったからには、パーティなどは必須参加だそうだ。
 早くも貴族になったことを後悔してしまう。
 パーティとか。
 忌むべきBBQと似たようなものである。
 なぜリア充という奴らは、強制的な宴会を好むのだろうか。
 そのくせ必ず、強制参加ではないと言い張るのだ。
 じゃあと思って、見たいアニメがあるのでパスで! とか言うと、まじかよこいつ空気読めよ的な顔をされるのだ。
 死ねばいいのに!!!!

 そんな事を考えていたら、思わず拳を握りしめてしまっていた。

「パーティや晩餐会などは妻の主戦場だ。お前がそんなに気負うことはない。後は私にドンと任せておけ!」

 そんな事を言いながら、ルーナは胸を張る。
 思わず揉みたくなってしまうのでやめて欲しい。

 今、俺たちは待合室で、お茶を飲みながらパーティが始まるのを待っている所だった。
 今日は待つことが多い一日だ。

「じゃあ、ちょっと私は化粧を直してくる。貴族になったからには、お前をしっかり盛り立ててやるからな!」

 そんな事を息巻いて、ルーナは部屋から出ていってしまった。
 物凄い気合の入れようだ。
 そんな気合を入れて化粧なんかされたら、ますます綺麗になって俺がドキドキしてしまうのでやめて欲しい。

 セレナも無言で席を立つと、ルーナについていった。
 一緒に化粧直しに行くのだろうか。
 俺と目が合うと、相変わらずプイッと顔を背けてしまう。
 まだ怒っているらしい。
 どこか拗ねているようにも見えて可愛いく見えてしまうのだが。
 とても世界最強の吸血鬼で、この国の王様がビビっていた女には見えない。

 そんなわけで一人で残されてしまった。
 周りには他の貴族たちがいて、俺たちと同じようにパーティが始まるのを待っている。
 なので広い部屋に一人きりというわけではないのだが、一人で喫茶店に入ったような錯覚に陥る。
 喧騒に包まれながらも、孤独を味わう感覚だった。
 久しぶりの感覚だった。
 孤独は望む所なのだが、最近はルーナやセレナ等、誰かしらかが必ず近くにいたので、少しさみしくなってしまう。
 俺も日和ったものだ。
 社畜時代に、一人夜勤でサーバールームに10連勤とかしても、全然さみしさなんて感じなかったのに。
 むしろ開放的でいいとすら思っていた。
 今は少しでも近くに女の肌を感じていないと物足りなさを覚えてしまう。
 むしろ定期的に女の胸を揉んでいないと手が震えてくる。
 本当に俺も日和ったものである。
 なんかやばい依存症にかかっているような気もするが。

「アサギリ卿」

 不意にそんな声をかけられた。
 聞きなれぬ女性の声だった。
 しかも卿呼ばわり。
 ちょっとうれしくなってしまう。

 振り返ると、そこに立っていたのは鎧美女のゼービアさんだった。
 近くで見るとゼービアさんは本当に美人だ。
 凛とした雰囲気が漂っていて、髪も紺色だし袴とかが似合いそうだ。
 袴と言っても弓道部が着る感じの袴だ。
 アレ着てくれないかな。
 3万くらいなら払うので着てくれないだろうか。
 いや、もちろん今の鎧姿でも十分楽しめるのだが。

「ふん、間の抜けた顔だな」

 とりあえず脳内でゼービアさんと楽しんでいたら、突然ディスられてしまった。
 エロい事を考えていたせいで、鼻の下が伸びていたのだろうか。
 いかんいかん。
 あわよくばゼービアさんを落としたいので、俺は必死に顔を引き締めた。
 そして、渾身のキメ顔を作る。

「うーん、とてもあれほどの大戦果を上げたようには見えんな。本当に強いのか? 貴様」

 しかし、ゼービアさんはジロジロと訝しむように俺を見るだけだった。
 バカな。
 俺のキメ顔が全く効いていない。
 これがルーナだったら(略)。

「まあいい。こんな時代だ。優秀な騎士の誕生は歓迎すべきだな」

 そんな事を言いながらゼービアさんは握手を求めてくる。
 俺は立ち上がってその手を握った。
 女性にしてはやや硬い手だった。
 それでも十分素敵な感触だった。
 これだけでご飯3杯はいける。

 ゼービアさんは立ち上がってみると、俺より頭半分くらい背が低かった。
 女性としては身長は高い方だろう。
 しかし、これではキスをする時にゼービアさんはつま先立ちにならなければならない。
 つま先立ちになってプルプルしながら唇を寄せてくるゼービアさんとか。
 想像してみると、何かが俺の中でメラっと燃える。
 いつか必ず現実にせねばらない、と心のなかで固く思った。

「私はゼービア・シュバインベルクだ。近衛隊長をしている。あと、一応、今代の剣聖だ。よろしくな」

 既に知っていたが、ゼービアさんが自己紹介をしてくれた。
 剣聖とはなんだろうか。
 名前の響きからして厨二病なので、あまり気にせず生暖かい目で見守るべきだろうか。

「コウ・アサギリです。よろしく」

 とりあえず、キメ顔を継続させて俺も自己紹介をしてみた。
 しかし、ゼービアさんは軽く頷くとそのまま立ち去ってしまう。
 しょんぼりである。
 とはいえ、ゼービアさんはなんの用で話しかけてきてくれたのだろうか。
 ただ単に自己紹介をしたかっただけなのだろうか。
 わざわざそれだけのために話しかけてくるなんて……。
 脈はあると見た。
 俺は立ち去っていくゼービアさんの背中を眺めながら、確かな手応えを感じていた。



 パーティは、豪華な広間で行われた。
 綺羅びやかなシャンデリアに赤い絨毯。
 絶妙な間隔で丸テーブルが設置され、純白のクロスが敷かれている。
 テーブルの上には色鮮やかな料理が並び、様々な銘柄の酒も並べられている。
 まるで映画の世界だ。
 底辺サラリーマンで、かつ、引きこもりの俺は、未だかつてこんなパーティには出席したことがない。
 不覚にもちょっとわくわくしてしまった。
 問題は、広間には貴族らしきニンゲン達がひしめき合っていることだった。
 人に酔いそうだ。
 というか、既に酔っていて吐きそうだった。

 貴族たちはみな着飾っていて、女性たちは派手なドレスに身を包んでいる。
 そんな中にあっても、ルーナとセレナは異彩を放っていた。
 美しさの次元が違う。
 具体的にはダイヤモンドとBB弾くらい違う。

 パーティが始まるやいなや、当然のように2人の周りには人だかりができていた。
 俺には悪夢のような光景だった。
 とっさに壁際に緊急退避する。
 俺にはこのパーティ会場の壁のクオリティを調査するという匠としての崇高な義務があるのだ。
 とりあえず、義務の遂行に専念する。
 うーむ、なかなかどうして良い壁だ。

「お、お嬢さん、お名前は?」

「この度、騎士に叙勲されたコウ・アサギリの妻ルシアリーナと申します。新参者ではございますが、皆様よろしくお見知りおき下さい」

 ルーナはそんな舌を噛みそうなセリフをスラスラと言いながら、上品で優雅な笑みを浮かべている。
 その姿はどう見ても良家のお嬢様にしか見えない。
 普段のルーナからは想像もできない姿だった。

「……そんな貴女が、既に人の妻だなんて、悪い夢でも見ているようだ」

「それにしてもお美しい。エルフは皆美しいと聞くが、貴女ほどの美しいエルフは見たことがない」

「騎士に叙勲されたばかりとおっしゃっていたが、今までは平民だったということか? にわかには信じられん。これほど美しい平民がいたとは……」

 集まった貴族たち(主に男)はルーナをべた褒めしている。
 軽く嫉妬を覚えて、全員土魔法で串刺しにしてやりたくなってしまう。
 しかし、そんな事をすれば色んな意味で大注目されてしまい、胃が破裂しそうなので、ぐっと堪えて壁の調査に専念した。

 ルーナは貴族たちに囲まれながら、上品な言葉遣いで受け答えをしている。
 なんというかプロ感が半端ない。
 このままルーナに任せておけば、そのうちパーティは終わってくれるだろう。
 あとは時間との戦いだ。
 壁は調査し尽くしたので、次は床かな、と思ってしゃがみこもうとした時だった。
 セレナが人混みをかき分けて、どこかに歩いて行くのが見えた。
 ルーナと同じようにセレナにも貴族たちが群がっていたのだが、機嫌の悪いセレナは完全に無視していた。
 さすがに気まずくなったのだろうか。
 セレナはパーティ会場から眺められる中庭へと続くドアを開けて、外に出て行ってしまった。
 俺はセレナの後を追った。



 中庭はパーティ会場の喧騒が嘘のように静まり返っていた。
 今日は一段と肌寒いためか、人気は全く無い。
 僅かな月明かりが照らす中庭を、セレナは一人でとぼとぼ歩いていた。

「セレナ」

 とりあえず声をかけてみる。

「あっ……なによ?」

 セレナは俺に気づくと、一瞬嬉しそうな顔をしたものの、すぐに顔をしかめてしまう。
 無視されるかもしれないと思っていたので、返事をしてくれただけでも嬉しいし、一瞬でも嬉しそうな顔をしたのだ。
 謝るなら今だと思った。

「さっきは悪かったな。せっかく庇ってくれたのに、騎士になっちゃって」

「……別に。あなたのことなんて知らないと言ったでしょう? 勝手にすればいいわ」

 突き放すような事を言われてしまった。
 その言葉が胸に突き刺さって、ちょっとどころじゃなく凹んでしまう。
 俺はこれでもかというくらい褒めて伸びるタイプなので、そういう放任主義的な事は言わないでもらいたい。

「そんなに怒らないでくれ」

「は、はあ? わ、私のどこが怒っているっていうのよ? 別に怒ってないわよ」

 誰がどう見ても怒っているのだが。
 セレナにそう言われてしまっては埒が明かない。
 もういっそ、抱きしめてキスをしてアヘらせて有耶無耶にしてしまおうと思った。
 なんて素敵な作戦を思いついてしまったのか。
 自分が天才軍師すぎてヤバイ。

 そんな事を考えながら、セレナを抱きしめようとした。

「ちょっと! 触らないでよ!」

 しかし、セレナに振り払われてしまう。
 触らないでよとか。
 そんな事セレナに言われたのは初めてだった。
 いつだって快く乳を揉ませてくれたのに。
 ショックどころの騒ぎじゃないんだけど。

「……そんなに俺が騎士になったのが気に入らないのか?」

 セレナは俺をキッと睨みつける。

「だって、戦に行かなきゃいけないのよ? いつ死んじゃうかわからないじゃない!」

 セレナはそんな、いつかのルーナのようなセリフを言い出した。
 なんで今さらそんな事を言うのか。

「前は男が戦いに行くのは当たり前だって言ってたじゃないか」

「あの時は……そう思っていたのよ」

「なんで考えが変わったんだ?」

 理解できなかったので聞いてみると、セレナはなんとも言えない表情をした。
 悔しそうで、恥ずかしそうで、何かを堪えているような、それでいて可憐にも見える表情だった。

「………」

「セレナ?」

「…………ちゃったからよ」

 その声は小さくてよく聞き取れなかった。

「なんだって?」

 なので聞き返してみると、セレナは再び俺を睨みつけた。

「あなたの事を好きになっちゃったからだって言ったのよ!!」

 それは絶叫するような大声だった。
 ちょっと耳がキーンとする。
 セレナは耳まで真赤にしながら、わずかに涙ぐんですらいる。
 うわ、可愛い。
 そんなセレナに対して俺は。

「そうか」

 特にこれと言った感想は出てこなかった。

「な、なによ。その薄い反応は……。せっかく告白したのに」

 告白だったのか。
 とはいえ。

「だって、お前よく言ってるじゃん。だいしゅきーだいしゅきーって」

 セレナを抱いていて、しばらくするとよくセレナが言っているセリフだ。
 今更、好きと言われても、知ってるしとかしか言えない。
 しかし、セレナはかわいそうになるくらい顔を赤らめている。

「あ、あれは違うわよ! そ、そんなに違わないけど」

 どっちだよ。
 とりあえず、どうしょうもないくらいセレナが可愛かったので抱きしめてしまう。
 今度は抵抗されずに、大人しく俺の腕の中に収まる。
 というか、ヤバイなこの女。
 瞬間最大可愛さ的に、一瞬ルーナを上回っちゃった感がある。
 あのセレナが可愛いとか。
 普段の様子からは想像できないような表情をしているからだろうか。

「……どんどん好きになっちゃったのよ。今じゃ、あなたが戦に行くと考えるだけで、怖くて膝が震えるわ。これでは、本当に、小娘に何も言えないわね」

 腕の中でセレナがボソボソ話す。

「どうすればいいのかしら。700年も生きたのに、自分の感情を持て余してしまうの。ねえ? 普段、あなたに抱かれていない時の私が何をしているか知っている? 早く、またあなたが会いに来てくれないかなって、わくわくしながらずっと待っているのよ? それでも我慢できなくなって、あなたの家の前でひたすらあなたが出てくるのを待ったりしているの。バカみたいでしょう? 10代の小娘みたいで嫌になっちゃう」

 そういえば、家を出るとセレナにばったり出くわすことがよくあった。

 セレナは堪えていたものを吐き出すように喋り続ける。
 そこまで好意を寄せられているとは思っていなかった。
 ただひたすら抱きまくっていただけのつもりだったが。

「あなたが戦に行くのが本当に怖いの。怖くてたまらないわ」

 そう言ってセレナは一瞬迷った後に、諦めたように力なく微笑む。

「……だから、戦に行っても、絶対に無事に帰ってきなさい。私もあなたがいないともう生きていけそうにないから」

「わかった」

 俺だって戦争で死ぬつもりはない。

 というか、どうしよう。
 セレナの想いに答える術が思い浮かばない。
 俺もセレナが好きだとでも言えばいいのだろうか。
 ルーナに対してもそうだが、それでは嘘をつくことになってしまう。
 そんな事はしたくない。
 セレナにはかなり情が移っているが、それはあくまでも身体が目当てなだけであって。
 俺はクズだから。

「大丈夫よ。小娘を追い出して、私を妻にしろなんて言わないわ」

 俺が困っていると、セレナはそんな勘違いをしていた。

「でも、今だけは、その、私だけを愛して欲しいの」

 セレナが何を求めているかなんて、すぐにわかった。
 月明かりに照らされたセレナは幻想的なまでに美しい。
 俺はそんなセレナの唇に、そっと口づけをする。
 当然、それだけでは収まりそうにない。

「なあ、時間を」

「もうとっくに止めてるわよ」

 それならばと、俺はセレナの青いドレスを少し肌蹴させた。
 そして全力でセレナを抱いた。
 せめて、身体だけでもと思いながら。
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