ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第四章 竜騎士編

第123話 レティーお嬢様の依頼 ②

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 なぜこんなことになったのだろう。
 反乱の鎮圧とは、レティーお嬢様とキャッキャウフフしながらにゃんにゃんする素敵イベントじゃなかったのか。
 だというのに。

「えー、でも、レティーお嬢様、あの時に言いましたよ」

「ふふ、そんな事を言ってませんよ。ピートったら冗談ばかり」

 俺の5メートル程、前方ではピートとレティーお嬢様が物凄く楽しそうに会話している。

 なぜかピートもついてきたのだ。
 そういえば、ピートはレティーお嬢様の事が好きだった。
 よく考えたら、ついてくるのは当たり前なのだが。

 出発するなり、ピートとレティーお嬢様は2人で楽しそうに会話を始めた。
 コミュ力の貧弱な俺は2人の会話に入っていくことが出来ず、こうして離れた場所でただピートの死を願ってるというわけだ。

 しかも、更に最悪なことに。

「ふん! ふん! はあはあ! アサギリさんも一緒に如何ですか? こうすれば進みながら筋肉を鍛えられますよ?」

 俺の隣では暑苦しい筋肉男がうさぎ跳びをしていた。
 なぜかソフィーさんの旦那の筋肉までついてきたのだ。
 畑仕事が楽すぎてやることがなく、暇だったらしい。

 筋肉は相変わらず冬だと言うのにタンクトップ一枚だった。
 ついでに、無駄にうさぎ跳びをしているせいで汗だくだ。
 隣から濃厚な汗の臭いがぷーんと漂う。

 今、俺たちはフィンデル子爵の領地で起きた農民反乱の鎮圧に向かっている最中だった。
 まだ出発してから2、3時間しか経っていない。
 農民反乱が起きた場所は結構近くて、街道沿いに進んでいけば明日中には現場につくらしい。

 ちなみに、俺たちを上空から俯瞰するとこうなる。

 ピート&レティーお嬢様、かなり離れて、俺&筋肉。

 今すぐ帰りたい。
 せめて、筋肉から離れたい。

 歩く速度を上げてみる。
 すると、ぴょんぴょんと筋肉うさぎが暑苦しくついてきた。
 なんでついてくるんだよ!?

「ははは! せっかくですので、アサギリさんと漢同士の会話を楽しみたいですからな! ところで、アサギリさんはどの筋肉が好きですか?」

 1ミリも興味ない話題だった。
 うう、なんでこんな事に。

 前方ではピートが楽しそうに騎乗のレティーお嬢様と会話している。
 そんなピートの横顔を眺めながら、俺は先の戦争でピートを庇ったことを死ぬほど後悔した。
 あの時、亡きものにしておくべきだった。
 大体、こうして仲良く会話をしている2人を眺めていると、レティーお嬢様も結構……。

 悔しいが俺の会話スキルでは、ピートからレティーお嬢様を奪う事はできそうにない。
 俺が得意なのは、犯罪スレスレのスキンシップで相手を肉欲の虜にするという抜きゲーの主人公かと言いたくなるようなワザだ。
 犯罪スレスレというか、犯罪な気もするがここは異世界なので良しとする。
 だが、今はピートが邪魔でそのワザを使うことが出来ない。

 なので、今夜辺り埋めようと思う。
 所詮、ピートはモブキャラだ。
 この俺ですらちょいちょい存在を忘れるような男を埋めた所で誰も気づかないだろう。
 ついでに、隣の筋肉も埋める。
 今現在調子に乗っているピートを戒めるためにも、筋肉と重ねて埋めてやる。
 暗い土の中で、筋肉のワキガに苦しめばいいのだ。
 ちゃんと空気穴は開けておいてやるので、命の危険はない。
 帰り際に掘り返してやる。
 その時には、レティーお嬢様は俺のものになっているがな。
 ふふふ。

 俺は調子こくピートに暗い笑みを向けた。

「ところで、アサギリさん、無酸素運動と有酸素運動についてはご存知ですかな?」

 その後は、延々と筋肉トークを無視し続けた。
 筋肉トークは意外と科学的でイラッとした。
 唯一、俺が食いついたのはソフィーさんがなかなかいい大胸筋をしているらしいということだけだった。
 今度確かめてみようと思う。



 日が暮れてきた辺りで、俺たちは夜営の準備を始めた。
 といっても、焚き火を熾して、レティーお嬢様の天幕を用意しただけだ。
 天幕で寝るのはレティーお嬢様だけで、男3人は地べたに雑魚寝である。

 持参した携帯食料で簡単な食事をとると、レティーお嬢様は天幕に入っていく。

「……コウ、本当に私が天幕を使って良いのですか? 立場的には爵位を持っているコウが使うべきだと思うのですが……私はコウにお願いして来てもらっている立場ですし」

 天幕に入り口を開けながら、レティーお嬢様はそんな事を言った。
 俺に遠慮してくれているらしい。

「いえいえ、女性のレティーお嬢様が使って下さい」

 俺は別に雑魚寝でも構わないし、何よりも夜中にすべきことがある。
 だいたい、その天幕レティーお嬢様のだし。

「……そうですか。それではありがたく使わせて頂きます。明日もよろしくおねがいしますね」

 レティーお嬢様はそう言って地味な笑顔を見せた。
 癒される。

 レティーお嬢様が天幕に消えると、男3人だけが残された。
 吐きそうになった。

「……さて、それじゃあ、俺は辺りを警戒してくる。コウはゆっくり休んでくれ。悪いですけど、ダンさんは後で俺と交代してくださいね」

「承知! 寝ずの番をするのは、我らアサギリ卿の家臣の務めですからな」

「そうですね」

 ピートと筋肉がそんなやり取りをしていた。
 え、こいつら俺の家臣だったの??
 関羽と張飛みたいなものだろうか。
 いやいや、ピートと筋肉なんて金旋と韓玄くらいだろう。
 ……天下が取れる気がしない。
 取る気もないが。

 ピートが周囲の警戒に行ってしまうと、俺と筋肉だけが残された。
 筋肉が寝るのを待って、ピートを始末しに行こうと思う。

「さて、それでは私は休ませて貰いますぞ。……ぐうぐう」

 寝るの早っ!
 筋肉は目を閉じて3秒も経たないうちにいびきをかき始める。
 まさかのの○太くん超えである。
 早く寝て欲しかったのでいいのだが。

 筋肉を起こさないように気をつけながら立ち上がる。
 そのまま糞ガキ(ピート)の後を追った。



 月明かりの下、ピートはとぼとぼと歩いていた。
 昼間はあれだけ楽しそうにレティーお嬢様と会話していたのに、今は元気無さそうに見える。
 解せぬ。

「……眠れないのか?」

 俺に気づいたピートがそんな声をかけてきたので、頷いておいた。
 埋める前に、まずは嫌味を言おうと思う。

「昼間は随分、レティーお嬢様と仲よさげだったなあ!? ああん!?」

 軽く嫌味を言うつもりが、嫉妬全開のインネンをつけてしまった。
 俺もまだまだ若い。

「……レティーお嬢様とは子供の頃からの付き合いだからな。そう見えるのも当然さ」

 俺のインネンに全く動じる事なくピートはそう答える。
 やだ、意外と大人。
 俺がチンピラに見えてくるのでそういう反応やめて欲しい。

「でも、それだけだ。俺はそれ以上にはなれない」

 そう言って、ピートは力なく項垂れる。

 ……ふむ。

「なんでそれ以上になろうとしないんだ?」

 ふとした疑問が口から出てしまった。

「……前にも言っただろう? 俺とレティーお嬢様じゃ身分が違いすぎるって」

 ピートは一瞬押し黙った後、弱々しく笑いながら言った。
 現代日本育ちの俺にはいまいちピンと来ないが、ここはそういう時代なのだろう。

 いや、よく考えたら俺にも近い経験があった。
 以前、会社の先輩に連れられて合コンに行ったことがある。
 正直、そんなの行かないで早く帰ってゲームしたかったが、当時新人だった俺は断れなかったのだ。
 その合コンには、桁外れに美人の女性が参加していた。
 でも、誰もその女性に声をかけなかった。
 その女性がメガバンクの頭取秘書だったからだ。
 底辺ブラック企業の社員が釣り合う相手じゃなかった。
 今にして思えば、なんでそんな上流階級が先輩の合コンに参加していたのかわからないが。
 ピートを見ていて、その時の事を思い出した。

 多分、ピートはそんな憧憬に近い感情をレティーお嬢様に抱いているのだろう。

 ただ、どうしても解せないことがある。

「お前が身分を気にするのもなんとなくわかるんだけどさ、俺の見る限りレティーお嬢様も――」

 その時、突然、抑えきれない吐き気が込み上げてきた。
 思わず、その辺にえろえろーと吐いてしまう。

 お、俺は何を言おうとしているんだ!?
 この糞ガキを埋めて、レティーお嬢様を手に入れようとしていたんじゃないのか!?

「ど、どうしたんだ? 大丈夫か、コウ!?」

 俺を心配したピートが慌てながら駆け寄ってくる。
 そんなピートを見つめながら。

(……お前まで、私を置いていかなくてもいいでしょうに)

 そんなセリフを言ったレティーお嬢様の悲しそうな顔が思い浮かんだ。

「……れ、レティー……お嬢様も、お、お前の……お、お前に気があるように、見える、ぞ」

 こみ上げる吐き気を堪えながら、とりあえずそう口にした。
 それなのに、なんで押し倒さないんだよと思うのだ。

 というか、なんでこんなことを言ってやらなきゃいけないんだろう。
 ピートのためでは決してなく、レティーお嬢様のためだ。
 なんか腑に落ちないが、レティーお嬢様には幸せになってもらいたい。

「そ、そうかな?」

 ピートはそう言って、にへらっとだらしなく笑った。
 かなりイラッとしたので、とりあえず拳骨を落とす。

「い、痛! な、なんで殴るんだよ!?」

 くそ、ピートのくせに。
 ピートのくせに。
 …………。
 ……。
 はあ。

 物凄く複雑な感情が渦巻く中、俺は心中でため息をついた。
 仕方ない。

「……もうレティーお嬢様押し倒しちゃえよ。多分、強引に行けばあの子ヤれる気がする。お前なら尚更な」

 物凄く腑に落ちないが、そんな助言をピートにしてみた。

「は、はあ!? だから、貴族のお嬢様にそんなことできないってば」

 ピートは顔を真赤にして慌てている。
 なんと童貞臭い。

「貴族じゃなくせばいい。そのまま犯しまくって、お前の嫁にしろ。フィンデル家には帰すな。多分、レティーお嬢様はこのまま貴族でいてもいいことがない」

 前回の魔族侵攻戦も、今回の農民反乱も大事な娘にさせる事ではない。
 あのガマガエル子爵はクソ野郎だ。
 余計なお世話かも知れないが、レティーお嬢様はあのガマから引き離すべきだと思う。

「そりゃ俺もそう思うけど……でも、俺は……」

 ピートはウジウジと悩みだす。
 あーじれったい。

「お前がやらないなら、レティーお嬢様は俺の女にするぞ。言っておくが、俺はこの中指だけでレティーお嬢様を落とす自信がある」

 そう言って、中指をくいくい動かしてピートに見せつける。

「……なんでそんな蛇みたいに指が動くんだ」

 房中術レベル2を舐めるなよ。
 あのカンナさんですらあひあひ言わせた俺の中指に、レティーお嬢様が敵うはずがない。

「……俺は」

 ピートは拳を握りしめながら、考え込んでいる。
 まだ覚悟が決まらないのだろうか。

「いいか? レティーお嬢様が一人でいる今がチャンスなんだからな?」

 今ならレティーお嬢様がピートの嫁になってもいくらでも言い逃れ出来る。
 最悪、農民反乱の鎮圧中に事故に巻き込まれて死んだことにすればいい。
 俺がレティーお嬢様を落とした時は、そうやってガマガエルに言い訳しようとしていた。
 警察のいないこの世界ならどうとでもなるだろう。

「…………」

 ピートは何も言わない。
 黙って、ひたすら考えこんでいる。

 なんかアホくさくなってきたので、ピートを置いてその場を立ち去る。
 もう今日はさっさと寝ようと思う。
 あーピート埋めるつもりだったのになー。
 まあ、このままピートがヘタれたら俺がレティーお嬢様を頂く。
 ピートが男を見せても、それはそれでそのうち俺が寝取る。
 結局は、レティーお嬢様は俺のものになるのでいいのだが……。
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