ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

文字の大きさ
127 / 310
第四章 竜騎士編

第126話 第3次魔族侵攻戦

しおりを挟む
 純白のドラゴン、フェルなんとかさんの背中に乗って大空を駈ける。
 雲を真下に眺めながら、無限に拡がる大空を飛ぶのは気持ちいい。
 めちゃくちゃ寒いけど。

 王宮から魔族侵攻の兆候ありとの報せを受けたのは10日程前だった。
 そういえば、そろそろ前回の魔族侵攻から3ヶ月経つ。
 この前、変則的な大侵攻があったので今回はないと思っていたのだが、普通に攻め込んできたらしい。
 魔族の物量はどうなっているんだろうか。

 ドラゴン蛮族達にボコボコにされた王国軍の傷はまだ癒えておらず、領主軍が今回の主力らしい。
 前回の戦争を思い返すと、領主軍は足止め程度にしかなっていなかった。
 とても主力が務まるとは思えない。
 毎回の事ながら、今回の戦争もそこはかとなく不安だ。

 ちなみに今回、うちの村から参戦するのは俺とドラゴンだけだ。
 ピートは蛮族戦で足手まといにしかならなかったので、今回は置いてきた。
 今頃、悔しがりながらヴァンダレイジジイに稽古をつけてもらっているはずだ。
 ついでにヘタれた根性も叩き直して貰うと良い。
 好きな女を他の男に譲るとか。
 ヘタレにも程がある。
 しかも、レティーお嬢様もピートに気があるというのに。
 なんで押し倒さないんだよ、あのモブ野郎!!
 俺は未だにピートに対して怒っていた。


 今回の魔族侵攻戦は、前回と同じように西の国境で行われるそうだ。
 毎回オークに攻められているあの場所は、フレジア平原と言い、かつては豊かな穀倉地帯だったらしい。
 今では度重なる戦争で荒れ地となっているそうだが。
 フレジア平原までは、俺んちから徒歩で10日程の距離がある。

 なので、王宮からの報告を受けてからすぐに出発しなきゃいけなかったのだが、フェルなんとかさんが本気になれば半日で着くとか言うので、俺はゆったりとルーナ達を抱きまくって英気を養うことが出来た。
 戦の前は昂るというが、皆、いつもよりすごいと涎を垂らして喜んで? くれた。

 もちろん、ただ女を抱きまくっていたわけではない。
 先日、受け入れたばかりの新規住民の住居もあらかた完成させることが出来た。
 新規住民は全部で19世帯で、一応、全ての家族の要望を聞いて家を建ててみたが、一人だけどうしても不満そうなお父さんがいた。
 あれはなんだったのだろう。
 コミュニケーションを取るのが苦手なので深くは突っ込まなかったが。

(主ヨ、ソロソロ着クゾ)

 脳内にドラゴンのフェルさんの声が響く。
 もうついたのか。
 本当に家を発ってから半日くらいしか経っていない。
 金持ちがプライベートジェットを持つ気持ちがわかった。



 フレジア平原の上空でフェルさんがバサバサと翼を羽ばたかせて滞空する。
 遥か下方を見下ろすと、わらわらと王国軍が集結している所だった。
 そこから1キロくらい離れた場所にオーク達が同じく集結している。
 まだ戦端は開かれていないらしい。
 余裕で間に合ってしまった。

 というか、こうして上から俯瞰するとよくわかるのだが、王国軍とオーク共の戦力比がやばい。
 オーク共は王国軍の3倍くらいいるように見える。
 物量で圧倒的に負けている。
 うーん。
 どうするつもりなんだろう。
 とりあえず、着陸して王国軍に合流するか。
 ただその前に。

「お前、あのオーク共殲滅できるか?」

 今現在集結中のオーク共は以前フェルさんが薙ぎ払ったオーク共よりだいぶ多く見える。
 いくらフェルさんでもあの数はキツイんじゃないだろうか。

(愚問!)

 脳内に響いたフェルさんの声は、バカにするなとばかりに気色ばんでいた。
 そのまま、フェルさんが上体を起こす。
 そして、きゅいーんと何かをチャージする音が聞こえてきた。
 え、何しようとしてんの?

「ちょ! おま――!」

 慌てて静止しようとするが、間に合わず。
 ドラゴンは濃密な魔力の閃光を放った。

 閃光は以前と同じようにオーク共の集結地点に着弾すると、大地をえぐるように一閃する。
 一時の不気味な静寂の後。
 目が眩むような爆炎。
 蒼穹を穿つ火柱。
 圧倒的な熱量。
 そして、立ち上るキノコ雲。

「お前! 何勝手に打ってんだよ!?」

(……殲滅シロトイウ命令デハナカッタノカ?)

「ちげえよ! 殲滅できるか聞いただけだろうが!? 何勝手に殲滅してんだよ!?」

 ゴゴゴとキノコ雲が立ち上る場所は、大地が真赤になるほど灼熱している。
 多分、オークは一匹も生きていない。
 敵だからそれでいいのだが。
 だが、勝手にやられると本気で困る。
 ひとりでに発射される核ミサイルのようなものだ。
 世界滅亡の予感しかしない。

(……勘違イシテシマッタ。スマナイ、主ヨ。……怒ッテイルカ?)

 フェルさんは俺の機嫌を伺うようにくるるーと喉を鳴らす。
 可愛くねーから!!!
 とりあえず、乗っかっているフェルさんの背中をバシッと叩いた。

(……痛イ)

 うるせ! 罰だ!
 俺は腕を組んで、怒りを露わにしてみた。

「…………」

 ふと思った。
 これでフェルさんが逆ギレしたら俺はこの世から消滅するかもしれない。
 背筋が冷たくなる。
 セレナですら苦戦するとか言ってるドラゴン相手に俺はなぜこうも高圧的な態度を取れるのだろう。
 俺って結構すげえな。
 自分で自分を褒めてやりたくなった。

(スマナイ、主ヨ、本当ニスマナイ)

 フェルさんは必死に何度も謝っているので、多分逆ギレは無さそうだが。
 ノリコさんの神器マジでチート。



 とりあえず、集結中の王国軍の元に降下していく。
 中世レベルとは言え、王国軍はれっきとした軍隊だ。
 一兵士である俺が勝手に、先制攻撃を加えるって、軍隊的にどうなんだろう。
 軍人にとって命令は絶対だって、ばっちゃが言ってた!
 ……絶対に怒られる気がしてならない。
 まあ、悪いのはフェルさんであって俺ではないのだ。
 いざとなったらフェルさんを売ろうと思う。

「うおおおお! アサギリ卿!」

「アサギリ様ー!!」

「あんたは軍神だ! アサギリ卿ー!」

 王国軍の兵士たちが大歓声を上げていた。
 まさかのアサギリコールまで沸き起こる。
 どうしよう。
 すごく下りづらい。

 とりあえず、地面すれすれをフェルさんに旋回してもらう。
 兵士たちは上空の俺を見ながら、剣や槍を振り回している。
 その顔は皆、一様に晴れやかな笑顔だ。
 底辺サラリーマンだった俺にとって、こんな大勢のニンゲン達にこんな顔を向けられるのは初めての経験だった。
 王国軍はざっと見た感じ数万はいる。
 数万人が俺に歓声を向けるとか。
 もはや対人恐怖症じゃなくたって漏らすレベルだ。

 兵士たちに混じって見知った顔も何人かいた。
 いつもの大将軍や、王宮でルーナに紹介された貴族たちだ。
 王宮の貴族たちの顔なんてほとんど覚えていないが、なんとなく見覚えはある。
 それに、紺色の髪の美女の姿もあった。
 ゼービアさんだ!
 ゼービアさんはぽかんとした顔で、上空を旋回する俺を眺めている。
 全力で手を振ってみた。
 それに気づいたゼービアさんは、わずかに動揺した後、そっぽを向いてしまう。
 その顔は上から見ても明らかなほど真っ赤になっている。
 うーん、処女臭い。
 早く貰ってやらねば。

 とはいえどうしよう。
 今すぐ下りてゼービアさんを口説きたいところだが、この大歓声の中に降りる勇気はない。

「おい、あの美女だけをかっさらう事はできるか?」

 急降下してゼービアさんだけをピックアップできないだろうかと思ってフェルさんに聞いてみた。

(……他ノ人間ドモヲ蹴散ラシテ良イノナラ出来ル)

 うーん。
 正直、ゼービアさん以外の人間はどうでもいいが、さすがにまずいかな。
 今回は諦めるか。

 チラリとフェルさんがやらかした爆心地に目をやる。
 まだ煙が立ち込めているが、焼け焦げた大地に生命の気配はない。
 もう今回の戦争は完全勝利でいいだろう。

 もう既に勝手に先制攻撃という重大な命令違反を犯しているので、こうなったら勝手に戦線離脱もしちゃうかと思った。
 どうせ後で怒られるのだ。
 ゼービアさんのせいでムラムラしてしまったので、帰ってルーナを抱こうと思う。

 そんなわけで、俺は一度も戦場に降りることなく、そのまま飛び去った。
 今回の戦争は楽で良かった。
 毎回こうだと良いな。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――

金斬 児狐
ファンタジー
 ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。  しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。  しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。  ◆ ◆ ◆  今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。  あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。  不定期更新、更新遅進です。  話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。    ※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...