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第四章 竜騎士編
第147話 男の本懐
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俺の土下座を見た厳しい顔の店長は重苦しいため息をついた。
「……ろーんという言葉に聞き覚えはございませんが、要はツケ払いにしてほしいということですかな?」
ツケ払い。
恐らく大筋は合っている。
飲み屋でよく聞く言葉だが、金利とか取られなそうでローンよりありがたいかもしれない。
「そうです。金貨3000枚程ツケにして頂ければと……」
土下座しながらボソボソと言ってみた。
言いながら、3億円のツケとか出来るわけなくね? と思った。
しかも、今の俺の見た目は10代の小僧である。
そんなもんに3億が払えると思うわけない。
案の定、店長さんはしばし考えた後。
「……良いでしょう」
良いのかよ!?
意外すぎて逆に焦るわ。
なぜ???
いや、俺としてはありがたいんだけど。
ちょっと都合が良すぎる気がする。
これはアレだろうか。
内臓売られちゃったり、マグロ漁船に乗せられちゃう流れだろか。
なにそれ怖い。
「はは、意外ですかな? 心配召されるな。こちらにもちゃんと打算があるのですよ」
思わずビクビクしていると、店長はそう言って意外と人の良さそうな笑顔を浮かべてくれる。
ガキに三億貸すメリットが全然わからないが。
「失礼ですが、コウ・アサギリ様ですな? 先日、子爵とハイランダーになられた」
どうしよう。
なぜか名前がバレてる。
「黒髪黒目で若く、金貨1000枚もの資産を持ち、美しいエルフの奥様を連れている方をアサギリ様だとわからないものは、商人失格でございます。未来の伯爵様だともっぱらの噂でございますれば」
まじかよ。
まるで有名人みたいじゃんか。
風俗とか気軽に行けなくなりそうで困る。
すでに昨日風俗行っちゃったんですけど。
「アサギリ様ならば、金貨3000枚払うことなど容易いでしょう。こちらとしても、これを機会に今後共贔屓にしていただければ、大いに利益になります」
そう言って、店長さんは厳しい顔に似合わぬ営業スマイルを浮かべる。
そりゃ贔屓にするけどさ。
俺って金貨3000枚支払うの容易いのだろうか。
そういえば、毎月王宮から給料が支払われているっぽいが、家に持ってきてくれるのはオッサンなのでルーナに任せきりだった。
実際にいくら払われているかは知らない。
まあ、今回はフェルさんの背中に乗っているだけで金貨1000枚もらえたのだ。
今後もフェルさんに頑張ってもらえば、金貨3000枚くらいちょろいかも知れない。
なんという他力本願。
とにかく、これで金の話はカタがついた。
土下座をあっさり崩して立ち上がると、店長さんが握手を求めてきたので応じる。
その後は、借金の契約書のような書類にサインを求められた。
字がかけないので、おどおどしていると拇印でも良いと言ってもらえた。
ほっとしながら拇印を押したが、字が読めないで契約書の内容を全然確認出来なかった。
多分、さっきの店長さんの感じから、実は金利がトイチでしたとかは無さそうだが。
そろそろ文字も覚えなきゃなと思う。
「ご注文の指輪は一月ほどお時間を頂きます。完成し次第、ご自宅にお送り致しますので……」
近くに立っていたあのイケメンがそんな事を言っていた。
その表情は物凄く微妙なものだった。
ずっと偉そうにしていた俺が突然土下座してへりくだったからだろうが、気にしたら負けなので、相変わらず偉そうに頷いておいた。
店を出る際は、店員総出で見送ってくれた。
閉店時間をかなりオーバーしているようなので、ちょっと申し訳なくなったが、社畜出身なので気にしない。
店の外では、ルーナが心配そうに待っていた。
「……随分、時間かかったけど、もしかしてお金足りなかったか? わ、悪い。私指輪の値段全然確認してなかった」
ルーナは今にも泣き出しそうな表情を浮かべている。
ルーナの選んだ指輪は一億円だったので、全然足りなかったのだが。
いかに借金まみれであろうと、女にそれを察せられてはいけない。
なぜならかっこ悪いから。
それがクズってもんだろう。
「大丈夫。ちゃんと足りたから心配するな。一月くらいで出来るってさ」
「そ、そうか。良かった! えへへ……楽しみだな、指輪」
あっさりと俺の言葉を信じたルーナは、嬉しそうに俺の腕にしがみついてくる。
ちょっとくらい疑えよと思ってしまう。
いつか借金まみれの男に騙されて、そのうち借金のカタにソープに沈められそうで怖い。
これからも俺がしっかり守ってやらなきゃなと思った。
そんな私は既に3億の借金を背負っているわけですが(笑)。
ルーナと腕を組んで歩きながら、皆と別れた場所に向かう。
あれからだいぶ時間が経ってしまった。
さすがにもうホテルに帰ったかもしれない。
「……そういえば、毎月、王宮から給料出てるじゃん? あれっていくらくらいもらってるんだ?」
道すがら、一応ルーナに給料を聞いてみる。
借金を背負ったことだし、自分の年収くらい把握しておかないとヤバイ気がしたのだ。
「なんだ、突然? ええと、大体毎月金貨10枚ちょっとかな」
毎月金貨10枚ということは、100万円だから、年収にすると1200万円?
え、1000万プレーヤーじゃん。
稼働時間ゼロなのに、社畜時代の3倍近い年収とか。
それはそれでちょっと納得いかないんだけど。
「今回、出世したからもう少し増えると思うぞ。……えへへ、頼りになる旦那様だな」
ルーナが嬉しそうに頬をすり寄せてくる。
更に増えるらしい。
ホント仕事に対する苦労と報酬が比例していない気がする。
まあ、今は報われているからいいんだけど。
それだけもらえてれば、3億も返せそうだし。
……30年後くらいに。
皆と別れた場所まで来ると、夜遅くだからか、そこは人気がなかった。
そんな中、怪しく光る真っ赤な瞳が見える。
「……随分遅かったのね。待ちくたびれちゃったわ。他の皆は先に宿に帰らせたわよ」
セレナが一人で待っていてくれたらしい。
いくらなんでも、こんな夜更けに女が一人でいては危険な気がするのだが。
「退魔師(エクソシスト)に3回、ナンパで7回声をかけられたわ。……全員、消滅させたけど」
まあ、セレナサンに危険なんてあるわけなかった。
つうか消滅て。
何かの隠語だと信じたい。
「なあなあ、コウがな? すっごく真剣に指輪を作ってくれてな」
「……そう。良かったわね」
「うん!」
ルーナが嬉しそうに宝飾店での出来事をセレナに聞かせている。
セレナは慈愛に満ちた表情でルーナを見つめていた。
この2人はたまに仲良く見えるので不思議だ。
ホテルに戻ると、皆もう寝る支度をしていた。
「おかえりなさい、コウさん。お夕食とってありますよ」
パジャマに着替えたミレイがそう言って出迎えてくれる。
ルーナとセレナの3人で遅い夕食を食べた。
ここのホテルは食事も豪華で、何やら銀色のボール状の蓋に料理が入っているという、映画でしか見たことのない食器に入っていた。
でも、冷めているからか、味は普通だった。
ルーナやレイスのアントニオさんの料理のほうが美味いと思う。
「あ、コウくん。お風呂まだ温かいですから入っちゃってください」
食事を終えた頃、湯上がりらしくホカホカしたカンナさんにそんな事を言われた。
このホテルは風呂まで完備しているらしい。
さすが王侯貴族が泊まるホテルである。
まあ、日本出身の俺にとっては風呂があるなんて当たり前なのだが。
せっかくなのでルーナと風呂に向かう。
部屋に備え付けられた風呂は、そんなに大きいものではなかった。
2、3人は入れる大きさなので、普通に考えたらデカいのだが、セレナ邸の大浴場に比べれば小さい。
湯船には花びらが浮いていて、そこはかとないセレブな感じがする。
こんなシャレオツな風呂に俺が入って良いのだろうかと気後れしてしまうのだが。
「懐かしいな。実家のお風呂にもよく花びらが浮いていたっけ」
貴族出身のルーナさんからすると懐かしいらしい。
これだからお嬢様は。
ルーナは全く気後れすることなく、普通に服を脱いでいくのだが。
「……ここからは脱がせて欲しいな?」
下着姿になったルーナが恥ずかしそうに俺を仰ぎ見る。
日々の努力の甲斐があってか、最近のルーナは俺をムラムラさせるのが上手い。
女のブラを取るのが、プレゼントのリボンを解くようにわくわくするとか、我ながらだいぶ頭のおかしい事を言っていた俺の言葉を覚えていてくれたらしい。
もう色々と辛抱たまらなくなって、ルーナの舌をねっとりと絡め取りながら、ブラのホックを外す。
「……あっ……コウ……大好きだぞ」
熱に冒されたように顔を上気させながら、ルーナがつぶやく。
パンツを下ろすと濁った糸を引いていた。
そのまま、ルーナの乳をこねくり回しながら、花びらの浮かんだ風呂に浸かった。
芳しい花の香りがした。
「……なあ、コウ、昨日はしなかったから、その……」
一日抱かなかっただけで溜まったらしい裸のルーナが愛おしそうに俺の胸板を撫でる。
とっくにスイッチの入っているルーナの息は荒い。
昼間にミレイを抱いたっきりで破裂しそうな程溜まっていた俺は、風呂の中でまずは一発しようと思った。
「……私も入るのだけれど。普通にお風呂に入れないの? あなた達は」
ルーナと熱く見つめ合っていると、そんな声が聞こえた。
振り返ると、そこには見事な乳をぷるんとさせた全裸のセレナが立っていた。
「えええ!? な、なんでお前が入ってきてるんだ!?」
「はあ? 早くしないとお風呂が冷めちゃうからに決まっているでしょう? 寒空の下、ずっとお前たちを待っていたのだから、身体が冷え切ってしまったわ」
驚くルーナを気にもせず、セレナはさっさとお湯をすくって身体を流す。
「吸血鬼なんだから、身体が冷えたって大丈夫だろう!? い、今は夫婦の入浴の時間だから後にしろ!!」
「嫌よ。お前たちが終わるのを待っていたら、せっかくのお風呂がドロドロになっちゃうでしょう? お前の汁の混じったお風呂になんか入りたくないわ」
「し、汁って……」
セレナのごもっともな指摘にルーナが顔を赤くしている。
まあ、たしかにあのまま続けていたらルーナと一緒に風呂もドロドロになっていただろう。
俺汁とルーナ汁の割合は9対1くらいだろうが。
「ちょっと詰めなさい」
身体を流し終わったセレナが湯船に入ってくるので、ちょっと脇にズレた。
意外と狭い風呂なので、セレナの色んな部分が身体に当たる。
セレナの身体はどこに触れても柔らかい。
「わあああ! 当たってる! なんか大きいのにコウの腕が当たってる!! 見ちゃダメだ! 私以外の女の裸を見ちゃダメだってば!!!」
既に泣いているルーナが俺の目を覆い隠すように顔を抱きしめてくる。
顔全体にルーナの胸がむにゅっと押し付けられて、素敵な感触がした。
あれ、ここは天国かなと思った。
「……なかなかいいお湯加減ね」
慌てるルーナを全く気にしないセレナがマイペースに俺にもたれかかってきた。
仕方ないので、セレナの腰をそっと抱く。
「お、おい! くっつきすぎだぞ!! なんでこうなるんだ!! せっかく今からコウとエッチしようとしてたのに!! セレナのばかーーー!!」
「……お前、そういう事はもう少しボヤかして言いなさい? 今更言っても遅いかもしれないけれど、女の子なんだから慎みを持ちなさい?」
完全に泣き出してしまったルーナの腰を同じく抱きしめながら、お湯に浸かる。
セレナとルーナは相変わらずギャーギャーとうるさいが。
美女2人を両手に抱きながら、風呂に入るとか。
うっ、目頭が熱く。
「……コウ? なんで泣いてるんだ? お腹痛くなっちゃったのか?」
途端に心配そうな顔をしたルーナが俺を覗き込んでくる。
30超えて腹痛で泣くとかどんな重病だよと思うのだが。
ただ、今はこのプライスレスな時間に感謝の気持ちしかなかった。
神様ありがとう。
お母さん、俺を産んでくれてありがとう。
アサギリ・コウは今、男の本懐を遂げました。
「この子のアソコ見てみなさいよ。あんなにバキバキになってるんだからお腹痛いわけ無いでしょう」
セレナが俺の息子を見ながら、呆れていた。
セレナとルーナのせいで息子は湯船から顔を出しそうな程、勃起していた。
やだ、恥ずかしい。
「お、おい! これは私のなんだから、お前は見るな!! ……でも、ホントだ。すごくおっきくなってる」
同じく股間に目を向けたルーナは、怒りながらもゴクリと生唾を飲み込んでいた。
「……ねえ、お前どれだけエロいの? 怒るのか欲情するのかはっきりしなさい?」
「よ、欲情なんかしてないもん!!」
お湯をバシャバシャとはねさせながら、ルーナとセレナが喧嘩している。
普段なら胃が痛くなるところだが、気にせずにルーナの張りのある尻と、セレナのなめらかな尻をなでなでする。
なんていい湯なんだ。
王都に旅行? に来て本当に良かったと思いながら、俺は鼻をすすった。
「……ろーんという言葉に聞き覚えはございませんが、要はツケ払いにしてほしいということですかな?」
ツケ払い。
恐らく大筋は合っている。
飲み屋でよく聞く言葉だが、金利とか取られなそうでローンよりありがたいかもしれない。
「そうです。金貨3000枚程ツケにして頂ければと……」
土下座しながらボソボソと言ってみた。
言いながら、3億円のツケとか出来るわけなくね? と思った。
しかも、今の俺の見た目は10代の小僧である。
そんなもんに3億が払えると思うわけない。
案の定、店長さんはしばし考えた後。
「……良いでしょう」
良いのかよ!?
意外すぎて逆に焦るわ。
なぜ???
いや、俺としてはありがたいんだけど。
ちょっと都合が良すぎる気がする。
これはアレだろうか。
内臓売られちゃったり、マグロ漁船に乗せられちゃう流れだろか。
なにそれ怖い。
「はは、意外ですかな? 心配召されるな。こちらにもちゃんと打算があるのですよ」
思わずビクビクしていると、店長はそう言って意外と人の良さそうな笑顔を浮かべてくれる。
ガキに三億貸すメリットが全然わからないが。
「失礼ですが、コウ・アサギリ様ですな? 先日、子爵とハイランダーになられた」
どうしよう。
なぜか名前がバレてる。
「黒髪黒目で若く、金貨1000枚もの資産を持ち、美しいエルフの奥様を連れている方をアサギリ様だとわからないものは、商人失格でございます。未来の伯爵様だともっぱらの噂でございますれば」
まじかよ。
まるで有名人みたいじゃんか。
風俗とか気軽に行けなくなりそうで困る。
すでに昨日風俗行っちゃったんですけど。
「アサギリ様ならば、金貨3000枚払うことなど容易いでしょう。こちらとしても、これを機会に今後共贔屓にしていただければ、大いに利益になります」
そう言って、店長さんは厳しい顔に似合わぬ営業スマイルを浮かべる。
そりゃ贔屓にするけどさ。
俺って金貨3000枚支払うの容易いのだろうか。
そういえば、毎月王宮から給料が支払われているっぽいが、家に持ってきてくれるのはオッサンなのでルーナに任せきりだった。
実際にいくら払われているかは知らない。
まあ、今回はフェルさんの背中に乗っているだけで金貨1000枚もらえたのだ。
今後もフェルさんに頑張ってもらえば、金貨3000枚くらいちょろいかも知れない。
なんという他力本願。
とにかく、これで金の話はカタがついた。
土下座をあっさり崩して立ち上がると、店長さんが握手を求めてきたので応じる。
その後は、借金の契約書のような書類にサインを求められた。
字がかけないので、おどおどしていると拇印でも良いと言ってもらえた。
ほっとしながら拇印を押したが、字が読めないで契約書の内容を全然確認出来なかった。
多分、さっきの店長さんの感じから、実は金利がトイチでしたとかは無さそうだが。
そろそろ文字も覚えなきゃなと思う。
「ご注文の指輪は一月ほどお時間を頂きます。完成し次第、ご自宅にお送り致しますので……」
近くに立っていたあのイケメンがそんな事を言っていた。
その表情は物凄く微妙なものだった。
ずっと偉そうにしていた俺が突然土下座してへりくだったからだろうが、気にしたら負けなので、相変わらず偉そうに頷いておいた。
店を出る際は、店員総出で見送ってくれた。
閉店時間をかなりオーバーしているようなので、ちょっと申し訳なくなったが、社畜出身なので気にしない。
店の外では、ルーナが心配そうに待っていた。
「……随分、時間かかったけど、もしかしてお金足りなかったか? わ、悪い。私指輪の値段全然確認してなかった」
ルーナは今にも泣き出しそうな表情を浮かべている。
ルーナの選んだ指輪は一億円だったので、全然足りなかったのだが。
いかに借金まみれであろうと、女にそれを察せられてはいけない。
なぜならかっこ悪いから。
それがクズってもんだろう。
「大丈夫。ちゃんと足りたから心配するな。一月くらいで出来るってさ」
「そ、そうか。良かった! えへへ……楽しみだな、指輪」
あっさりと俺の言葉を信じたルーナは、嬉しそうに俺の腕にしがみついてくる。
ちょっとくらい疑えよと思ってしまう。
いつか借金まみれの男に騙されて、そのうち借金のカタにソープに沈められそうで怖い。
これからも俺がしっかり守ってやらなきゃなと思った。
そんな私は既に3億の借金を背負っているわけですが(笑)。
ルーナと腕を組んで歩きながら、皆と別れた場所に向かう。
あれからだいぶ時間が経ってしまった。
さすがにもうホテルに帰ったかもしれない。
「……そういえば、毎月、王宮から給料出てるじゃん? あれっていくらくらいもらってるんだ?」
道すがら、一応ルーナに給料を聞いてみる。
借金を背負ったことだし、自分の年収くらい把握しておかないとヤバイ気がしたのだ。
「なんだ、突然? ええと、大体毎月金貨10枚ちょっとかな」
毎月金貨10枚ということは、100万円だから、年収にすると1200万円?
え、1000万プレーヤーじゃん。
稼働時間ゼロなのに、社畜時代の3倍近い年収とか。
それはそれでちょっと納得いかないんだけど。
「今回、出世したからもう少し増えると思うぞ。……えへへ、頼りになる旦那様だな」
ルーナが嬉しそうに頬をすり寄せてくる。
更に増えるらしい。
ホント仕事に対する苦労と報酬が比例していない気がする。
まあ、今は報われているからいいんだけど。
それだけもらえてれば、3億も返せそうだし。
……30年後くらいに。
皆と別れた場所まで来ると、夜遅くだからか、そこは人気がなかった。
そんな中、怪しく光る真っ赤な瞳が見える。
「……随分遅かったのね。待ちくたびれちゃったわ。他の皆は先に宿に帰らせたわよ」
セレナが一人で待っていてくれたらしい。
いくらなんでも、こんな夜更けに女が一人でいては危険な気がするのだが。
「退魔師(エクソシスト)に3回、ナンパで7回声をかけられたわ。……全員、消滅させたけど」
まあ、セレナサンに危険なんてあるわけなかった。
つうか消滅て。
何かの隠語だと信じたい。
「なあなあ、コウがな? すっごく真剣に指輪を作ってくれてな」
「……そう。良かったわね」
「うん!」
ルーナが嬉しそうに宝飾店での出来事をセレナに聞かせている。
セレナは慈愛に満ちた表情でルーナを見つめていた。
この2人はたまに仲良く見えるので不思議だ。
ホテルに戻ると、皆もう寝る支度をしていた。
「おかえりなさい、コウさん。お夕食とってありますよ」
パジャマに着替えたミレイがそう言って出迎えてくれる。
ルーナとセレナの3人で遅い夕食を食べた。
ここのホテルは食事も豪華で、何やら銀色のボール状の蓋に料理が入っているという、映画でしか見たことのない食器に入っていた。
でも、冷めているからか、味は普通だった。
ルーナやレイスのアントニオさんの料理のほうが美味いと思う。
「あ、コウくん。お風呂まだ温かいですから入っちゃってください」
食事を終えた頃、湯上がりらしくホカホカしたカンナさんにそんな事を言われた。
このホテルは風呂まで完備しているらしい。
さすが王侯貴族が泊まるホテルである。
まあ、日本出身の俺にとっては風呂があるなんて当たり前なのだが。
せっかくなのでルーナと風呂に向かう。
部屋に備え付けられた風呂は、そんなに大きいものではなかった。
2、3人は入れる大きさなので、普通に考えたらデカいのだが、セレナ邸の大浴場に比べれば小さい。
湯船には花びらが浮いていて、そこはかとないセレブな感じがする。
こんなシャレオツな風呂に俺が入って良いのだろうかと気後れしてしまうのだが。
「懐かしいな。実家のお風呂にもよく花びらが浮いていたっけ」
貴族出身のルーナさんからすると懐かしいらしい。
これだからお嬢様は。
ルーナは全く気後れすることなく、普通に服を脱いでいくのだが。
「……ここからは脱がせて欲しいな?」
下着姿になったルーナが恥ずかしそうに俺を仰ぎ見る。
日々の努力の甲斐があってか、最近のルーナは俺をムラムラさせるのが上手い。
女のブラを取るのが、プレゼントのリボンを解くようにわくわくするとか、我ながらだいぶ頭のおかしい事を言っていた俺の言葉を覚えていてくれたらしい。
もう色々と辛抱たまらなくなって、ルーナの舌をねっとりと絡め取りながら、ブラのホックを外す。
「……あっ……コウ……大好きだぞ」
熱に冒されたように顔を上気させながら、ルーナがつぶやく。
パンツを下ろすと濁った糸を引いていた。
そのまま、ルーナの乳をこねくり回しながら、花びらの浮かんだ風呂に浸かった。
芳しい花の香りがした。
「……なあ、コウ、昨日はしなかったから、その……」
一日抱かなかっただけで溜まったらしい裸のルーナが愛おしそうに俺の胸板を撫でる。
とっくにスイッチの入っているルーナの息は荒い。
昼間にミレイを抱いたっきりで破裂しそうな程溜まっていた俺は、風呂の中でまずは一発しようと思った。
「……私も入るのだけれど。普通にお風呂に入れないの? あなた達は」
ルーナと熱く見つめ合っていると、そんな声が聞こえた。
振り返ると、そこには見事な乳をぷるんとさせた全裸のセレナが立っていた。
「えええ!? な、なんでお前が入ってきてるんだ!?」
「はあ? 早くしないとお風呂が冷めちゃうからに決まっているでしょう? 寒空の下、ずっとお前たちを待っていたのだから、身体が冷え切ってしまったわ」
驚くルーナを気にもせず、セレナはさっさとお湯をすくって身体を流す。
「吸血鬼なんだから、身体が冷えたって大丈夫だろう!? い、今は夫婦の入浴の時間だから後にしろ!!」
「嫌よ。お前たちが終わるのを待っていたら、せっかくのお風呂がドロドロになっちゃうでしょう? お前の汁の混じったお風呂になんか入りたくないわ」
「し、汁って……」
セレナのごもっともな指摘にルーナが顔を赤くしている。
まあ、たしかにあのまま続けていたらルーナと一緒に風呂もドロドロになっていただろう。
俺汁とルーナ汁の割合は9対1くらいだろうが。
「ちょっと詰めなさい」
身体を流し終わったセレナが湯船に入ってくるので、ちょっと脇にズレた。
意外と狭い風呂なので、セレナの色んな部分が身体に当たる。
セレナの身体はどこに触れても柔らかい。
「わあああ! 当たってる! なんか大きいのにコウの腕が当たってる!! 見ちゃダメだ! 私以外の女の裸を見ちゃダメだってば!!!」
既に泣いているルーナが俺の目を覆い隠すように顔を抱きしめてくる。
顔全体にルーナの胸がむにゅっと押し付けられて、素敵な感触がした。
あれ、ここは天国かなと思った。
「……なかなかいいお湯加減ね」
慌てるルーナを全く気にしないセレナがマイペースに俺にもたれかかってきた。
仕方ないので、セレナの腰をそっと抱く。
「お、おい! くっつきすぎだぞ!! なんでこうなるんだ!! せっかく今からコウとエッチしようとしてたのに!! セレナのばかーーー!!」
「……お前、そういう事はもう少しボヤかして言いなさい? 今更言っても遅いかもしれないけれど、女の子なんだから慎みを持ちなさい?」
完全に泣き出してしまったルーナの腰を同じく抱きしめながら、お湯に浸かる。
セレナとルーナは相変わらずギャーギャーとうるさいが。
美女2人を両手に抱きながら、風呂に入るとか。
うっ、目頭が熱く。
「……コウ? なんで泣いてるんだ? お腹痛くなっちゃったのか?」
途端に心配そうな顔をしたルーナが俺を覗き込んでくる。
30超えて腹痛で泣くとかどんな重病だよと思うのだが。
ただ、今はこのプライスレスな時間に感謝の気持ちしかなかった。
神様ありがとう。
お母さん、俺を産んでくれてありがとう。
アサギリ・コウは今、男の本懐を遂げました。
「この子のアソコ見てみなさいよ。あんなにバキバキになってるんだからお腹痛いわけ無いでしょう」
セレナが俺の息子を見ながら、呆れていた。
セレナとルーナのせいで息子は湯船から顔を出しそうな程、勃起していた。
やだ、恥ずかしい。
「お、おい! これは私のなんだから、お前は見るな!! ……でも、ホントだ。すごくおっきくなってる」
同じく股間に目を向けたルーナは、怒りながらもゴクリと生唾を飲み込んでいた。
「……ねえ、お前どれだけエロいの? 怒るのか欲情するのかはっきりしなさい?」
「よ、欲情なんかしてないもん!!」
お湯をバシャバシャとはねさせながら、ルーナとセレナが喧嘩している。
普段なら胃が痛くなるところだが、気にせずにルーナの張りのある尻と、セレナのなめらかな尻をなでなでする。
なんていい湯なんだ。
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スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
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そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
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