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第五章 領地発展編
第176話 第4次魔族侵攻戦 ①
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フェルさんの背中に乗って、空中を突き進む。
途中でミレイの作ってくれたサンドイッチを食べてみた。
大きめにスライスされたサラミとレタス、トマト、玉ねぎが厚めのパンに挟まれている。
普通に美味しかった。
サンドイッチなんて誰でも作れる気がするけれども。
料理が苦手なミレイが一生懸命作ってくれたと思うと美味しさが倍増する。
美女判定も加算されて通常の3倍の美味しさだと思う。
赤い彗星か。
「……なあ、まだか? まだつかんのかのう?」
ミレイサンドにほっこりしていたら、俺にしがみつく加齢臭を発する物体がそんな事を言っていた。
全てが台無しである。
ミレイに謝れと言いたい。
「まだ出発して30分くらいしか経ってねえだろうが。いくらフェルさんでも戦場に着くまであと5、6時間はかかるぞ」
「そ、そんなに飛ばれたら……わ、儂……儂…………」
背中にしがみついたヴァンダレイジジイがガタガタと震える。
え、何このプレイ。
フェルさんの背中でジジイと2人きりとか気まずいわーと思っていたら、まさかの密着プレイという。
老人特有の筋張った身体の感触にげんなりした。
これがルーナだったら可愛くて仕方ないのだが。
いや、もうルーナがくっついていると妄想するのはどうか。
そう思い込めば、これはなかなか――。
「儂は高いところが苦手なんじゃ」
喋んじゃねえよ!
ジジイの老人口臭のせいでルーナだと思い込むのが不可能になるから!
つうか、高所恐怖症のジジイって誰得だよ。
「……もうダメじゃ……う、うっぷっ」
そんな不穏なセリフに振り返ると、土色の顔色をしたジジイがほっぺたを膨らませてプルプルしていた。
え? 口から何産もうとしてんの?
絶対に産んじゃダメなやつじゃん、それ。
だって産んだら俺に直撃するじゃん!?
「緊急事態! 助けて! リュ、リュデャアアアアアア!」
ジジイは高所恐怖症ではなくただの乗り物酔いなんじゃないか説が急浮上したが、そんな場合ではなかった。
とりあえず、近くを飛んでいたリュディアに泣きつく。
「おい、コウ! 我はリュデャアアアアアアではない。リュディアだ」
そんな事はどうでもいいんだよ。
真っ赤な火竜を駆ったリュディアがスイーッと近づいてくる。
「このゲロジジイを一刻も早くお前の竜に乗せ……」
言いかけて気づいた。
ジジイをリュディアに押し付けようとしたのだが、そんな事をしたら俺のリュディアが汚物まみれになってしまう。
いつか俺がリュディアを舐め回した時に感染しちゃうじゃんか!
「私が預かりましょうか?」
同じく近くを飛んでいたキリアがそう言ってくれたが、キリアも俺のキリアなので話は同じだ。
となると、この場にいる竜騎士全てが俺の女なのでジジイを押し付けるわけにはいかなかった。
どうしよう。詰んでる。
いや、俺が移ればいいのか。
「キリア、ジジイはいいから俺を背中に乗せてくれないか?」
「え、ええ!? りゅ、龍神王様が私の背中に……? よ、よろこんで!」
顔を赤くしたキリアが嬉しそうにスケイルメイルを脱ごうとする。
なぜ脱ぐ。
「いえ、せっかくなら素肌で龍神王様を感じたいので」
照れたキリアがいそいそと鎧の留め金を外していく。
可愛いババアだ。
俺も素肌でキリアを感じたい。
なので、俺も鎧を脱ぎ脱ぎした。
絶対に、ただキリアの背中に乗るだけでは済まない気がする。
飛行セックスというのもなかなか……。
(主ヨ。我ハ主ナシデハ絶対ニ人間ナド背ニ乗セヌ。絶対ニダ!)
股間を大きくしながらキリアの飛竜に飛び移ろうとしていた時、フェルさんがそんな事を言い出した。
なんてわがままなトカゲだろう。
じゃあ、どうしろっていうんだよ。
もうジジイをポイするしか選択肢が残ってないんだが。
「も、もう……げ、限界じゃ……うげっ!」
ジジイがそう言って口を両手で抑えた。
その手の隙間からは、邪悪な色の液体が漏れそうになっていて。
あ、俺死んだなと思った。
臨界点を迎えた原子炉の近くにいる気分だった。
(我ニ任セルノダ。主ヨ)
その時、フェルさんの大きな手が背中越しにジジイをむんずっと掴んだ。
そのまま手を前に戻してジジイを鷲掴む。
「オロロロロロロ!」
ジジイが変な鳴き声で輝く吐瀉物を空にばらまく。
地上に誰かいたらどうしようと思ったが、今は俺にかからなかったという事実が大事だ。
ジジイの隣では、同じ様に鷲掴まれたファラチオがガタガタ震えながら小便を垂れ流していた。
なんか物凄く環境に悪いことをしている気になった。
「あ、あの、龍神王様? 鎧を脱いだ私はどうすれば……?」
タンクトップ姿のキリアがそんな事を聞いてきた。
褐色の胸の谷間が覗く白いタンクトップというのはエロかったが、そっちに行くとフェルさんがヘソを曲げるから仕方ないよね。
というか、さっきからチラチラと睡眠耐性のログが出ているのだ。
そういえば、昨日はルーナを徹夜で抱いてしまった。
よく考えたら一昨日もルーナを徹夜で抱いた気がする。
あれ、俺最後に寝たのいつだろう。
戦争中に眠くなったら大変なので。
「悪いけど、俺寝るわ。また後でな、キリア」
そう言ってフェルさんの背中でゴロンと横になった。
「えええええ!? ここまで期待させておいてそれはあんまりなんじゃ……!? やっぱり私がババアだから、いえヒラだから……」
キリアがしょんぼりしていたが俺は既に船を漕ぎ始めていた。
ルーナを抱く夢を見た。
そろそろルーナが恋しくなってきた。
目が覚めると、けたたましい喧騒が聞こえてきた。
なんだろう。
うるさい。
どこかでリア充どもが乱痴気騒ぎでもしているのだろうか。
これだからリア充は。
全世界から死滅すればいいのに。
「……そろそろ着くそうじゃ」
そう言ったのは、いつの間にか戻ってきていたヴァンダレイジジイだった。
老化が進みすぎてミイラになっちゃったのかなと思うくらいカラカラになっている。
その頬は骨が浮き出るほど痩せこけ、何か大切なものを失った目で体育座りをしていた。
まあプライドとか色々失ったんだろう。
どうでもいいけど。
ジジイがもう着くとか言ってたので、先程から聞こえている喧騒は戦場の音なのだろう。
というか、これから戦争だって言うのになぜこのジジイは未だかつて見たこと無いくらい衰弱しているのだろう。
ちょっと心配になったので、山賊ポーションを飲ませておいた。
「……すまんのう。やさしいのう」
死相の浮き出た骸骨のような顔でポーションをコクコクと飲んでいくジジイ。
言葉にいつものムカつくトゲがないので本気で心配になった。
「全軍停止!」
その時、キリアの凛とした声が聞こえた。
いつの間にか鎧を着直したキリアは、俺と目が合うと恥ずかしそうに微笑んだ。
やだ、可愛い。
キリアの号令でフェルさんを含めた飛竜達が空中に停止してホバリングする。
止まったということはマジで着いたらしい。
下を覗くと、わらわらと大勢の人間がいるのが見えた。
うわあ、すげえ人いる。
人に酔って今度は俺が吐きそうだ。
「ダナン騎士団長、全軍に指示を!」
「ええ!? ……りゅ、龍神王様?」
キリアに無茶振りされたダナンさんが涙目で俺を見てくる。
飲んでる最中に突然面白いことしろと言われるようなものだろう。
キリアって結構鬼畜だよね。
ダナンさんが戸惑うのも無理ない。
ここはイッチョ俺が助け舟を出してダナンさんの好感度を稼ぐとするか。
「おーし! 今からフェルさんがすげえビーム吐くからみんな下がってるんだ! ついでにダナンさんは俺のとこに来てそのいやらしい乳を揉ませるんだ!」
ドヤ顔でフェルさんに全部放り投げてみた。
そして、どの辺がついでなのかわからないが、フェルさんがビーム出している間暇なので、ダナンさんの乳を揉もうと企んでみた。
「……はい。私のいやらしいおっぱいいっぱい揉んで下さい」
とろんとした顔をしたダナンさんが俺の方に飛竜で近寄ってくる。
おっぱいをいっぱいとは、なかなか洒落た事を言う。
「なんでまたダナンにだけご褒美を!?」
「おい、ちょっと待て! コウ!」
キリアとリュディアが同時に声を上げる。
なぜか悔しそうな顔をしているキリアと違ってリュディアは地上を見つめながら険しい顔をしていた。
まあそれはともかく、飛び移ってきたダナンさんのけしからん乳を揉みしだく。
柔らかい。
「前回と様子が違うぞ。……既に開戦している!」
「……本当だわ。竜神王様なしで戦を始めるなんて……!?」
リュディアと同じく地上を見つめたキリアが顔色を変えていた。
というか二人共、目いいよね。
俺にはわらわらとアリンコが動いているようにしか見えないが。
「少し高度を下げましょう」
キリアがそう言うので、ドラゴンたちが旋回しながら高度を下げていった。
気圧が変化して少し耳がキーンとする。
だんだん地上の様子が俺にも判ってきた。
いつものように王国軍とオーク達がやいのやいのと戦っている。
上空の俺たちに気づいたオークが石を投げてきたが、そんなものが届く距離ではなかった。
確かにもう戦争始まってますわ。
遅刻してしまった。
社畜時代だったら土下座するか外国に高跳びするかの2択しかないところだが、今の俺は既に社畜ではない。
むしろ遅刻した分、戦争サボれてラッキーだと思う。
というかね。
10日後に集合とかザックリすぎる事を言われたのが悪いと思うんだよね。
ちゃんと何時何分までに集合とか言ってくれないと遅刻しちゃうの当たり前じゃんっていう。
帰ったらエレインにお仕置きセックスだな。
何それ楽しそう。
「……それにしても酷い混戦じゃのう。まったく情けない」
「ええ。規律も何もあったもんじゃないですね……指揮官は何をやっているんだか。第一これでは……」
げっそりしたジジイとキリアがそんな会話をしていた。
なんか二人共王国軍をディスっているのだが。
地上を見下ろしてみると、見渡す限りの広範囲で人間とオークが戦っていた。
必死な感じがして好感が持てますな。
もっと温かい目で見てあげようよと思うのだ。
ほら、俺って結構優しいから。
ダナンさんのけしからん乳を揉んでいると、そんな気になれた。
「……どうするのだ、コウ?」
そんな事を考えていたら、リュディアが深刻な顔をしていた。
「どうするって何が?」
「いや、こんなに混戦していてはフェルナノーグ様のブレスが使えないのではないか?」
ふーむ?
一瞬、リュディアが何を言っているのか理解できなかった。
そのまま地上の王国軍とオークたちをチラ見する。
そして気づいた。
前回は王国軍とオーク達が戦う前で、オークだけを殲滅できたのだ。
でも、今回の混戦状態ではフェルさんがビームを出したら王国軍も巻き込んでしまう。
え、ダメじゃん。
思い切り深刻じゃん。
俺って結構優しいからとか言っている場合ではない。
いやでも、フェルさんならなんとかしてくれる気がするのだ。
ビームじゃなくてホーミングレーザーみたいにしてさ。
オークだけを狙い撃つみたいなのって出来るんじゃなかろうか。
王国軍には当てないで。
うん、フェルさんならきっと出来るよ!
「お前、ちょっとオークだけを狙っちゃうような素敵なビーム吐けない?」
(スマナイ、主ヨ。我ニハ、ソンナ器用ナ真似ハ出来ヌ……)
まじかよ、このトカゲ。
「美女に変身も出来ないし! ホーミングレーザーも吐けないし! お前何も出来ねえじゃねえか!!」
(本当ニスマナイ、主ヨ。嫌イニナラナイデ欲シイ……)
フェルさんが首をすくめてしょんぼりしていた。
だから可愛くねえから。
「ど、どうしましょうか……龍神王様……」
俺に乳を揉まれていたダナンさんが不安そうな顔で聞いてきた。
どうしましょうかって言われても……。
フェルさんに一撃でキメて貰おうと思っていたのに。
それが出来ないなら。
「もう帰宅しちゃうか!」
俺にはそんな提案しか出来なかった。
「帰宅して良い訳がなかろうが!!」
ヴァンダレイジジイに怒鳴られてしまった。
帰宅はダメらしい。
このゲロジジイめ。
帰ったらアンにジジイの粗相を事細かにチクってやろうと思う。
というかどうしよう。
これはあれだろうか。
普通に戦わなきゃダメなパターンだろうか。
何それ面倒くさい!
途中でミレイの作ってくれたサンドイッチを食べてみた。
大きめにスライスされたサラミとレタス、トマト、玉ねぎが厚めのパンに挟まれている。
普通に美味しかった。
サンドイッチなんて誰でも作れる気がするけれども。
料理が苦手なミレイが一生懸命作ってくれたと思うと美味しさが倍増する。
美女判定も加算されて通常の3倍の美味しさだと思う。
赤い彗星か。
「……なあ、まだか? まだつかんのかのう?」
ミレイサンドにほっこりしていたら、俺にしがみつく加齢臭を発する物体がそんな事を言っていた。
全てが台無しである。
ミレイに謝れと言いたい。
「まだ出発して30分くらいしか経ってねえだろうが。いくらフェルさんでも戦場に着くまであと5、6時間はかかるぞ」
「そ、そんなに飛ばれたら……わ、儂……儂…………」
背中にしがみついたヴァンダレイジジイがガタガタと震える。
え、何このプレイ。
フェルさんの背中でジジイと2人きりとか気まずいわーと思っていたら、まさかの密着プレイという。
老人特有の筋張った身体の感触にげんなりした。
これがルーナだったら可愛くて仕方ないのだが。
いや、もうルーナがくっついていると妄想するのはどうか。
そう思い込めば、これはなかなか――。
「儂は高いところが苦手なんじゃ」
喋んじゃねえよ!
ジジイの老人口臭のせいでルーナだと思い込むのが不可能になるから!
つうか、高所恐怖症のジジイって誰得だよ。
「……もうダメじゃ……う、うっぷっ」
そんな不穏なセリフに振り返ると、土色の顔色をしたジジイがほっぺたを膨らませてプルプルしていた。
え? 口から何産もうとしてんの?
絶対に産んじゃダメなやつじゃん、それ。
だって産んだら俺に直撃するじゃん!?
「緊急事態! 助けて! リュ、リュデャアアアアアア!」
ジジイは高所恐怖症ではなくただの乗り物酔いなんじゃないか説が急浮上したが、そんな場合ではなかった。
とりあえず、近くを飛んでいたリュディアに泣きつく。
「おい、コウ! 我はリュデャアアアアアアではない。リュディアだ」
そんな事はどうでもいいんだよ。
真っ赤な火竜を駆ったリュディアがスイーッと近づいてくる。
「このゲロジジイを一刻も早くお前の竜に乗せ……」
言いかけて気づいた。
ジジイをリュディアに押し付けようとしたのだが、そんな事をしたら俺のリュディアが汚物まみれになってしまう。
いつか俺がリュディアを舐め回した時に感染しちゃうじゃんか!
「私が預かりましょうか?」
同じく近くを飛んでいたキリアがそう言ってくれたが、キリアも俺のキリアなので話は同じだ。
となると、この場にいる竜騎士全てが俺の女なのでジジイを押し付けるわけにはいかなかった。
どうしよう。詰んでる。
いや、俺が移ればいいのか。
「キリア、ジジイはいいから俺を背中に乗せてくれないか?」
「え、ええ!? りゅ、龍神王様が私の背中に……? よ、よろこんで!」
顔を赤くしたキリアが嬉しそうにスケイルメイルを脱ごうとする。
なぜ脱ぐ。
「いえ、せっかくなら素肌で龍神王様を感じたいので」
照れたキリアがいそいそと鎧の留め金を外していく。
可愛いババアだ。
俺も素肌でキリアを感じたい。
なので、俺も鎧を脱ぎ脱ぎした。
絶対に、ただキリアの背中に乗るだけでは済まない気がする。
飛行セックスというのもなかなか……。
(主ヨ。我ハ主ナシデハ絶対ニ人間ナド背ニ乗セヌ。絶対ニダ!)
股間を大きくしながらキリアの飛竜に飛び移ろうとしていた時、フェルさんがそんな事を言い出した。
なんてわがままなトカゲだろう。
じゃあ、どうしろっていうんだよ。
もうジジイをポイするしか選択肢が残ってないんだが。
「も、もう……げ、限界じゃ……うげっ!」
ジジイがそう言って口を両手で抑えた。
その手の隙間からは、邪悪な色の液体が漏れそうになっていて。
あ、俺死んだなと思った。
臨界点を迎えた原子炉の近くにいる気分だった。
(我ニ任セルノダ。主ヨ)
その時、フェルさんの大きな手が背中越しにジジイをむんずっと掴んだ。
そのまま手を前に戻してジジイを鷲掴む。
「オロロロロロロ!」
ジジイが変な鳴き声で輝く吐瀉物を空にばらまく。
地上に誰かいたらどうしようと思ったが、今は俺にかからなかったという事実が大事だ。
ジジイの隣では、同じ様に鷲掴まれたファラチオがガタガタ震えながら小便を垂れ流していた。
なんか物凄く環境に悪いことをしている気になった。
「あ、あの、龍神王様? 鎧を脱いだ私はどうすれば……?」
タンクトップ姿のキリアがそんな事を聞いてきた。
褐色の胸の谷間が覗く白いタンクトップというのはエロかったが、そっちに行くとフェルさんがヘソを曲げるから仕方ないよね。
というか、さっきからチラチラと睡眠耐性のログが出ているのだ。
そういえば、昨日はルーナを徹夜で抱いてしまった。
よく考えたら一昨日もルーナを徹夜で抱いた気がする。
あれ、俺最後に寝たのいつだろう。
戦争中に眠くなったら大変なので。
「悪いけど、俺寝るわ。また後でな、キリア」
そう言ってフェルさんの背中でゴロンと横になった。
「えええええ!? ここまで期待させておいてそれはあんまりなんじゃ……!? やっぱり私がババアだから、いえヒラだから……」
キリアがしょんぼりしていたが俺は既に船を漕ぎ始めていた。
ルーナを抱く夢を見た。
そろそろルーナが恋しくなってきた。
目が覚めると、けたたましい喧騒が聞こえてきた。
なんだろう。
うるさい。
どこかでリア充どもが乱痴気騒ぎでもしているのだろうか。
これだからリア充は。
全世界から死滅すればいいのに。
「……そろそろ着くそうじゃ」
そう言ったのは、いつの間にか戻ってきていたヴァンダレイジジイだった。
老化が進みすぎてミイラになっちゃったのかなと思うくらいカラカラになっている。
その頬は骨が浮き出るほど痩せこけ、何か大切なものを失った目で体育座りをしていた。
まあプライドとか色々失ったんだろう。
どうでもいいけど。
ジジイがもう着くとか言ってたので、先程から聞こえている喧騒は戦場の音なのだろう。
というか、これから戦争だって言うのになぜこのジジイは未だかつて見たこと無いくらい衰弱しているのだろう。
ちょっと心配になったので、山賊ポーションを飲ませておいた。
「……すまんのう。やさしいのう」
死相の浮き出た骸骨のような顔でポーションをコクコクと飲んでいくジジイ。
言葉にいつものムカつくトゲがないので本気で心配になった。
「全軍停止!」
その時、キリアの凛とした声が聞こえた。
いつの間にか鎧を着直したキリアは、俺と目が合うと恥ずかしそうに微笑んだ。
やだ、可愛い。
キリアの号令でフェルさんを含めた飛竜達が空中に停止してホバリングする。
止まったということはマジで着いたらしい。
下を覗くと、わらわらと大勢の人間がいるのが見えた。
うわあ、すげえ人いる。
人に酔って今度は俺が吐きそうだ。
「ダナン騎士団長、全軍に指示を!」
「ええ!? ……りゅ、龍神王様?」
キリアに無茶振りされたダナンさんが涙目で俺を見てくる。
飲んでる最中に突然面白いことしろと言われるようなものだろう。
キリアって結構鬼畜だよね。
ダナンさんが戸惑うのも無理ない。
ここはイッチョ俺が助け舟を出してダナンさんの好感度を稼ぐとするか。
「おーし! 今からフェルさんがすげえビーム吐くからみんな下がってるんだ! ついでにダナンさんは俺のとこに来てそのいやらしい乳を揉ませるんだ!」
ドヤ顔でフェルさんに全部放り投げてみた。
そして、どの辺がついでなのかわからないが、フェルさんがビーム出している間暇なので、ダナンさんの乳を揉もうと企んでみた。
「……はい。私のいやらしいおっぱいいっぱい揉んで下さい」
とろんとした顔をしたダナンさんが俺の方に飛竜で近寄ってくる。
おっぱいをいっぱいとは、なかなか洒落た事を言う。
「なんでまたダナンにだけご褒美を!?」
「おい、ちょっと待て! コウ!」
キリアとリュディアが同時に声を上げる。
なぜか悔しそうな顔をしているキリアと違ってリュディアは地上を見つめながら険しい顔をしていた。
まあそれはともかく、飛び移ってきたダナンさんのけしからん乳を揉みしだく。
柔らかい。
「前回と様子が違うぞ。……既に開戦している!」
「……本当だわ。竜神王様なしで戦を始めるなんて……!?」
リュディアと同じく地上を見つめたキリアが顔色を変えていた。
というか二人共、目いいよね。
俺にはわらわらとアリンコが動いているようにしか見えないが。
「少し高度を下げましょう」
キリアがそう言うので、ドラゴンたちが旋回しながら高度を下げていった。
気圧が変化して少し耳がキーンとする。
だんだん地上の様子が俺にも判ってきた。
いつものように王国軍とオーク達がやいのやいのと戦っている。
上空の俺たちに気づいたオークが石を投げてきたが、そんなものが届く距離ではなかった。
確かにもう戦争始まってますわ。
遅刻してしまった。
社畜時代だったら土下座するか外国に高跳びするかの2択しかないところだが、今の俺は既に社畜ではない。
むしろ遅刻した分、戦争サボれてラッキーだと思う。
というかね。
10日後に集合とかザックリすぎる事を言われたのが悪いと思うんだよね。
ちゃんと何時何分までに集合とか言ってくれないと遅刻しちゃうの当たり前じゃんっていう。
帰ったらエレインにお仕置きセックスだな。
何それ楽しそう。
「……それにしても酷い混戦じゃのう。まったく情けない」
「ええ。規律も何もあったもんじゃないですね……指揮官は何をやっているんだか。第一これでは……」
げっそりしたジジイとキリアがそんな会話をしていた。
なんか二人共王国軍をディスっているのだが。
地上を見下ろしてみると、見渡す限りの広範囲で人間とオークが戦っていた。
必死な感じがして好感が持てますな。
もっと温かい目で見てあげようよと思うのだ。
ほら、俺って結構優しいから。
ダナンさんのけしからん乳を揉んでいると、そんな気になれた。
「……どうするのだ、コウ?」
そんな事を考えていたら、リュディアが深刻な顔をしていた。
「どうするって何が?」
「いや、こんなに混戦していてはフェルナノーグ様のブレスが使えないのではないか?」
ふーむ?
一瞬、リュディアが何を言っているのか理解できなかった。
そのまま地上の王国軍とオークたちをチラ見する。
そして気づいた。
前回は王国軍とオーク達が戦う前で、オークだけを殲滅できたのだ。
でも、今回の混戦状態ではフェルさんがビームを出したら王国軍も巻き込んでしまう。
え、ダメじゃん。
思い切り深刻じゃん。
俺って結構優しいからとか言っている場合ではない。
いやでも、フェルさんならなんとかしてくれる気がするのだ。
ビームじゃなくてホーミングレーザーみたいにしてさ。
オークだけを狙い撃つみたいなのって出来るんじゃなかろうか。
王国軍には当てないで。
うん、フェルさんならきっと出来るよ!
「お前、ちょっとオークだけを狙っちゃうような素敵なビーム吐けない?」
(スマナイ、主ヨ。我ニハ、ソンナ器用ナ真似ハ出来ヌ……)
まじかよ、このトカゲ。
「美女に変身も出来ないし! ホーミングレーザーも吐けないし! お前何も出来ねえじゃねえか!!」
(本当ニスマナイ、主ヨ。嫌イニナラナイデ欲シイ……)
フェルさんが首をすくめてしょんぼりしていた。
だから可愛くねえから。
「ど、どうしましょうか……龍神王様……」
俺に乳を揉まれていたダナンさんが不安そうな顔で聞いてきた。
どうしましょうかって言われても……。
フェルさんに一撃でキメて貰おうと思っていたのに。
それが出来ないなら。
「もう帰宅しちゃうか!」
俺にはそんな提案しか出来なかった。
「帰宅して良い訳がなかろうが!!」
ヴァンダレイジジイに怒鳴られてしまった。
帰宅はダメらしい。
このゲロジジイめ。
帰ったらアンにジジイの粗相を事細かにチクってやろうと思う。
というかどうしよう。
これはあれだろうか。
普通に戦わなきゃダメなパターンだろうか。
何それ面倒くさい!
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急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
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