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第五章 領地発展編
第180話 第4次魔族侵攻戦 ③
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一息でオーク共との距離を詰めて、ラグニードを振りかざす。
陽光に煌めく純白の美剣。
最初のオークを袈裟斬りにした後、振り返って、2体のオークの胴を薙ぐ。
瞬く間に、3体のオークの死体が出来上がっていた。
経験値のログが流れるのを確認しながら、ラグニードにこびり付いた血糊を一振りして払い落とす。
ラグニードは一瞬で新品のような輝き取り戻していた。
改めて眺めてみると、本当に美しい剣だ。
黄金の柄頭に純白の柄、鍔には精緻な彫刻の刻まれた黄金で、ため息が漏れる程美しい銀色の剣身。
剣の刃の付いていない峰の部分には、読めないけど厨二心を擽る文字が刻まれている。
マジでカッコイイ。
何回か使っているうちに、この剣の使い方がようやく判ってきた。
「グガアアア!」
丁度よいタイミングで、目を血走らせたオークが棍棒を振りかざして襲いかかってきた。
全く力を込めずに、ラグニードを振るう。
「グガ?」
オークが棍棒ごと上下真っ二つに切断されていた。
あまりの切れ味に、オーク本人も斬られたことを気付いていないのか、不思議な顔つきのまま絶命していった。
ラグニードは切れ味が凄まじいので、力を入れる必要は全くない。
攻撃力補正+634は伊達じゃないのだ。
その分、剣を振るう速度を上げることが可能だった。
イメージとしては一般的な刀剣というよりも、某北米宇宙神話の光る剣に近い。
俺が習得しているスキルは剣スキルレベル3の《達人剣術》なので、ライトセーバーとして扱うのはどうなんだろうとは思うのだが。
とりあえず、それっぽくラグニードをくるくる回転させながら、近寄ってくるオーク共を斬り殺してみた。
果たして剣を回転させる意味はあったのかと思ったが、オーク共は面白いように細切れの肉片になっていく。
結構、楽しかった。
スパスパとオークを斬り殺す。
剣を振るうのに飽きたあたりで、周囲を見渡して目についたオーク共を片っ端から土魔法で串刺しにしていく。
気付いた時には、辺りからオークがいなくなっていた。
数十体は屠っただろうか。
ただ、入る経験値がショボすぎるせいで、レベルが上がる気配は全くない。
オークさんにはがっかりである。
ジェダイの騎士ごっこしか出来ない。
意外と楽しかったのでいいのだが。
「…………」
ふとそんな時、下の方から熱い視線を感じた。
小脇に荷物のように抱えたレティーお嬢様が、真っ赤な顔で俺を見つめていた。
邪魔にならないようにしてくれたのか、身体を必死に縮こまらせているのがちょっと可愛い。
「コウってすごく強いですよね……か、かっこいいです!」
熱に冒されたように潤んだ瞳でそう呟くレティーお嬢様。
32歳にもなってジェダイごっこをしているオッサンをかっこいいとか言っちゃダメな気がするが。
言わんとしていることはなんとなくわかる。
つまりアレだよね?
挿れていいってことだよね?
思わず股間を大きくしながら、ラグニードを地面に突き刺した。
空いた手で、レティーお嬢様の頬を撫でる。
「こ、コウ……」
レティーお嬢様は甘えたような声を上げるだけで、全く抵抗しようとしない。
これもうパコれるべ?
俺はプロとして直感した。
「ハイランダー!!」
レティーお嬢様の薄い唇に吸い付こうとしていたら、突然そんな声がかけられた。
男の声だった。
情事の最中に男の声がするとか。
萎えちゃったらどうしてくれるんだ!?
俺の股間は相変わらずバッキバキなので、なんの心配なのかわからないのだが。
ちょっとイラッとしながら、声のした方に振り向くと見るも無残なオッサンが立っていた。
というか、剣を杖代わりにして辛うじて立っている。
全身傷だらけで、体中の到るところから血を流している。
グロ耐性はないので、さすがにしょぼんと萎えてしまった。
レティーお嬢様に謝れと言いたい。
というか、大丈夫ですか? と素で心配しちゃいそうなんだけど。
「……助太刀痛み入ります。ハイランダーアサギリ殿ですよね? 共に戦えて光栄です! ……私も奮起しませんと――ぐはっ!」
オッサンはよくわからないことを言いながら、突然血を吐いた。
えええ!?
そのまま倒れそうになっているオッサンを咄嗟に支えてしまう。
どうしよう。
今にも死にそうなんだけど。
オークにやられたんだろうか。
「だ、大丈夫ですか?」
柄にもなくそんな声をかけてしまった。
「ぐむう、こんな傷程度で、騎士として情けない……。こんな傷! こんな傷!」
オッサンはぷるぷる震えながら、自らの腹についた刺し傷を殴りだした。
どんだけドMなんだよ。
「ちょ、ちょ!? いいから安静にしてて下さい!」
オッサンのドM行為を慌てて止めながら、地面に横たわらせる。
この俺が男の心配をするとは。
なんか放っておけないオッサンだった。
「うう……あ、アサギリ殿……」
その時、別のオッサンの声が聞こえた。
「わ、私もハイランダーと共に……」
一人だけではない。
周囲から複数の声が聞こえてくる。
見渡してみたら、同じ様にボロボロのオッサン達がゾンビのように集まってきていた。
ええええ!?
みんなやられているじゃん!
というか、今日戦場に来て出会った王国軍は死体かボロボロのオッサンかレティーお嬢様しかいない。
王国軍って大丈夫なんだろうか。
「……共に戦いましょうぞ」
しかも、なぜかオッサン達はやる気満々だった。
今にも死にそうなのに。
「いいから俺の後ろで休憩してて下さい」
思わずそう叫んでいた。
どちらかと言うと俺が休憩したいのだが。
死に体のオッサン達を見ているとそう言うしかなかった。
「お、おお……我等が態勢を立て直す時間を、体を張って作ってくださるということですな……!? なんと勇敢な……!」
誰もそんな事を言っていないのだが、謎の解釈をしたオッサン達が俺の背後にヨロヨロと集まりだす。
態勢を立て直したところで、あんな状態では戦える気がしないのだが。
「グガアアア!」
遠くから襲いかかってくるオークを土魔法で串刺しにする。
集まってくるのはオッサン達だけではなく、オーク共も同じだった。
ボロボロのオッサン達を守って、バラバラと襲ってくるオーク共を遠隔魔法で潰していった。
オッサン達の数は数十人を超えていて、数が増えるにつれて警戒しなければならない範囲も広がっていく。
さすがに集中しなければならないので、小脇に抱えたレティーお嬢様を下ろして、オッサン達のところに行かせた。
「……怪我はしないでくださいね?」
心配そうな顔をしたレティーお嬢様は、そう言い残してオッサン達の元へトコトコと走っていく。
後で絶対に犯そうと心に決めた。
「グギャアア――グガッ!?」
迫りくるオークの頭を火の矢で吹き飛ばす。
《火形成》で作り出した小さな火の矢だった。
だんだん集まってくるオークの数が増えてきたので、MPを節約するようになったのだ。
残りのMPは半分程だった。
いざとなればラグニードで戦うが、後ろのオッサン達を守るには魔法じゃないと広範囲をカバーできない。
後ろのオッサン達は数百人レベルになっていた。
全員が死にかけというわけではなく、中には普通に戦えそうな奴もいたのだが。
「助太刀に参りました、ハイラン――ぶべらっ!!」
ドヤ顔で槍を持ってやってきた奴が一瞬でオークに頭を棍棒で潰されていた。
最後のセリフが排卵とか不吉にも程がある。
それからは、もうなんでもいいからとりあえず俺の背後に行かせている。
「グギャアアア!」
「グルルルル!」
集まってくるオークの数は留まるところを知らない。
片っ端から魔法で吹き飛ばしながら、これいつ終わるんだろうと思った。
だんだん面倒臭くなってきた。
もう帰りたい。
でも、帰ったら後ろのオッサン達がオークに殺されてしまう。
寝覚めが悪いのでそれは嫌だった。
第一、俺のレティーお嬢様もいるのだ。
レティーお嬢様はなんとしても守りたい。
そんな時だった。
――ズシン。
重い地響きを感じた。
迫りくるオーク達を押しのけるようにして、一際大きな人影が出現する。
その巨大さにゾッとした。
足元にいるオークの2倍ほどの身長。
筋肉に覆われた頑丈そうな緑色の巨体。
民族色豊かな、白い戦化粧のようなものを全身に施している。
黄色く濁った邪悪な目は――。
俺を睨んでいた。
「……と、トロル」
後ろのオッサン達からそんな呟きが聞こえた。
トロル? トロール?
緑色だからボストロールなんじゃ……。
そんなどうでも良い事を考えていると、トロルはズシンズシンと巨体を揺らしながら歩いてくる。
トロルが一歩足を踏み出す度に、地面が盛大に揺れた。
徐々に迫りくる緑色の巨人。
怪獣映画でも見ているような迫力だった。
なんというか。
絶対に強いじゃん!
トロルの手には無骨で巨大な石斧が握られていて。
あんなので攻撃されるのなんて想像したくなかった。
なので、近づかれる前に《火形成》を念じる。
刹那に舞う火の粉。
結構な魔力を消費して、トロルが巨大な火柱に包まれる。
まるで炎の竜巻のような火柱だった。
会心の《火形成》だった。
トロルの迫力にビビったせいか、今までで一番の火魔法が出来てしまった。
なんか情けない気もするが。
これでトロルも燃え尽きただろう。
「…………」
しかし、いつまで立っても経験値取得のログが出ない。
あれ、バグった?
ノリコさんは結構うっかりさんだからなー。
そんな白い部屋に呼び出されてヤキを入れられそうな事を考えていると――。
――ズシン。
炎の竜巻の中から、トロルがのそりと歩いてくる。
その全身は炎に包まれながらも。
剣呑な濁った目は、俺をじっと睨みつけていた。
ちょっとチビリそうになった。
「そ、そういえばトロルは炎に耐性があるんじゃないかという報告がありましたな! 以前、ゲルニア要塞でゼービア将軍が火矢で攻撃したもののあまり効果がなかったとか――!」
後ろでオッサンの一人がそんな事を言っていた。
早く言えし!
だったら土魔法で串刺しにしたのに!
「■■■■■■■■■――!!」
トロルは炎上しながらも声にならぬ叫びを上げる。
身も凍るような咆哮だった。
石斧を振りかぶりながら猛然と駆け出してくる。
地面が激しく揺れる。
くそ!!
もう魔力を集中させる時間はない。
トロルはその巨体に見合わず意外と走るのが速かった。
「あぶねっ!」
振り下ろされる巨大な石斧をギリギリで回避した。
石斧は土埃を撒き散らしながら、地面を大きく陥没させた。
絶対に食らいたくなかった。
しかし、こうなったらもう接近戦しかないだろう。
ラグニードでスパッと殺ってやんよ!
俺はオビ=ワン・ケノービのように、ラグニードをくるくると回転させた。
「■■■!」
トロルの腕が素早く振るわれる。
顔が吹き飛んだような感覚。
『HP:802/1340』
ええええ!?
急に殴られたんだけど!
今かっこつけてたのに!!!
剣をくるくるしてる時に殴るとか鬼畜だろうか。
変身中のヒーローをボコるようなものだろう。
ありえないわー。
「コウ! 逃げて下さい!!」
レティーお嬢様の悲痛な叫びが聞こえる。
かっこ悪い所を見せてしまった。
このままではレティーお嬢様の好感度が下がってしまう。
それだけはなんとしても避けねば。
「■■■■■■■■■――!!」
再び咆哮するトロル。
そんなトロルに対して、俺はラグニードを両手で握って体の中心に合わせる。
正眼の構え。
息を深く吸い込んで、呼吸を整えた。
「……■■■!」
石斧を振り上げようとするトロル。
重量のある武器だ。
隙は多い。
「――!」
地面を強く踏みしめて、踏み込んだ。
最小限の動作でトロルの腕に斬りつける。
「■■!!」
トロルは短く呻いて、石斧を落とす。
その隙に下段を薙ぎ払う。
たまらず膝を着くトロル。
まるで差し出すように。
急所である頭部が間合いに入ってくる。
「■、■■■」
トロルは、命乞いをするように呻いた。
そんなトロルの眉間を浅く切り裂く。
トロルの目からは剣呑な光が失われ。
その巨体がゆっくりと地面に倒れた。
『1132ポイントの経験値を獲得しました。』
ふふふ。
ジェダイごっこなどせずに《達人剣術》を使えばこの通りですよ!
ざまあ! ざまあ!
ビビらせやがって、このクソが!!!
怒りを込めて、物を言わぬ屍となったトロルをガスガスと蹴飛ばす。
その時、背後でどっと割れるような歓声が沸き起こった。
思わずビクッとしてしまう。
「うおおおおお! アサギリ卿ー!!!」
「トロルを一人で倒すなんてすげえ!」
「さすが救国のハイランダーだ!!!」
そして巻き起こるハイランダーコール。
いまいち慣れてないけど、ハイランダーって俺のことだよね?
俺コールとか。
キャバクラで高い酒を入れる時しかされたこと無いんだけど。
見ず知らずのオッサン達にコールされても……。
「コウ……かっこいい……」
レティーお嬢様がぽーっとした顔で見つめてくれるのが唯一の救いか。
ああ、犯したい。
トロルが倒されたからか、オッサン達のコールにビビったのか、周囲のオーク達はすごすごと退散していった。
つまり、レティーお嬢様とヤッても何の問題はない。
股間をメキメキさせながら、げへげへ笑ってレティーお嬢様のもとへ向かう。
待たせてごめんね!
「一人で先走りおって! このバカタレがっ!」
しかし、突然頭上から何か固いもので頭を殴られた。
見上げると黒い8本足の馬ファラチオに跨ったヴァンダレイジジイがいた。
その手には鞘に収められたいつもの黒い剣が握られていた。
あれで殴られたらしい。
え、そんなもので人を殴っていいと思ってんの?
傷害事件にも程がある。
「……むう、あれだけ崩れとった戦線がここだけまともになっておる。見事な戦働きじゃ! これでクズじゃなければのう……本当に貴様はクソ野郎じゃから……」
ヴァンダレイジジイはブツブツとムカつくことを言いながらファラチオから下りた。
今、クズとかクソ野郎とか言う必要があったのか甚だ疑問だ。
「コウ! 無事か!?」
「龍神王様!?」
リュディアとキリアの飛竜がズシンと着地する。
二人共無事みたいで良かった。
(主ヨ。我ヲ置イテ行カナイデ欲シイ)
遅れてフェルさんが重い地響きと共に着地してきた。
王国軍のオッサン達がフェルさんを見てビビっている。
「……りゅ、竜神王様」
フェルさんの背中から、心配そうな顔をしたダナンさんがひょっこりと顔を覗かせていた。
というか、あのトカゲ俺以外の人間を乗せるのは嫌だとか言ってなかっただろうか。
ジジイはダメで美人は良いのかよ。
気持ちはすっごくわかるけど、イラッとする。
――ブオーン。ブオーン。ブオーン。
その時、間の抜けた法螺貝の音が三回聞こえた。
法螺貝とか。
映画とかでしか聞いたことなかったけど本当に戦場で吹くんだなとしみじみ思っていると。
「……三回は撤退の合図じゃ」
ヴァンダレイジジイが深刻な顔で呟いた。
撤退か。
まあ、王国軍弱いからな。
「そんな! 我等はまだ戦えるのに!!」
後ろのオッサンがそんな事を言っていた。
自分の腹の傷をバキバキ殴っていたドMのオッサンだった。
いやいや、あんたはもう戦えないっつーに。
休んでろよ。
「退却ー! 退却ー!」
遠くで白馬に跨った高そうな鎧を着た騎士が声高に叫んでいる。
法螺貝だけではなく口頭でも言って回っているらしい。
「……あれは近衛兵じゃな」
ヴァンダレイジジイがぼそっと呟いた。
俺はふーん、そうなんだーくらいに聞き流していたのだが。
その近衛兵はこちらに気づくと、わざわざ馬を走らせてやってきてくれた。
「これはハイランダー! せっかく参戦頂いたのに残念です。ひとまず向こうの丘まで退却して頂きたい」
近衛兵の顔は真っ青だった。
貧血だろうか。
レバー食え。
「……混戦じゃがそれほど酷い戦況には思えんがのう。なんで退却なんじゃ?」
ヴァンダレイジジイの質問に近衛兵が青い顔のまま答える。
俺はその答えに耳を疑った。
「…………ゼービア大将軍が……討ち取られ……」
はあああああ!?
何言ってんの!?
ゼービアさんって俺のゼービアさん!?
「なっ!? ば、バカな……!! ゼービアが……戦死したじゃと!?」
ヴァンダレイジジイが馬上の近衛兵に掴みかかろうとしている。
孫なのだ。
無理もない。
「い、いえ! 正確には敵に捕まりました。あ、あすこに見える巨大な……オーガに……」
近衛兵が彼方を振り返る。
そちらに目をやると、大海原のようにひしめくオークの大軍。
その遥か後方に豆粒のような赤い巨体が見えた。
おそらく距離にすると1キロ以上離れている。
ここからは豆粒のように見えても、実際はさぞ大きいのだろう。
そこまで目が良くないのでよくは見えないが、人のようなものを肩に担いでいるように見える。
あれがゼービアさんなのだろうか。
「お、オーガじゃと……!?」
ヴァンダレイジジイが珍しく戦慄していた。
そんな事はどうでも良かった。
俺は頭がすうーっと冷めていくのを感じた。
怒りも、焦りもとっくに通り越している。
今、すべきことは一つしかないだろうが。
ゼービアさんが生きているのなら。
ジジイの乗ってきたファラチオに無言で跨った。
「おい、小僧! どこへ行く気じゃ!?」
「助けに行くに決まってんだろう」
何を当たり前の事を。
「む、無理です、ハイランダー! いくらハイランダーといえどもゼービア大将軍はすでにオーク軍の奥深くまで連れ去られています!」
近衛兵がそんな事を叫ぶ。
確かにゼービアさんの下に行くには吐き気がする程うじゃうじゃいるオーク共を突破しなければならない。
おそらく数は数万。
たった数万だ。
そんなのでゼービアさんを諦められるわけがなかった。
「行くぞ!」
ファラチオの腹を蹴る。
ファラチオは静かに8本の足で駆け出した。
「お待ちを!! せめて我等もお供させて下さい! 近衛兵全軍、ハイランダーに続け!!!」
名も知らぬ近衛兵の叫びを聞き流す。
ファラチオはぐんぐんと速度を上げる。
物凄いスピードだった。
以前、乗った馬とは比べ物にならない。
「グギャギャ!」
邪悪な鳴き声でファラチオは黒い馬体を風と化す。
見る見る間にオークの大軍が目前に迫った。
オーク共はそれぞれの武器を構えて、俺を迎え撃とうとしている。
ラグニードを振りかざす。
あの大軍を突き破るのだ。
自然とラグニードを握る手に力が篭った。
『[国剣ラグニード]のアビリティ《射程拡張》が開放されました。』
魔力を帯びたラグニードの剣先が淡く光る。
そのままぐんぐんと倍近くにまで剣先が伸びていく。
その長さは約2メートル。
異様な長さになったラグニードをオーク共目掛けて振りかぶった。
陽光に煌めく純白の美剣。
最初のオークを袈裟斬りにした後、振り返って、2体のオークの胴を薙ぐ。
瞬く間に、3体のオークの死体が出来上がっていた。
経験値のログが流れるのを確認しながら、ラグニードにこびり付いた血糊を一振りして払い落とす。
ラグニードは一瞬で新品のような輝き取り戻していた。
改めて眺めてみると、本当に美しい剣だ。
黄金の柄頭に純白の柄、鍔には精緻な彫刻の刻まれた黄金で、ため息が漏れる程美しい銀色の剣身。
剣の刃の付いていない峰の部分には、読めないけど厨二心を擽る文字が刻まれている。
マジでカッコイイ。
何回か使っているうちに、この剣の使い方がようやく判ってきた。
「グガアアア!」
丁度よいタイミングで、目を血走らせたオークが棍棒を振りかざして襲いかかってきた。
全く力を込めずに、ラグニードを振るう。
「グガ?」
オークが棍棒ごと上下真っ二つに切断されていた。
あまりの切れ味に、オーク本人も斬られたことを気付いていないのか、不思議な顔つきのまま絶命していった。
ラグニードは切れ味が凄まじいので、力を入れる必要は全くない。
攻撃力補正+634は伊達じゃないのだ。
その分、剣を振るう速度を上げることが可能だった。
イメージとしては一般的な刀剣というよりも、某北米宇宙神話の光る剣に近い。
俺が習得しているスキルは剣スキルレベル3の《達人剣術》なので、ライトセーバーとして扱うのはどうなんだろうとは思うのだが。
とりあえず、それっぽくラグニードをくるくる回転させながら、近寄ってくるオーク共を斬り殺してみた。
果たして剣を回転させる意味はあったのかと思ったが、オーク共は面白いように細切れの肉片になっていく。
結構、楽しかった。
スパスパとオークを斬り殺す。
剣を振るうのに飽きたあたりで、周囲を見渡して目についたオーク共を片っ端から土魔法で串刺しにしていく。
気付いた時には、辺りからオークがいなくなっていた。
数十体は屠っただろうか。
ただ、入る経験値がショボすぎるせいで、レベルが上がる気配は全くない。
オークさんにはがっかりである。
ジェダイの騎士ごっこしか出来ない。
意外と楽しかったのでいいのだが。
「…………」
ふとそんな時、下の方から熱い視線を感じた。
小脇に荷物のように抱えたレティーお嬢様が、真っ赤な顔で俺を見つめていた。
邪魔にならないようにしてくれたのか、身体を必死に縮こまらせているのがちょっと可愛い。
「コウってすごく強いですよね……か、かっこいいです!」
熱に冒されたように潤んだ瞳でそう呟くレティーお嬢様。
32歳にもなってジェダイごっこをしているオッサンをかっこいいとか言っちゃダメな気がするが。
言わんとしていることはなんとなくわかる。
つまりアレだよね?
挿れていいってことだよね?
思わず股間を大きくしながら、ラグニードを地面に突き刺した。
空いた手で、レティーお嬢様の頬を撫でる。
「こ、コウ……」
レティーお嬢様は甘えたような声を上げるだけで、全く抵抗しようとしない。
これもうパコれるべ?
俺はプロとして直感した。
「ハイランダー!!」
レティーお嬢様の薄い唇に吸い付こうとしていたら、突然そんな声がかけられた。
男の声だった。
情事の最中に男の声がするとか。
萎えちゃったらどうしてくれるんだ!?
俺の股間は相変わらずバッキバキなので、なんの心配なのかわからないのだが。
ちょっとイラッとしながら、声のした方に振り向くと見るも無残なオッサンが立っていた。
というか、剣を杖代わりにして辛うじて立っている。
全身傷だらけで、体中の到るところから血を流している。
グロ耐性はないので、さすがにしょぼんと萎えてしまった。
レティーお嬢様に謝れと言いたい。
というか、大丈夫ですか? と素で心配しちゃいそうなんだけど。
「……助太刀痛み入ります。ハイランダーアサギリ殿ですよね? 共に戦えて光栄です! ……私も奮起しませんと――ぐはっ!」
オッサンはよくわからないことを言いながら、突然血を吐いた。
えええ!?
そのまま倒れそうになっているオッサンを咄嗟に支えてしまう。
どうしよう。
今にも死にそうなんだけど。
オークにやられたんだろうか。
「だ、大丈夫ですか?」
柄にもなくそんな声をかけてしまった。
「ぐむう、こんな傷程度で、騎士として情けない……。こんな傷! こんな傷!」
オッサンはぷるぷる震えながら、自らの腹についた刺し傷を殴りだした。
どんだけドMなんだよ。
「ちょ、ちょ!? いいから安静にしてて下さい!」
オッサンのドM行為を慌てて止めながら、地面に横たわらせる。
この俺が男の心配をするとは。
なんか放っておけないオッサンだった。
「うう……あ、アサギリ殿……」
その時、別のオッサンの声が聞こえた。
「わ、私もハイランダーと共に……」
一人だけではない。
周囲から複数の声が聞こえてくる。
見渡してみたら、同じ様にボロボロのオッサン達がゾンビのように集まってきていた。
ええええ!?
みんなやられているじゃん!
というか、今日戦場に来て出会った王国軍は死体かボロボロのオッサンかレティーお嬢様しかいない。
王国軍って大丈夫なんだろうか。
「……共に戦いましょうぞ」
しかも、なぜかオッサン達はやる気満々だった。
今にも死にそうなのに。
「いいから俺の後ろで休憩してて下さい」
思わずそう叫んでいた。
どちらかと言うと俺が休憩したいのだが。
死に体のオッサン達を見ているとそう言うしかなかった。
「お、おお……我等が態勢を立て直す時間を、体を張って作ってくださるということですな……!? なんと勇敢な……!」
誰もそんな事を言っていないのだが、謎の解釈をしたオッサン達が俺の背後にヨロヨロと集まりだす。
態勢を立て直したところで、あんな状態では戦える気がしないのだが。
「グガアアア!」
遠くから襲いかかってくるオークを土魔法で串刺しにする。
集まってくるのはオッサン達だけではなく、オーク共も同じだった。
ボロボロのオッサン達を守って、バラバラと襲ってくるオーク共を遠隔魔法で潰していった。
オッサン達の数は数十人を超えていて、数が増えるにつれて警戒しなければならない範囲も広がっていく。
さすがに集中しなければならないので、小脇に抱えたレティーお嬢様を下ろして、オッサン達のところに行かせた。
「……怪我はしないでくださいね?」
心配そうな顔をしたレティーお嬢様は、そう言い残してオッサン達の元へトコトコと走っていく。
後で絶対に犯そうと心に決めた。
「グギャアア――グガッ!?」
迫りくるオークの頭を火の矢で吹き飛ばす。
《火形成》で作り出した小さな火の矢だった。
だんだん集まってくるオークの数が増えてきたので、MPを節約するようになったのだ。
残りのMPは半分程だった。
いざとなればラグニードで戦うが、後ろのオッサン達を守るには魔法じゃないと広範囲をカバーできない。
後ろのオッサン達は数百人レベルになっていた。
全員が死にかけというわけではなく、中には普通に戦えそうな奴もいたのだが。
「助太刀に参りました、ハイラン――ぶべらっ!!」
ドヤ顔で槍を持ってやってきた奴が一瞬でオークに頭を棍棒で潰されていた。
最後のセリフが排卵とか不吉にも程がある。
それからは、もうなんでもいいからとりあえず俺の背後に行かせている。
「グギャアアア!」
「グルルルル!」
集まってくるオークの数は留まるところを知らない。
片っ端から魔法で吹き飛ばしながら、これいつ終わるんだろうと思った。
だんだん面倒臭くなってきた。
もう帰りたい。
でも、帰ったら後ろのオッサン達がオークに殺されてしまう。
寝覚めが悪いのでそれは嫌だった。
第一、俺のレティーお嬢様もいるのだ。
レティーお嬢様はなんとしても守りたい。
そんな時だった。
――ズシン。
重い地響きを感じた。
迫りくるオーク達を押しのけるようにして、一際大きな人影が出現する。
その巨大さにゾッとした。
足元にいるオークの2倍ほどの身長。
筋肉に覆われた頑丈そうな緑色の巨体。
民族色豊かな、白い戦化粧のようなものを全身に施している。
黄色く濁った邪悪な目は――。
俺を睨んでいた。
「……と、トロル」
後ろのオッサン達からそんな呟きが聞こえた。
トロル? トロール?
緑色だからボストロールなんじゃ……。
そんなどうでも良い事を考えていると、トロルはズシンズシンと巨体を揺らしながら歩いてくる。
トロルが一歩足を踏み出す度に、地面が盛大に揺れた。
徐々に迫りくる緑色の巨人。
怪獣映画でも見ているような迫力だった。
なんというか。
絶対に強いじゃん!
トロルの手には無骨で巨大な石斧が握られていて。
あんなので攻撃されるのなんて想像したくなかった。
なので、近づかれる前に《火形成》を念じる。
刹那に舞う火の粉。
結構な魔力を消費して、トロルが巨大な火柱に包まれる。
まるで炎の竜巻のような火柱だった。
会心の《火形成》だった。
トロルの迫力にビビったせいか、今までで一番の火魔法が出来てしまった。
なんか情けない気もするが。
これでトロルも燃え尽きただろう。
「…………」
しかし、いつまで立っても経験値取得のログが出ない。
あれ、バグった?
ノリコさんは結構うっかりさんだからなー。
そんな白い部屋に呼び出されてヤキを入れられそうな事を考えていると――。
――ズシン。
炎の竜巻の中から、トロルがのそりと歩いてくる。
その全身は炎に包まれながらも。
剣呑な濁った目は、俺をじっと睨みつけていた。
ちょっとチビリそうになった。
「そ、そういえばトロルは炎に耐性があるんじゃないかという報告がありましたな! 以前、ゲルニア要塞でゼービア将軍が火矢で攻撃したもののあまり効果がなかったとか――!」
後ろでオッサンの一人がそんな事を言っていた。
早く言えし!
だったら土魔法で串刺しにしたのに!
「■■■■■■■■■――!!」
トロルは炎上しながらも声にならぬ叫びを上げる。
身も凍るような咆哮だった。
石斧を振りかぶりながら猛然と駆け出してくる。
地面が激しく揺れる。
くそ!!
もう魔力を集中させる時間はない。
トロルはその巨体に見合わず意外と走るのが速かった。
「あぶねっ!」
振り下ろされる巨大な石斧をギリギリで回避した。
石斧は土埃を撒き散らしながら、地面を大きく陥没させた。
絶対に食らいたくなかった。
しかし、こうなったらもう接近戦しかないだろう。
ラグニードでスパッと殺ってやんよ!
俺はオビ=ワン・ケノービのように、ラグニードをくるくると回転させた。
「■■■!」
トロルの腕が素早く振るわれる。
顔が吹き飛んだような感覚。
『HP:802/1340』
ええええ!?
急に殴られたんだけど!
今かっこつけてたのに!!!
剣をくるくるしてる時に殴るとか鬼畜だろうか。
変身中のヒーローをボコるようなものだろう。
ありえないわー。
「コウ! 逃げて下さい!!」
レティーお嬢様の悲痛な叫びが聞こえる。
かっこ悪い所を見せてしまった。
このままではレティーお嬢様の好感度が下がってしまう。
それだけはなんとしても避けねば。
「■■■■■■■■■――!!」
再び咆哮するトロル。
そんなトロルに対して、俺はラグニードを両手で握って体の中心に合わせる。
正眼の構え。
息を深く吸い込んで、呼吸を整えた。
「……■■■!」
石斧を振り上げようとするトロル。
重量のある武器だ。
隙は多い。
「――!」
地面を強く踏みしめて、踏み込んだ。
最小限の動作でトロルの腕に斬りつける。
「■■!!」
トロルは短く呻いて、石斧を落とす。
その隙に下段を薙ぎ払う。
たまらず膝を着くトロル。
まるで差し出すように。
急所である頭部が間合いに入ってくる。
「■、■■■」
トロルは、命乞いをするように呻いた。
そんなトロルの眉間を浅く切り裂く。
トロルの目からは剣呑な光が失われ。
その巨体がゆっくりと地面に倒れた。
『1132ポイントの経験値を獲得しました。』
ふふふ。
ジェダイごっこなどせずに《達人剣術》を使えばこの通りですよ!
ざまあ! ざまあ!
ビビらせやがって、このクソが!!!
怒りを込めて、物を言わぬ屍となったトロルをガスガスと蹴飛ばす。
その時、背後でどっと割れるような歓声が沸き起こった。
思わずビクッとしてしまう。
「うおおおおお! アサギリ卿ー!!!」
「トロルを一人で倒すなんてすげえ!」
「さすが救国のハイランダーだ!!!」
そして巻き起こるハイランダーコール。
いまいち慣れてないけど、ハイランダーって俺のことだよね?
俺コールとか。
キャバクラで高い酒を入れる時しかされたこと無いんだけど。
見ず知らずのオッサン達にコールされても……。
「コウ……かっこいい……」
レティーお嬢様がぽーっとした顔で見つめてくれるのが唯一の救いか。
ああ、犯したい。
トロルが倒されたからか、オッサン達のコールにビビったのか、周囲のオーク達はすごすごと退散していった。
つまり、レティーお嬢様とヤッても何の問題はない。
股間をメキメキさせながら、げへげへ笑ってレティーお嬢様のもとへ向かう。
待たせてごめんね!
「一人で先走りおって! このバカタレがっ!」
しかし、突然頭上から何か固いもので頭を殴られた。
見上げると黒い8本足の馬ファラチオに跨ったヴァンダレイジジイがいた。
その手には鞘に収められたいつもの黒い剣が握られていた。
あれで殴られたらしい。
え、そんなもので人を殴っていいと思ってんの?
傷害事件にも程がある。
「……むう、あれだけ崩れとった戦線がここだけまともになっておる。見事な戦働きじゃ! これでクズじゃなければのう……本当に貴様はクソ野郎じゃから……」
ヴァンダレイジジイはブツブツとムカつくことを言いながらファラチオから下りた。
今、クズとかクソ野郎とか言う必要があったのか甚だ疑問だ。
「コウ! 無事か!?」
「龍神王様!?」
リュディアとキリアの飛竜がズシンと着地する。
二人共無事みたいで良かった。
(主ヨ。我ヲ置イテ行カナイデ欲シイ)
遅れてフェルさんが重い地響きと共に着地してきた。
王国軍のオッサン達がフェルさんを見てビビっている。
「……りゅ、竜神王様」
フェルさんの背中から、心配そうな顔をしたダナンさんがひょっこりと顔を覗かせていた。
というか、あのトカゲ俺以外の人間を乗せるのは嫌だとか言ってなかっただろうか。
ジジイはダメで美人は良いのかよ。
気持ちはすっごくわかるけど、イラッとする。
――ブオーン。ブオーン。ブオーン。
その時、間の抜けた法螺貝の音が三回聞こえた。
法螺貝とか。
映画とかでしか聞いたことなかったけど本当に戦場で吹くんだなとしみじみ思っていると。
「……三回は撤退の合図じゃ」
ヴァンダレイジジイが深刻な顔で呟いた。
撤退か。
まあ、王国軍弱いからな。
「そんな! 我等はまだ戦えるのに!!」
後ろのオッサンがそんな事を言っていた。
自分の腹の傷をバキバキ殴っていたドMのオッサンだった。
いやいや、あんたはもう戦えないっつーに。
休んでろよ。
「退却ー! 退却ー!」
遠くで白馬に跨った高そうな鎧を着た騎士が声高に叫んでいる。
法螺貝だけではなく口頭でも言って回っているらしい。
「……あれは近衛兵じゃな」
ヴァンダレイジジイがぼそっと呟いた。
俺はふーん、そうなんだーくらいに聞き流していたのだが。
その近衛兵はこちらに気づくと、わざわざ馬を走らせてやってきてくれた。
「これはハイランダー! せっかく参戦頂いたのに残念です。ひとまず向こうの丘まで退却して頂きたい」
近衛兵の顔は真っ青だった。
貧血だろうか。
レバー食え。
「……混戦じゃがそれほど酷い戦況には思えんがのう。なんで退却なんじゃ?」
ヴァンダレイジジイの質問に近衛兵が青い顔のまま答える。
俺はその答えに耳を疑った。
「…………ゼービア大将軍が……討ち取られ……」
はあああああ!?
何言ってんの!?
ゼービアさんって俺のゼービアさん!?
「なっ!? ば、バカな……!! ゼービアが……戦死したじゃと!?」
ヴァンダレイジジイが馬上の近衛兵に掴みかかろうとしている。
孫なのだ。
無理もない。
「い、いえ! 正確には敵に捕まりました。あ、あすこに見える巨大な……オーガに……」
近衛兵が彼方を振り返る。
そちらに目をやると、大海原のようにひしめくオークの大軍。
その遥か後方に豆粒のような赤い巨体が見えた。
おそらく距離にすると1キロ以上離れている。
ここからは豆粒のように見えても、実際はさぞ大きいのだろう。
そこまで目が良くないのでよくは見えないが、人のようなものを肩に担いでいるように見える。
あれがゼービアさんなのだろうか。
「お、オーガじゃと……!?」
ヴァンダレイジジイが珍しく戦慄していた。
そんな事はどうでも良かった。
俺は頭がすうーっと冷めていくのを感じた。
怒りも、焦りもとっくに通り越している。
今、すべきことは一つしかないだろうが。
ゼービアさんが生きているのなら。
ジジイの乗ってきたファラチオに無言で跨った。
「おい、小僧! どこへ行く気じゃ!?」
「助けに行くに決まってんだろう」
何を当たり前の事を。
「む、無理です、ハイランダー! いくらハイランダーといえどもゼービア大将軍はすでにオーク軍の奥深くまで連れ去られています!」
近衛兵がそんな事を叫ぶ。
確かにゼービアさんの下に行くには吐き気がする程うじゃうじゃいるオーク共を突破しなければならない。
おそらく数は数万。
たった数万だ。
そんなのでゼービアさんを諦められるわけがなかった。
「行くぞ!」
ファラチオの腹を蹴る。
ファラチオは静かに8本の足で駆け出した。
「お待ちを!! せめて我等もお供させて下さい! 近衛兵全軍、ハイランダーに続け!!!」
名も知らぬ近衛兵の叫びを聞き流す。
ファラチオはぐんぐんと速度を上げる。
物凄いスピードだった。
以前、乗った馬とは比べ物にならない。
「グギャギャ!」
邪悪な鳴き声でファラチオは黒い馬体を風と化す。
見る見る間にオークの大軍が目前に迫った。
オーク共はそれぞれの武器を構えて、俺を迎え撃とうとしている。
ラグニードを振りかざす。
あの大軍を突き破るのだ。
自然とラグニードを握る手に力が篭った。
『[国剣ラグニード]のアビリティ《射程拡張》が開放されました。』
魔力を帯びたラグニードの剣先が淡く光る。
そのままぐんぐんと倍近くにまで剣先が伸びていく。
その長さは約2メートル。
異様な長さになったラグニードをオーク共目掛けて振りかぶった。
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